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参考資料1 岡村班 総合研究報告書_2019~2021 抜粋 (19 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26370.html |
出典情報 | 第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会 健康増進に係る科学的な知見を踏まえた技術的事項に関するワーキング・グループ(第3回 6/22)《厚生労働省》 |
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本研究班では、①文献レビュー、②コホー
えるかという視点も重要である。
ト研究の実地調査、③コホート研究およびそ
本研究では、既存の特定健診の基本項目、
れ以外の既存データの解析、を主な研究手法
詳細項目の意義についても検証し、関連する
として、
三年間の研究を実施した。
この中で、
診療ガイドライン等の改訂状況についても整
②コホート研究の実地調査については、新型
理した。また多くの新規健診項目の候補につ
コロナウイルス禍で調査の中止や遅延などで
いても現時点の長所や短所を検証し、今後の
大きな影響を受けたものの何とか研究を進め
特定健診の改訂に備えたエビデンスを提示す
ることができた。
ることができた。
本研究によって健診制度の終局的な目標を
また健診と保健指導の有機的な連携のため
脳・心血管疾患や腎不全の予防に置いた場合、
には、個々の健診データに基づく意識づけや
どのような危険因子のスクリーニングを、ど
日常の動線上への仕組みの導入が不可欠であ
のように実施するのが最適なのかを検証する
り、健診にどのような形で保健指導などの予
ことができた。これにより現時点のエビデン
防介入を含めるのかを明確にしていく必要も
スに基づく生活習慣疾予防を目的としたスク
あり(システム化)、さらにライフステージ
リーニングと早期の予防介入の考え方が整理
における健康課題に応じた予防介入を維持で
された。これは保健事業を運営する保険者お
きる持続可能な制度も提案すべきである。ま
よび事業主・自治体などのステークホルダが
だまだ残された課題は多いものの、本研究に
資源配分の最適化を検討することにも寄与す
よって少なくとも論点の明確化には寄与でき
ると考えられる。
たと考える。
健診や保健指導の社会全体へのインパクト
を明確にするためには、がん検診のような
E. 結論
個々の健診項目の費用対効果だけでなく、健
本研究では、健診制度の終局的な予防目標
診・保健指導制度自体の効果、さらには費用
を脳・心血管疾患や腎不全に置いた場合、ど
対効果の検証が必要である。本研究の結果、
のような危険因子のスクリーニングを、どの
健診受診者のハードアウトカムのイベントは、 ように実施するのが最適化であるのかを明ら
先行研究と同じく非受診者と比べて概ね30%
かにしてきた。検討の対象は、現状の基本的
少ないこと、特定保健指導が費用対効果から
な健診項目、詳細な健診項目、新規導入が望
見ても有用であることを示すことができた。
ましい新規項目候補の検証まで幅広く実施し、
制度の改良には検査項目・検査手法の変更
検討の手法としては文献レビュー、既存の疫
や追加など様々な提案が可能であるものの、
学データの解析、新規の疫学調査という三つ
特定健診・特定保健指導制度は、保険者の善
の手法を用いた。新規の疫学調査については
意や団体の福利厚生制度として行われている
COVID-19蔓延でかなり制約を受けたものの、
ものではなく、保険者に義務付けられている
健診項目の脳・心血管疾患等の疾患発症予測
という強制制に裏打ちされている側面も忘れ
能、健診受診と疾患発症の関連、特定健診の
てはならない。そのため、どのようにすれば
費用対効果など様々な課題を検証できた。
保険者、ひいては被保険者に受け入れてもら
本研究により、全国民を対象とした持続可
15
えるかという視点も重要である。
ト研究の実地調査、③コホート研究およびそ
本研究では、既存の特定健診の基本項目、
れ以外の既存データの解析、を主な研究手法
詳細項目の意義についても検証し、関連する
として、
三年間の研究を実施した。
この中で、
診療ガイドライン等の改訂状況についても整
②コホート研究の実地調査については、新型
理した。また多くの新規健診項目の候補につ
コロナウイルス禍で調査の中止や遅延などで
いても現時点の長所や短所を検証し、今後の
大きな影響を受けたものの何とか研究を進め
特定健診の改訂に備えたエビデンスを提示す
ることができた。
ることができた。
本研究によって健診制度の終局的な目標を
また健診と保健指導の有機的な連携のため
脳・心血管疾患や腎不全の予防に置いた場合、
には、個々の健診データに基づく意識づけや
どのような危険因子のスクリーニングを、ど
日常の動線上への仕組みの導入が不可欠であ
のように実施するのが最適なのかを検証する
り、健診にどのような形で保健指導などの予
ことができた。これにより現時点のエビデン
防介入を含めるのかを明確にしていく必要も
スに基づく生活習慣疾予防を目的としたスク
あり(システム化)、さらにライフステージ
リーニングと早期の予防介入の考え方が整理
における健康課題に応じた予防介入を維持で
された。これは保健事業を運営する保険者お
きる持続可能な制度も提案すべきである。ま
よび事業主・自治体などのステークホルダが
だまだ残された課題は多いものの、本研究に
資源配分の最適化を検討することにも寄与す
よって少なくとも論点の明確化には寄与でき
ると考えられる。
たと考える。
健診や保健指導の社会全体へのインパクト
を明確にするためには、がん検診のような
E. 結論
個々の健診項目の費用対効果だけでなく、健
本研究では、健診制度の終局的な予防目標
診・保健指導制度自体の効果、さらには費用
を脳・心血管疾患や腎不全に置いた場合、ど
対効果の検証が必要である。本研究の結果、
のような危険因子のスクリーニングを、どの
健診受診者のハードアウトカムのイベントは、 ように実施するのが最適化であるのかを明ら
先行研究と同じく非受診者と比べて概ね30%
かにしてきた。検討の対象は、現状の基本的
少ないこと、特定保健指導が費用対効果から
な健診項目、詳細な健診項目、新規導入が望
見ても有用であることを示すことができた。
ましい新規項目候補の検証まで幅広く実施し、
制度の改良には検査項目・検査手法の変更
検討の手法としては文献レビュー、既存の疫
や追加など様々な提案が可能であるものの、
学データの解析、新規の疫学調査という三つ
特定健診・特定保健指導制度は、保険者の善
の手法を用いた。新規の疫学調査については
意や団体の福利厚生制度として行われている
COVID-19蔓延でかなり制約を受けたものの、
ものではなく、保険者に義務付けられている
健診項目の脳・心血管疾患等の疾患発症予測
という強制制に裏打ちされている側面も忘れ
能、健診受診と疾患発症の関連、特定健診の
てはならない。そのため、どのようにすれば
費用対効果など様々な課題を検証できた。
保険者、ひいては被保険者に受け入れてもら
本研究により、全国民を対象とした持続可
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