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産科診療所の特別調査 (29 ページ)

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出典情報 産科診療所の特別調査(12/5)《日本医師会総合政策研究機構》
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今後の対応

産科医の不足に対応するとともに、限られた医療資源を有効に活用するという観点
から、現在、全国でオープンシステム・セミオープンシステムが推進されており、周
産期医療の重点化・集約化が必要とされている。ただし、その一方で、患者のアクセ
スを担保し、出来る限り妊婦の不利益とならない周産期医療体制が少子化対策の一環
として求められているのも現実である。
産科診療所は全国 72.7 万件の出生の 45.1%(32.8 万件)を占めているが、その割合
が高い都道府県は多く、例えば、佐賀県では 74.7%、福岡県、石川県ではともに
64.7%である14 15。これらの地域で主にローリスク分娩を担っている産科診療所を支え
ることは、その地域で分娩を考えている妊婦やその家族にとって極めて重要である16。
2023 年度の産科診療所の収支は前年度から悪化しており、この状況が続くと医療ス
タッフの維持も困難となり、分娩取り扱い自体を止めざるを得なくなる。自由回答か
らも分娩取扱いを止めざるを得ないという意見が多く見られた。その場合、多くのロ
ーリスク分娩を地域の病院が担うことになり、病院の産科医の負担がさらに増加する。
医師の働き方改革が進むなかで、分娩を受け入れられない病院や地域が出てくること
が危惧される。
地域事情を踏まえて、必要とされる産科診療所が分娩取扱いを継続できるように、
厳しい経営状況にある産科診療所に対して国、自治体からの強力なバックアップが必
要であり、要望していくべきと考える。

14 厚生労働省「令和 5 年人口動態調査」上巻 出生。滋賀県(64.3%)
、長崎県(63.1%)が上記に続く。
15 出産育児一時金の支払いデータに基づく正常分娩の件数をみると診療所(助産所を含む)は全施設の

55.0%を占めている。厚生労働省 社会保障審議会医療保険部会 資料4「出産費用の状況等について」
(令和 6 年 11 月 21 日)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45733.html
16 厚生労働省「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」資料 2-4 前田構成員提
出資料「産科診療所(一次施設)の現状について」2024 年 11 月 13 日 には産科開業医の実態と課題が示
されている。https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001330859.pdf

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