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資料2-9-2 一般社団法人日本医学会連合 健康医療分野におけるビッグデータに関する委員会 御提出資料 (13 ページ)
出典
公開元URL | https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2409_04medical/241125/medical03_agenda.html |
出典情報 | 規制改革推進会議 健康・医療・介護ワーキング・グループ(第3回 11/25)《内閣府》 |
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ータベース利活用において大きく後れを取った要因である。厚生労働省は、2019 年度の法制度改
正で NDB と介護 DB の連結解析を可能とし民間企業へのデータ提供も開始し、さらに医療介護連
結解析基盤(HIC)を拡充し 2024 年秋に試行運用を開始する予定である 55。また、次世代医療基盤
法の改正(2024 年春実施)では認定事業者が有するデータと NDB を、介護 DB をハッシュ値で突合
して、利用者が使用することが可能となる 56。さらに、NDB と障害福祉や予防接種、感染症、難病の
公的データベース等との連結を可能とする法案も提出されている 57。加えて、これまで NDB の課題
の一つであった死亡情報(死因を含む)については、省令改正により、2024 年度より NDB に連結さ
れる 58。このように、政策立案や研究利用の基盤として、利便性や価値向上を図り、NDB と各種公的
データベースとの連結を順次、戦略的に進めている。
4) 次世代医療基盤法の改正による薬事対応などの可能性
2017 年に制定された健康医療分野の個別法である次世代医療基盤法では、匿名加工による情
報量の減少や外れ値の削除等でデータ・解析の質が上がらないこと、希少疾患に対応できないこと、
匿名加工化により個票に戻るデータ検証が不可能であるために承認申請等へ利用しづらいこと、等
の課題が指摘されていた。これらを改善するため、2023 年度に法改正(2024 年度実施)が行われ新
たに仮名加工医療情報を取扱うこととなった 59。これにより、PMDA は認定事業者に対して個票の信
頼性調査をすることができることとなり、薬事申請への道が開けた。
4. 提言:健康・医療分野のビッグデータ活用における課題解決のために
以上より、日本では健康・医療分野のビッグデータ活用には、海外に比して、その国民性や制度
上等の様々な理由によって、より多くの課題が存在してきたことがわかる。一方、近年の行政、研究
者、企業などの努力により、その一部は改善されている。しかしながら、根本的な改善にはつながっ
ておらず、日本医学会連合の健康・医療分野におけるビッグデータに関する委員会において、健
康・医療分野におけるビッグデータの生成や活用の「あるべき姿」に力点を置いた提言を取り纏めた。
1) 平時にも有事にも機能する個人を中心とした健康・医療情報インフラの早期実現
日本において想定すべき「有事」は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに留まらず、台風や
豪雨水害、地震、噴火等の自然災害が多いことが特徴である。その際、津波や火災が併発し多くの
人命が失われ、そのうえ原子力発電所事故も経験した。その他、大規模事故やテロも有事であり、ロ
シアのウクライナ侵攻、ガザ地区の紛争では今もなお大規模な火力戦が勃発することが示された。さ
らに、個人に生じる「有事」は急病や外傷等である。
意識障害や認知症の患者の救急搬送では、病状や病態の原因、基礎疾患等の把握は困難であ
る。急病の原因や保有する感染症等の情報が不足すると、救急隊員や救命救急医療スタッフに二
次被害が及ぶ可能性もある。このような「有事」に活用できるアプリやインフラは利用者が取扱いに慣
れていなければならずメンテナンスもされていなければならない。そのため、システムを有事向けの
みに作るのではなく、平時に利用するシステムについても有事での利用も想定して構築し、定期的
に有事に備えた訓練等も行い、いざ有事が発生した際にモードを切替えて利用する、という方法が
55
社会保障審議会(医療保険部会)匿名医療・介護情報等の提供に関する委員会(第13回)資料1 HIC(医療・介護データ等解析基盤)の
運用開始について. 厚生労働省, 令和5年9月20日. [https://www.mhlw.go.jp/content/12301000/001147607.pdf]
56
健康・医療戦略推進本部 第8回 次世代医療基盤法検討ワーキンググループ 資料1:改正次世代医療基盤法とその施行に向けた検
討について. 内閣府, 令和5年6月28日: 5-8.
[https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/data_rikatsuyou/jisedai_iryokiban_wg/dai8/gijisidai.html]
57
社会保障審議会(医療保険部会)匿名医療・介護情報等の提供に関する委員会(第13回)資料1 HIC(医療・介護データ等解析基盤)の
運用開始について. 厚生労働省, 令和5年9月20日. [https://www.mhlw.go.jp/content/12301000/001147607.pdf]
58
社会保障審議会(医療保険部会)匿名医療・介護情報等の提供に関する委員会(第13回)資料1 HIC(医療・介護データ等解析基盤)の
運用開始について. 厚生労働省, 令和5年9月20日. [https://www.mhlw.go.jp/content/12301000/001147607.pdf]
59
健康・医療戦略推進本部 第8回 次世代医療基盤法検討ワーキンググループ 資料1:改正次世代医療基盤法とその施行に向けた検
討について. 内閣府, 令和5年6月28日: 5-8.
[https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/data_rikatsuyou/jisedai_iryokiban_wg/dai8/gijisidai.html]
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正で NDB と介護 DB の連結解析を可能とし民間企業へのデータ提供も開始し、さらに医療介護連
結解析基盤(HIC)を拡充し 2024 年秋に試行運用を開始する予定である 55。また、次世代医療基盤
法の改正(2024 年春実施)では認定事業者が有するデータと NDB を、介護 DB をハッシュ値で突合
して、利用者が使用することが可能となる 56。さらに、NDB と障害福祉や予防接種、感染症、難病の
公的データベース等との連結を可能とする法案も提出されている 57。加えて、これまで NDB の課題
の一つであった死亡情報(死因を含む)については、省令改正により、2024 年度より NDB に連結さ
れる 58。このように、政策立案や研究利用の基盤として、利便性や価値向上を図り、NDB と各種公的
データベースとの連結を順次、戦略的に進めている。
4) 次世代医療基盤法の改正による薬事対応などの可能性
2017 年に制定された健康医療分野の個別法である次世代医療基盤法では、匿名加工による情
報量の減少や外れ値の削除等でデータ・解析の質が上がらないこと、希少疾患に対応できないこと、
匿名加工化により個票に戻るデータ検証が不可能であるために承認申請等へ利用しづらいこと、等
の課題が指摘されていた。これらを改善するため、2023 年度に法改正(2024 年度実施)が行われ新
たに仮名加工医療情報を取扱うこととなった 59。これにより、PMDA は認定事業者に対して個票の信
頼性調査をすることができることとなり、薬事申請への道が開けた。
4. 提言:健康・医療分野のビッグデータ活用における課題解決のために
以上より、日本では健康・医療分野のビッグデータ活用には、海外に比して、その国民性や制度
上等の様々な理由によって、より多くの課題が存在してきたことがわかる。一方、近年の行政、研究
者、企業などの努力により、その一部は改善されている。しかしながら、根本的な改善にはつながっ
ておらず、日本医学会連合の健康・医療分野におけるビッグデータに関する委員会において、健
康・医療分野におけるビッグデータの生成や活用の「あるべき姿」に力点を置いた提言を取り纏めた。
1) 平時にも有事にも機能する個人を中心とした健康・医療情報インフラの早期実現
日本において想定すべき「有事」は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに留まらず、台風や
豪雨水害、地震、噴火等の自然災害が多いことが特徴である。その際、津波や火災が併発し多くの
人命が失われ、そのうえ原子力発電所事故も経験した。その他、大規模事故やテロも有事であり、ロ
シアのウクライナ侵攻、ガザ地区の紛争では今もなお大規模な火力戦が勃発することが示された。さ
らに、個人に生じる「有事」は急病や外傷等である。
意識障害や認知症の患者の救急搬送では、病状や病態の原因、基礎疾患等の把握は困難であ
る。急病の原因や保有する感染症等の情報が不足すると、救急隊員や救命救急医療スタッフに二
次被害が及ぶ可能性もある。このような「有事」に活用できるアプリやインフラは利用者が取扱いに慣
れていなければならずメンテナンスもされていなければならない。そのため、システムを有事向けの
みに作るのではなく、平時に利用するシステムについても有事での利用も想定して構築し、定期的
に有事に備えた訓練等も行い、いざ有事が発生した際にモードを切替えて利用する、という方法が
55
社会保障審議会(医療保険部会)匿名医療・介護情報等の提供に関する委員会(第13回)資料1 HIC(医療・介護データ等解析基盤)の
運用開始について. 厚生労働省, 令和5年9月20日. [https://www.mhlw.go.jp/content/12301000/001147607.pdf]
56
健康・医療戦略推進本部 第8回 次世代医療基盤法検討ワーキンググループ 資料1:改正次世代医療基盤法とその施行に向けた検
討について. 内閣府, 令和5年6月28日: 5-8.
[https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/data_rikatsuyou/jisedai_iryokiban_wg/dai8/gijisidai.html]
57
社会保障審議会(医療保険部会)匿名医療・介護情報等の提供に関する委員会(第13回)資料1 HIC(医療・介護データ等解析基盤)の
運用開始について. 厚生労働省, 令和5年9月20日. [https://www.mhlw.go.jp/content/12301000/001147607.pdf]
58
社会保障審議会(医療保険部会)匿名医療・介護情報等の提供に関する委員会(第13回)資料1 HIC(医療・介護データ等解析基盤)の
運用開始について. 厚生労働省, 令和5年9月20日. [https://www.mhlw.go.jp/content/12301000/001147607.pdf]
59
健康・医療戦略推進本部 第8回 次世代医療基盤法検討ワーキンググループ 資料1:改正次世代医療基盤法とその施行に向けた検
討について. 内閣府, 令和5年6月28日: 5-8.
[https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/data_rikatsuyou/jisedai_iryokiban_wg/dai8/gijisidai.html]
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