よむ、つかう、まなぶ。
参考資料1 岡村班 総合研究報告書_2019~2021 抜粋 (6 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26370.html |
出典情報 | 第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会 健康増進に係る科学的な知見を踏まえた技術的事項に関するワーキング・グループ(第3回 6/22)《厚生労働省》 |
ページ画像
ダウンロードした画像を利用する際は「出典情報」を明記してください。
低解像度画像をダウンロード
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
厚生労働省科学研究費補助金
循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業総括研究報告書
健康診査・保健指導における健診項目等の必要性、妥当性の検証、及び地域における健診実施
体制の検討のための研究:令和元年~3年度総合報告
研究代表者 岡村 智教
慶應義塾大学医学部 衛生学公衆衛生学 教授
要旨
本研究では、脳・心血管疾患等の発症リスクを軽減させるための予防介入のあり方を最新の
エビデンスを踏まえて検証し、今後の健診・保健指導の見直しに必要な科学的根拠を得る。健
診でスクリーニングされる危険因子等は、将来の脳・心血管疾患や腎不全の発症等を予測し、
かつ保健指導や早期受診による予防介入が可能であることを前提とした。そして期待されるリ
スクの低下も考慮して、健診項目、検査手技、対象者の抽出方法から保健指導への接続、関連
法規、他制度の連携など幅広い内容を検討した。本研究は、文献レビュー、コホート研究の実
地調査、コホート研究集団とそれ以外の集団の既存情報の解析を主な研究手法として、三年間
の間に以下の点を明らかにした。
1)わが国および主要国の診療ガイドライン、
疾患発症予測ツー
ル等を検証して、健診の基幹項目が、高血圧、糖尿病、脂質異常症(特に高 LDL コレステロー
ル血症)
、喫煙の把握とその介入であることを示した(すべて基本項目として特定健診に入っ
ている)
。2)基幹項目以外の基本項目はγ-GTP や基本項目のみから計算できる fatty liver index
など有用なものもあった。3)既存の詳細な項目のうち安静時心電図検査と眼底検査の目的と選
定基準は明確であった。4)詳細項目のクレアチニンの目的と選定基準は明確であったが、採血
検査は選択検査として行うのは運用上の問題がある。また貧血検査の意義は明確ではなかった。
5) 新規の検体検査の候補としていくつかの有用な項目を検討した。血液検査の候補としては、
BNP(NT-proBNP)、高感度 CRP、脂質詳細検査(変性・酸化 LDL、sdLDL)、シスタチン C
による腎機能検査、尿検査としては微量アルブミン、尿中ナトリウム・カリウム比である。い
ずれも既存の項目に加えて脳・心血管疾患などの発症予測能を上昇させるなどの有用性は認め
たが、
現時点で日本人の非患者集団でのエビデンスは乏しく、
さらなる検証が必要である。
6) 新
規の生理検査の候補としては、上腕足首間脈波伝播速度計測 (baPWV)、頸動脈超音波検査、
中心血圧値・Augmentation Index(AI)の検証を行った。いずれも脳・心血管疾患の発症を予測
能は向上させるが、被験者のリスク管理区分を変更させるほどの影響力はなく、今後、これら
の検査を実施すべき最適な検査対象集団を明らかにしていく必要がある。
7) インピーダンス法
を用いた内臓脂肪面積(Visceral Fat Area, VF)は腹囲だけで発見できない内臓脂肪蓄積を発見
できる可能性があり、今後前向き研究での検証等が必要である。8) National Data Base(NDB)を
用いて特定健診の受診回数と循環器疾患の傷病名を伴う新規の入院発生との関連を保険種別
(国民健康保険:市町村国保 / 国保組合、組合管轄健康保険、共済組合)に検討した結果、健
診の受診に労働安全衛生法の強制力が働かない国保の集団では、受診回数が多いほど入院率が
低い傾向を示した。9) 指先採血キットの測定精度は比較的高く、地域住民集団にキットの利用
2
循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業総括研究報告書
健康診査・保健指導における健診項目等の必要性、妥当性の検証、及び地域における健診実施
体制の検討のための研究:令和元年~3年度総合報告
研究代表者 岡村 智教
慶應義塾大学医学部 衛生学公衆衛生学 教授
要旨
本研究では、脳・心血管疾患等の発症リスクを軽減させるための予防介入のあり方を最新の
エビデンスを踏まえて検証し、今後の健診・保健指導の見直しに必要な科学的根拠を得る。健
診でスクリーニングされる危険因子等は、将来の脳・心血管疾患や腎不全の発症等を予測し、
かつ保健指導や早期受診による予防介入が可能であることを前提とした。そして期待されるリ
スクの低下も考慮して、健診項目、検査手技、対象者の抽出方法から保健指導への接続、関連
法規、他制度の連携など幅広い内容を検討した。本研究は、文献レビュー、コホート研究の実
地調査、コホート研究集団とそれ以外の集団の既存情報の解析を主な研究手法として、三年間
の間に以下の点を明らかにした。
1)わが国および主要国の診療ガイドライン、
疾患発症予測ツー
ル等を検証して、健診の基幹項目が、高血圧、糖尿病、脂質異常症(特に高 LDL コレステロー
ル血症)
、喫煙の把握とその介入であることを示した(すべて基本項目として特定健診に入っ
ている)
。2)基幹項目以外の基本項目はγ-GTP や基本項目のみから計算できる fatty liver index
など有用なものもあった。3)既存の詳細な項目のうち安静時心電図検査と眼底検査の目的と選
定基準は明確であった。4)詳細項目のクレアチニンの目的と選定基準は明確であったが、採血
検査は選択検査として行うのは運用上の問題がある。また貧血検査の意義は明確ではなかった。
5) 新規の検体検査の候補としていくつかの有用な項目を検討した。血液検査の候補としては、
BNP(NT-proBNP)、高感度 CRP、脂質詳細検査(変性・酸化 LDL、sdLDL)、シスタチン C
による腎機能検査、尿検査としては微量アルブミン、尿中ナトリウム・カリウム比である。い
ずれも既存の項目に加えて脳・心血管疾患などの発症予測能を上昇させるなどの有用性は認め
たが、
現時点で日本人の非患者集団でのエビデンスは乏しく、
さらなる検証が必要である。
6) 新
規の生理検査の候補としては、上腕足首間脈波伝播速度計測 (baPWV)、頸動脈超音波検査、
中心血圧値・Augmentation Index(AI)の検証を行った。いずれも脳・心血管疾患の発症を予測
能は向上させるが、被験者のリスク管理区分を変更させるほどの影響力はなく、今後、これら
の検査を実施すべき最適な検査対象集団を明らかにしていく必要がある。
7) インピーダンス法
を用いた内臓脂肪面積(Visceral Fat Area, VF)は腹囲だけで発見できない内臓脂肪蓄積を発見
できる可能性があり、今後前向き研究での検証等が必要である。8) National Data Base(NDB)を
用いて特定健診の受診回数と循環器疾患の傷病名を伴う新規の入院発生との関連を保険種別
(国民健康保険:市町村国保 / 国保組合、組合管轄健康保険、共済組合)に検討した結果、健
診の受診に労働安全衛生法の強制力が働かない国保の集団では、受診回数が多いほど入院率が
低い傾向を示した。9) 指先採血キットの測定精度は比較的高く、地域住民集団にキットの利用
2