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09参考資料1-3 9価ヒトパピローマウイルス( HPV )ワクチン ファクトシート (15 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000192554_00024.html |
出典情報 | 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会(第49回 10/4)《厚生労働省》 |
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HPV については、2013 年度の HPV ワクチン定期接種化に伴い、2014 年度から調査疾
710
2.予防接種の⽬的と導⼊により期待される効果、安全性
694
病に導⼊された。調査実施⾃治体は千葉県(2014 年度-現在)、東京都(2014 年度-現在)
、佐
711
(1)接種の⽬的
695
賀県(2014 年度)
、⼤阪府(2015 年度-現在)であり、毎年度 20 歳以上(371-581 ⼈/年)を
712
HPV ワクチン導⼊の⽬的は、⼦宮頸がん及びその前がん病変の罹患率を減少させ、⼦宮
696
対象に、国⽴感染症研究所で作成した HPV16 ウイルス様粒⼦を⽤いた ELISA 法で抗体
713
頸がんの死亡率を減少させることにある。特に⼦宮頸がんは他の臓器のがんと異なり、20-
697
価の測定が実施されている。
714
40 歳代⼥性の罹患率が⾼く、また近年⽇本ではこの年代の患者数が増加していることから、
698
2015-2019 年度の結果を図 20 に⽰す。調査開始当初は 2011 年度から始まった⼦宮頸が
715
医療上の対策の必要性・緊急性が唱えられている。細胞診による⼦宮頸がん検診は、⼦宮頸
699
ん等ワクチン接種緊急促進事業で接種した⼥性(対象年齢 12-16 歳になる年度)が本調査
716
がん及び前がん病変の早期発⾒のための有効な⼿段であるが、定期的なフォローアップ・治
700
の対象年齢になっていなかったことから、抗体保有率はすべての年齢層で低値であったが、
717
療には医療経済的なコストが⾼い。また腺がんや AIS などの⼦宮頸管の奥から発⽣する病
701
HPV ワクチン被接種者が調査対象に含まれるようになるとともに、20-24 歳群の⼥性の抗
718
変は、細胞診での検出感度が低いことが知られている。HPV ワクチンの導⼊は、このよう
702
体保有率が年々上昇し、2015 年度 27.9 %であった抗体保有率は 2016 年度 29.3 %、2017
719
な⼦宮頸がん検診の弱点をカバーし、⼦宮頸がん罹患率の減少に⼤きく寄与することが期
703
年度 51.2 %、2018 年度 61.1 %、2019 年度調査では 77.5 %まで上昇した。
720
待される。なお HPV は性交渉を介して感染することから、その感染予防のためには性交渉
721
開始前の思春期⼥⼦で接種を⾏うことが重要である。⼀⽅、HPV 感染から⼦宮頸がんの発
704
705
図 20. 感染症流⾏予測調査事業に基づく HPV16 に対する ELISA 抗体保有状況(2015-2019
722
症まで通常 10 年以上の時間がかかることから、HPV ワクチン導⼊の効果が⼦宮頸がん患
706
年度⽐較)感染症流⾏予測調査(67)
723
者の減少として⼈⼝レベルで認められるには、10 年以上の期間が必要と考えられる。従っ
724
て効果が実際に確認されるまで、思春期⼥⼦の接種対象に対して⾼いワクチン接種率を維
725
持することが求められる。
707
男性
⼥性
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(2)使⽤可能な製剤
2021 年 1 ⽉の時点で、世界で使⽤されている HPV 感染予防ワクチンには、2 価、4 価、
729
9 価ワクチンがあり、いずれも組換え DNA 技術を⽤いて HPV の L1 キャプシド蛋⽩質を
730
発現させ、ウイルス様粒⼦( virus-like particles: VLP )に再構成したものを抗原として⽤
731
いている。VLP にはウイルス DNA は含まれていないので、ワクチンには感染性はない。
732
ワクチンは感染予防を⽬的とするもので、既感染者から HPV を排除する効果は認められな
733
い。
734
2 価 HPV ワクチンは製品名「サーバリックスⓇ」
(グラクソ・スミスクライン社)で、⽇
735
本では 2009 年 10 ⽉に承認されている。バキュロウイルス/昆⾍細胞で発現・精製した
736
HPV16, 18 の VLP を有効成分としている。1 回接種量( 0.5 mL )中に、HPV16 VLP 20
737
μg、HPV18 VLP 20 μg、及びアジュバントとしてモノフォスフォリルリピッド A 50 μg
738
及び⽔酸化アルミニウム 500 μg を含む。モノフォスフォリルリピッド A は、サルモネラ
739
菌細胞壁成分のリポポリサッカライドから合成した新規アジュバントである。10 歳以上の
740
⼥性が接種対象で、0, 1, 6 か⽉の 3 回、筋⾁内接種する。HPV16, 18 感染に起因する⼦宮
741
頸がん及びその前駆病変である⼦宮頸部上⽪内腫瘍(CIN2, 3)を予防する。
742
4 価 HPV ワクチンは製品名「ガーダシルⓇ⽔性懸濁筋注シリンジ」(MSD 社)で、⽇本
743
では 2011 年 7 ⽉に承認されている。酵⺟細胞で発現・精製した HPV6, 11, 16, 18 の VLP
744
を有効成分としている。1 回接種量( 0.5 mL )中に、HPV6 VLP 20 μg、HPV11 VLP 40
745
μg、HPV16 VLP 40 μg、HPV18 VLP 20 μg、及びアジュバントとしてアルミニウムヒド
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HPV については、2013 年度の HPV ワクチン定期接種化に伴い、2014 年度から調査疾
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2.予防接種の⽬的と導⼊により期待される効果、安全性
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病に導⼊された。調査実施⾃治体は千葉県(2014 年度-現在)、東京都(2014 年度-現在)
、佐
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(1)接種の⽬的
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賀県(2014 年度)
、⼤阪府(2015 年度-現在)であり、毎年度 20 歳以上(371-581 ⼈/年)を
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HPV ワクチン導⼊の⽬的は、⼦宮頸がん及びその前がん病変の罹患率を減少させ、⼦宮
696
対象に、国⽴感染症研究所で作成した HPV16 ウイルス様粒⼦を⽤いた ELISA 法で抗体
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頸がんの死亡率を減少させることにある。特に⼦宮頸がんは他の臓器のがんと異なり、20-
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価の測定が実施されている。
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40 歳代⼥性の罹患率が⾼く、また近年⽇本ではこの年代の患者数が増加していることから、
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2015-2019 年度の結果を図 20 に⽰す。調査開始当初は 2011 年度から始まった⼦宮頸が
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医療上の対策の必要性・緊急性が唱えられている。細胞診による⼦宮頸がん検診は、⼦宮頸
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ん等ワクチン接種緊急促進事業で接種した⼥性(対象年齢 12-16 歳になる年度)が本調査
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がん及び前がん病変の早期発⾒のための有効な⼿段であるが、定期的なフォローアップ・治
700
の対象年齢になっていなかったことから、抗体保有率はすべての年齢層で低値であったが、
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療には医療経済的なコストが⾼い。また腺がんや AIS などの⼦宮頸管の奥から発⽣する病
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HPV ワクチン被接種者が調査対象に含まれるようになるとともに、20-24 歳群の⼥性の抗
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変は、細胞診での検出感度が低いことが知られている。HPV ワクチンの導⼊は、このよう
702
体保有率が年々上昇し、2015 年度 27.9 %であった抗体保有率は 2016 年度 29.3 %、2017
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な⼦宮頸がん検診の弱点をカバーし、⼦宮頸がん罹患率の減少に⼤きく寄与することが期
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年度 51.2 %、2018 年度 61.1 %、2019 年度調査では 77.5 %まで上昇した。
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待される。なお HPV は性交渉を介して感染することから、その感染予防のためには性交渉
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開始前の思春期⼥⼦で接種を⾏うことが重要である。⼀⽅、HPV 感染から⼦宮頸がんの発
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図 20. 感染症流⾏予測調査事業に基づく HPV16 に対する ELISA 抗体保有状況(2015-2019
722
症まで通常 10 年以上の時間がかかることから、HPV ワクチン導⼊の効果が⼦宮頸がん患
706
年度⽐較)感染症流⾏予測調査(67)
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者の減少として⼈⼝レベルで認められるには、10 年以上の期間が必要と考えられる。従っ
724
て効果が実際に確認されるまで、思春期⼥⼦の接種対象に対して⾼いワクチン接種率を維
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持することが求められる。
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男性
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(2)使⽤可能な製剤
2021 年 1 ⽉の時点で、世界で使⽤されている HPV 感染予防ワクチンには、2 価、4 価、
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9 価ワクチンがあり、いずれも組換え DNA 技術を⽤いて HPV の L1 キャプシド蛋⽩質を
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発現させ、ウイルス様粒⼦( virus-like particles: VLP )に再構成したものを抗原として⽤
731
いている。VLP にはウイルス DNA は含まれていないので、ワクチンには感染性はない。
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ワクチンは感染予防を⽬的とするもので、既感染者から HPV を排除する効果は認められな
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2 価 HPV ワクチンは製品名「サーバリックスⓇ」
(グラクソ・スミスクライン社)で、⽇
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本では 2009 年 10 ⽉に承認されている。バキュロウイルス/昆⾍細胞で発現・精製した
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HPV16, 18 の VLP を有効成分としている。1 回接種量( 0.5 mL )中に、HPV16 VLP 20
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μg、HPV18 VLP 20 μg、及びアジュバントとしてモノフォスフォリルリピッド A 50 μg
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及び⽔酸化アルミニウム 500 μg を含む。モノフォスフォリルリピッド A は、サルモネラ
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菌細胞壁成分のリポポリサッカライドから合成した新規アジュバントである。10 歳以上の
740
⼥性が接種対象で、0, 1, 6 か⽉の 3 回、筋⾁内接種する。HPV16, 18 感染に起因する⼦宮
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頸がん及びその前駆病変である⼦宮頸部上⽪内腫瘍(CIN2, 3)を予防する。
742
4 価 HPV ワクチンは製品名「ガーダシルⓇ⽔性懸濁筋注シリンジ」(MSD 社)で、⽇本
743
では 2011 年 7 ⽉に承認されている。酵⺟細胞で発現・精製した HPV6, 11, 16, 18 の VLP
744
を有効成分としている。1 回接種量( 0.5 mL )中に、HPV6 VLP 20 μg、HPV11 VLP 40
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μg、HPV16 VLP 40 μg、HPV18 VLP 20 μg、及びアジュバントとしてアルミニウムヒド
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