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参考資料1 岡村班 総合研究報告書_2019~2021 抜粋 (18 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26370.html |
出典情報 | 第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会 健康増進に係る科学的な知見を踏まえた技術的事項に関するワーキング・グループ(第3回 6/22)《厚生労働省》 |
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ね改善傾向が認められた。
群と非実施群の検査値の変化を入れて、既
次に2018 年度と2019 年度の40~59 歳の
存の介入研究の結果からそれぞれの疾患の
男性 25,445 名の健診データを用いて、身長
発症リスクを評価し、推計した発症リスク
①160cm 未満、②160 以上 170cm 未満、③
は先行研究と概ね一致していることを確認
170cm 以上 180cm 未満、④180cm 以上の計
した。また糖尿病では、慢性腎臓病からの
4 群に分類し、さらに(1) 腹囲 85cm 以上の
人工透析への進行、糖尿病性網膜症から失
場合、
(2) 腹囲 85cm 未満で BMI が 25 kg/m2
明への進行についても考慮に加えた。これ
以上の場合、(3)腹囲 85cm 未満で BMI が
らに基づき保健指導実施群と非実施群を想
25 kg/m2 未満の場合に区分した。腹囲 85cm
定したマイクロシミュレーションモデルを
以上の割合は、身長が高い階級ほど高く、
構築し、
仮定モデルの対象集団を 40 歳の保
180cm 以上では対象者の半数を超えていた。
健指導対象者 5 万人とし、死亡または 90
男性において腹囲の基準が身長に関わりな
歳になるまでの 50 年間の保健指導の効果
く一律に 85cm 以上であることは、低身長
について検証した。その結果、増分費用は
者において、保健指導の対象者を適切に拾
-72,548 円、増分 QALY(Quality-adjusted life
い上げられていない可能性示している。
year)は 0.403、増分費用効果比(Incremental
小池は、各種制度下で実施されている健
cost-effectiveness ratio: ICER)
は Dominant(非
康診査(健康診断)の目的が、法令上、法
実施群よりも実施群の費用が低く、効果が
律、政令、省令、通達などとして、どのよ
高い)であり、特定保健指導の実施は費用削
うに位置づけられているかを整理した。医
減効果と QALY の増加が見込めることが
療保険者や事業主が行う高齢者の医療の確
示された。また実施群の非実施群に対する
保に関する法律、労働安全衛生法等に基づ
1 人当たりの質調整のない生存年の増加分
く健康診査、市町村の健康増進法に基づく
は 0.044 年であり、増分 QALY の 10 分の 1
制度、学校保健、母子保健に基づく健診を
であった。疾患発生は特定保健指導の実施
対象として制度の構造を検討した。健康診
により、心筋梗塞、脳卒中、慢性腎臓病、
査の目的の位置づけは制度間で異なってい
糖尿病(合併症含む)の 0.4-13.5%の発生人
るものの、最終的な目的自体はいずれかの
数の抑制が示され、特定保健指導の実施に
レベルで定められていた。健診の目的が法
よる効果が得られることが示された。また
令上異なっている背景には、各制度を設置
服薬状況に関しても患者数の減少がみられ、
した際の目的の違いがある。生涯を通じた
特定保健指導の実施が疾患発症に至る前の
健康づくりを進めていく上では、各種健診
高血圧、脂質異常症、高血糖の減少を通し
の設置の趣旨を健診に関わる関係者が共通
て、疾患発症の抑制に寄与していることが
認識を持てるよう、わかりやすい情報発信
示唆された。保健指導の参加の有無に選択
を続けてゆくことが重要であると考えられ
バイアスがあるものの、リアルワールドで
た。
の成果としては重要と知見と考えられた。
後藤は、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病の日
本人の発症リスクの推計式に保健指導実施
D. 考察
14
群と非実施群の検査値の変化を入れて、既
次に2018 年度と2019 年度の40~59 歳の
存の介入研究の結果からそれぞれの疾患の
男性 25,445 名の健診データを用いて、身長
発症リスクを評価し、推計した発症リスク
①160cm 未満、②160 以上 170cm 未満、③
は先行研究と概ね一致していることを確認
170cm 以上 180cm 未満、④180cm 以上の計
した。また糖尿病では、慢性腎臓病からの
4 群に分類し、さらに(1) 腹囲 85cm 以上の
人工透析への進行、糖尿病性網膜症から失
場合、
(2) 腹囲 85cm 未満で BMI が 25 kg/m2
明への進行についても考慮に加えた。これ
以上の場合、(3)腹囲 85cm 未満で BMI が
らに基づき保健指導実施群と非実施群を想
25 kg/m2 未満の場合に区分した。腹囲 85cm
定したマイクロシミュレーションモデルを
以上の割合は、身長が高い階級ほど高く、
構築し、
仮定モデルの対象集団を 40 歳の保
180cm 以上では対象者の半数を超えていた。
健指導対象者 5 万人とし、死亡または 90
男性において腹囲の基準が身長に関わりな
歳になるまでの 50 年間の保健指導の効果
く一律に 85cm 以上であることは、低身長
について検証した。その結果、増分費用は
者において、保健指導の対象者を適切に拾
-72,548 円、増分 QALY(Quality-adjusted life
い上げられていない可能性示している。
year)は 0.403、増分費用効果比(Incremental
小池は、各種制度下で実施されている健
cost-effectiveness ratio: ICER)
は Dominant(非
康診査(健康診断)の目的が、法令上、法
実施群よりも実施群の費用が低く、効果が
律、政令、省令、通達などとして、どのよ
高い)であり、特定保健指導の実施は費用削
うに位置づけられているかを整理した。医
減効果と QALY の増加が見込めることが
療保険者や事業主が行う高齢者の医療の確
示された。また実施群の非実施群に対する
保に関する法律、労働安全衛生法等に基づ
1 人当たりの質調整のない生存年の増加分
く健康診査、市町村の健康増進法に基づく
は 0.044 年であり、増分 QALY の 10 分の 1
制度、学校保健、母子保健に基づく健診を
であった。疾患発生は特定保健指導の実施
対象として制度の構造を検討した。健康診
により、心筋梗塞、脳卒中、慢性腎臓病、
査の目的の位置づけは制度間で異なってい
糖尿病(合併症含む)の 0.4-13.5%の発生人
るものの、最終的な目的自体はいずれかの
数の抑制が示され、特定保健指導の実施に
レベルで定められていた。健診の目的が法
よる効果が得られることが示された。また
令上異なっている背景には、各制度を設置
服薬状況に関しても患者数の減少がみられ、
した際の目的の違いがある。生涯を通じた
特定保健指導の実施が疾患発症に至る前の
健康づくりを進めていく上では、各種健診
高血圧、脂質異常症、高血糖の減少を通し
の設置の趣旨を健診に関わる関係者が共通
て、疾患発症の抑制に寄与していることが
認識を持てるよう、わかりやすい情報発信
示唆された。保健指導の参加の有無に選択
を続けてゆくことが重要であると考えられ
バイアスがあるものの、リアルワールドで
た。
の成果としては重要と知見と考えられた。
後藤は、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病の日
本人の発症リスクの推計式に保健指導実施
D. 考察
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