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資料2-9-2 一般社団法人日本医学会連合 健康医療分野におけるビッグデータに関する委員会 御提出資料 (12 ページ)
出典
公開元URL | https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2409_04medical/241125/medical03_agenda.html |
出典情報 | 規制改革推進会議 健康・医療・介護ワーキング・グループ(第3回 11/25)《内閣府》 |
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がんゲノム医療推進コンソーシアムが C-CAT データベースを運営し年間約 1 万件が遺伝子パネル
検査に登録され、そのうちの 99%が 2 次利用に同意している。2023 年度中に利活用検索クラウドを
開始する予定で、アカデミアや事業者が有償で利用できる。今後は、がん領域に加えて他の疾患領
域も Precision Medicine を目指し、従来の健康・医療データにゲノム研究を目的に収集された試料
や関連機関(バイオバンクや研究機関等)が保管する情報が連結して用いられ、さらに、医療機関、
健診機関、健康予測ビジネス等からのゲノム情報が加わることとなるであろう。海外においては、ゲノ
ム情報は一般的に独立したバイオバンク(米国は All of Us 50、イギリスは Genomics England 51、フィン
ランドは THL Biobank 52等)に保管され、DNA サンプルや問診情報、診療データ等が安全な環境で
管理され研究機関や民間企業もデータ利用が可能となっている。ゲノムデータは国主導の EHR デ
ータベース(米国 CMS data、イギリス NHS Digital、フィンランド KanTa)には含まれずバイオバンク側
で EHR データを保有している。バイオバンクを維持するための年間の予算規模は米国 224 億円、イ
ギリス 110 億円、フィンランド 114 億円である。米国、イギリス、フィンランドのゲノムデータの利用につ
いては個人の同意取得が前提で包括的な同意を取得している。この包括的な同意とは取得された
サンプルに加え、EHR データの取得や将来発生するデータ等の提供を含み、提供されたデータを
第 3 者が活用することも含まれる。
その他、生活習慣情報については「市民や患者が生み出すビッグデータ」に、環境情報について
は「自治体、学校などが生み出すビッグデータ」に記載した。
3. 近年の日本の健康・医療分野のビッグデータ整備や活用への努力
1) 健康・医療情報の標準化の動き
医療情報の標準化団体としては、日本医療情報学会や医療情報システム開発センター(MEDISDC)、日本 HL7 協会、日本 IHE 協会、保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)等があり、それら
が標準化した規格を医療情報標準化推進(HELICS)協議会で審議する。その結果、HELICS 標準と
なった規格が厚生労働省保健医療情報標準化会議で承認されたのち厚生労働省標準規格となる
仕組みである。その一覧は HLEICS 協議会のサイトで閲覧できる 53。
2) 政府の健康・医療・介護情報基盤の構築に関する積極的な動き
2022 年10 月に医療 DX 推進本部(本部長:内閣総理大臣)を発足し、2023 年 6 月に発表した医
療 DX の工程表の中で 2030 年度までに「全国医療情報プラットフォームの創設」や「電子カルテ情
報の標準化」などを推進することとした 54。具体的には、患者が自らの健康情報を活用するためのス
マートフォンアプリ PHR の標準化と普及を推進する。また、厚生労働省は健康・医療・介護情報利活
用検討会を設置し分野間の障壁をなくすための議論を続けており、例えば、介護情報も健康・医療
情報と共に全国医療情報 PF 上での施設間連携を志向し、共有が必要な介護情報項目の選定をし
ている。
3) 複数の健康・医療分野のデータベース間のリンケージ
これまでに NDB や介護 DB など多様な公的なデータベースが構築されてきたが、それらの目的や
根拠法、データの管理主体等も異なり、同意取得などの倫理的な障壁もあり、データベース同士の
突合は許されてこなかった。この点は、日本と比較して制度的に柔軟な欧米諸国や台湾、韓国にデ
[https://obamawhitehouse.archives.gov/precision-medicine(cited 2023.10.27)]
All of Us. 国立研究開発法人 日本医療研究開発機構, 令和元.12.10.
[https://www.amed.go.jp/aboutus/collaboration/ga4gh_dp001.html(cited 2023.10.27)]
51
Genomics England. [https://www.genomicsengland.co.uk/(cited 2023.10.27)]
52
THL BIOBANK. [https://thl.fi/en/web/thl-biobank(cited 2023.10.27)]
53
医療情報標準化指針一覧表. 一般社団法人 医療情報標準化推進協議会(HELICS協議会).
[http://helics.umin.ac.jp/helicsStdList.html(cited 2023.10.27)]
54
経済財政運営と改革の基本方針2022 新しい資本主義へ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~. 内閣府,
令和4年6月7日: 32-3. [https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2022/decision0607.html]
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検査に登録され、そのうちの 99%が 2 次利用に同意している。2023 年度中に利活用検索クラウドを
開始する予定で、アカデミアや事業者が有償で利用できる。今後は、がん領域に加えて他の疾患領
域も Precision Medicine を目指し、従来の健康・医療データにゲノム研究を目的に収集された試料
や関連機関(バイオバンクや研究機関等)が保管する情報が連結して用いられ、さらに、医療機関、
健診機関、健康予測ビジネス等からのゲノム情報が加わることとなるであろう。海外においては、ゲノ
ム情報は一般的に独立したバイオバンク(米国は All of Us 50、イギリスは Genomics England 51、フィン
ランドは THL Biobank 52等)に保管され、DNA サンプルや問診情報、診療データ等が安全な環境で
管理され研究機関や民間企業もデータ利用が可能となっている。ゲノムデータは国主導の EHR デ
ータベース(米国 CMS data、イギリス NHS Digital、フィンランド KanTa)には含まれずバイオバンク側
で EHR データを保有している。バイオバンクを維持するための年間の予算規模は米国 224 億円、イ
ギリス 110 億円、フィンランド 114 億円である。米国、イギリス、フィンランドのゲノムデータの利用につ
いては個人の同意取得が前提で包括的な同意を取得している。この包括的な同意とは取得された
サンプルに加え、EHR データの取得や将来発生するデータ等の提供を含み、提供されたデータを
第 3 者が活用することも含まれる。
その他、生活習慣情報については「市民や患者が生み出すビッグデータ」に、環境情報について
は「自治体、学校などが生み出すビッグデータ」に記載した。
3. 近年の日本の健康・医療分野のビッグデータ整備や活用への努力
1) 健康・医療情報の標準化の動き
医療情報の標準化団体としては、日本医療情報学会や医療情報システム開発センター(MEDISDC)、日本 HL7 協会、日本 IHE 協会、保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)等があり、それら
が標準化した規格を医療情報標準化推進(HELICS)協議会で審議する。その結果、HELICS 標準と
なった規格が厚生労働省保健医療情報標準化会議で承認されたのち厚生労働省標準規格となる
仕組みである。その一覧は HLEICS 協議会のサイトで閲覧できる 53。
2) 政府の健康・医療・介護情報基盤の構築に関する積極的な動き
2022 年10 月に医療 DX 推進本部(本部長:内閣総理大臣)を発足し、2023 年 6 月に発表した医
療 DX の工程表の中で 2030 年度までに「全国医療情報プラットフォームの創設」や「電子カルテ情
報の標準化」などを推進することとした 54。具体的には、患者が自らの健康情報を活用するためのス
マートフォンアプリ PHR の標準化と普及を推進する。また、厚生労働省は健康・医療・介護情報利活
用検討会を設置し分野間の障壁をなくすための議論を続けており、例えば、介護情報も健康・医療
情報と共に全国医療情報 PF 上での施設間連携を志向し、共有が必要な介護情報項目の選定をし
ている。
3) 複数の健康・医療分野のデータベース間のリンケージ
これまでに NDB や介護 DB など多様な公的なデータベースが構築されてきたが、それらの目的や
根拠法、データの管理主体等も異なり、同意取得などの倫理的な障壁もあり、データベース同士の
突合は許されてこなかった。この点は、日本と比較して制度的に柔軟な欧米諸国や台湾、韓国にデ
[https://obamawhitehouse.archives.gov/precision-medicine(cited 2023.10.27)]
All of Us. 国立研究開発法人 日本医療研究開発機構, 令和元.12.10.
[https://www.amed.go.jp/aboutus/collaboration/ga4gh_dp001.html(cited 2023.10.27)]
51
Genomics England. [https://www.genomicsengland.co.uk/(cited 2023.10.27)]
52
THL BIOBANK. [https://thl.fi/en/web/thl-biobank(cited 2023.10.27)]
53
医療情報標準化指針一覧表. 一般社団法人 医療情報標準化推進協議会(HELICS協議会).
[http://helics.umin.ac.jp/helicsStdList.html(cited 2023.10.27)]
54
経済財政運営と改革の基本方針2022 新しい資本主義へ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~. 内閣府,
令和4年6月7日: 32-3. [https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2022/decision0607.html]
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