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09参考資料1-3 9価ヒトパピローマウイルス( HPV )ワクチン ファクトシート (2 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000192554_00024.html |
出典情報 | 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会(第49回 10/4)《厚生労働省》 |
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まれるようになり、20-24 歳群の⼥性の抗体保有率が年々上昇した( 2015 年度 27.9 %⇒
2016 年度 29.3 %⇒2017 年度 51.2 %⇒2018 年度 61.1 %⇒2019 年度調査 77.5 % )
。
HPV の遺伝⼦型は 200 以上が報告されており、将来的な発がん性の有無により⾼リスク
型と低リスク型に分けられ、⾼リスク型には、HPV16, 18, 31, 33, 35, 39, 45, 51, 52, 56, 58,
59, 68, 73, 82 が含まれ、低リスク型には、HPV6, 11 が報告されている。浸潤性⼦宮頸がん
に含まれる遺伝⼦型は、世界の地域によって異なっているが、いずれの地域においても 9 価
HPV ワクチンに含まれる遺伝⼦型( HPV6, 11, 16, 18, 31, 33, 45, 52, 58 )で全体の約 90%
に相当する。⽇本においても⼦宮頸がんに含まれる遺伝⼦型は 9 価 HPV ワクチンに含まれ
る遺伝⼦型で約 90%とされている。
(予防接種の導⼊により期待される効果)
HPV ワクチン導⼊の⽬的は、⼦宮頸がん及びその前がん病変の罹患率を減少させ、⼦宮
頸がんの死亡率を減少させることである。⼦宮頸がん検診による⼦宮頸部病変の早期発⾒
に加えて、HPV ワクチン接種により HPV 感染⾃体を予防することで、⼦宮頸がん罹患率
のさらなる減少が期待される。
2021 年 1 ⽉の時点で国内で製造販売承認されている HPV ワクチンには 2 価、4 価、9 価
HPV ワクチンがあり、いずれも組換え DNA 技術を⽤いて産⽣した HPV L1 キャプシド蛋
⽩質を、ウイルス様粒⼦に再構成したものを抗原としている。2 価 HPV ワクチンは
HPV16,18 、 4 価 HPV ワ ク チ ン は HPV6,11,16,18 、 9 価 HPV ワ ク チ ン は
HPV6,11,16,18,31,33,45,52,58 を標的としている。
9 価 HPV ワクチンの効果については、4 価 HPV ワクチンとの⽐較による無作為化⼆重
盲検試験が実施されている。初回接種から4年後の時点で、追加 HPV 型( HPV31, 33, 45,
52, 58 )に関連する⾼度⼦宮頸部疾患( CIN2/3、AIS、浸潤性⼦宮頸がん )
、⾼度外陰部
疾患( VAIN2/3、外陰がん )、及び⾼度腟疾患( VIN2/3、腟がん )の発⽣に対して、9
価 HPV ワクチン接種群では 4 価 HPV ワクチン接種群と⽐べて 97.4 %の有効性( 95 %
信頼区間 85.0-99.9 )が⽰された。また共通 HPV 型( HPV6, 11, 16, 18 )に対する効果
は、初回接種後 7-42 か⽉までの期間、9 価 HPV ワクチン接種群での共通 HPV 型に対する
⾎清抗体価が 4 価 HPV ワクチン接種群に⽐べ同等かそれ以上であり、共通 HPV 型に対す
る免疫原性に関して 9 価 HPV ワクチンの⾮劣性が⽰された。さらに共通 HPV 型に関連す
る疾患発⽣率についても、有意な差は認められなかった。効果の持続性については、9 価
HPV ワクチンの 9-15 歳での3回接種者の⾎清抗体価は、初回接種から 7 か⽉後にピーク
を⽰し、90 か⽉後までに徐々に減少したが、その時点でも 90%以上の被接種者が、9 種類
の HPV 型に対して抗体陽性を⽰した。
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(医療経済学的評価)
国内・海外の先⾏研究などを参考にして HPV 感染から⼦宮頸がん発症に⾄る⾃然史モデ
ルを改めて構築し、ジェノタイプ分布・QOL データについても国内データを組み込んだ上
で、ワクチン接種の費⽤対効果を⾮接種を⽐較対照として分析した。具体的には、未接種・
4 価 HPV ワクチン接種・9 価 HPV ワクチン接種の 3 つの戦略について、⽣涯の医療費と
アウトカム ( 質調整⽣存年 QALY, ⼦宮頸がんの発症数、⼦宮頸がんの死亡数 )を推計し
た。結果は、戦略ごとの費⽤の差を、獲得 QALY の差で除した、1QALY 獲得あたりの増分
費⽤効果⽐ ICER で提⽰した。ICER の値は⼩さいほど「費⽤対効果に優れる」とされ、絶
対的基準としては 1QALY あたり 500-600 万円以下であれば費⽤対効果が良好と判断でき
る。
ICER の結果は、効果持続期間を 10 年とすると 4 価 HPV ワクチン vs 未接種で 712 万
円・9 価 HPV ワクチン vs 未接種で 420 万円となった。100 万⼈あたりでみると、ワクチン
導⼊による⼦宮頸がんの死亡数と罹患数減少は 4 価 HPV ワクチンで 40 ⼈・522 ⼈、9 価
HPV ワクチンで 104 ⼈・1,098 ⼈となった。効果持続期間として 15 年以上を仮定すると、
いずれのワクチンも費⽤対効果は良好となった。検診の受診率引き上げ ( 80 % )の ICER は
175 万円/QALY と、ワクチン接種よりも費⽤対効果に優れる結果になった。現時点では、
他のがん種への予防効果( ワクチンの費⽤対効果を相対的に改善する )や副反応のデータ
( 相対的に悪化する )は組み込んでおらず、より精緻な分析が必要である。
(諸外国の導⼊状況)
2020 年 10 ⽉ 27 ⽇現在、WHO 全加盟国( 194 か国・地域 )のうち、110 か国( 57 % )、
および WHO ⾮加盟国の 21 の国と地域(2019 年 12 ⽉現在)で HPV ワクチンが国の予防
接種スケジュール( the National Immunization Program; NIP )に導⼊されていた。WHO
の提⾔に基づき、2 回接種スケジュールを導⼊している国が多い。WHO, UNICEF による
調査では、各国の HPV ワクチンの推定接種率( 2018 年 )は国によって⼤きく異なって
おり、10 %未満の国から 90 %以上の国まで様々である。また、近年、男児も NIP の対象
とする国が増えつつある。
2019 年における世界の HPV ワクチンのシェアは 4 価 HPV ワクチン 60 %、9 価 HPV
ワクチン 30 %、2 価 HPV ワクチン 10 %となっており、また、約 18 %は男児の接種と推
定されている。
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(予防接種の安全性)
9価 HPV ワクチンの臨床試験において報告された接種部位の症状のうち、報告頻度が
⾼かったのは痛み、腫れ、紅斑であった。これらの症状発現は、9価 HPV ワクチン被接
種者において4価 HPV ワクチン被接種者より多かった。全⾝症状は頭痛、発熱、嘔気等
が報告され、報告頻度は9価 HPV ワクチンと4価 HPV ワクチンで同等であった。
2価および4価 HPV ワクチンに関する疫学研究において、HPV ワクチン既接種者と未
接種者で死亡、その他重篤な有害事象、⾃⼰免疫疾患の発症は同等であった。
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2016 年度 29.3 %⇒2017 年度 51.2 %⇒2018 年度 61.1 %⇒2019 年度調査 77.5 % )
。
HPV の遺伝⼦型は 200 以上が報告されており、将来的な発がん性の有無により⾼リスク
型と低リスク型に分けられ、⾼リスク型には、HPV16, 18, 31, 33, 35, 39, 45, 51, 52, 56, 58,
59, 68, 73, 82 が含まれ、低リスク型には、HPV6, 11 が報告されている。浸潤性⼦宮頸がん
に含まれる遺伝⼦型は、世界の地域によって異なっているが、いずれの地域においても 9 価
HPV ワクチンに含まれる遺伝⼦型( HPV6, 11, 16, 18, 31, 33, 45, 52, 58 )で全体の約 90%
に相当する。⽇本においても⼦宮頸がんに含まれる遺伝⼦型は 9 価 HPV ワクチンに含まれ
る遺伝⼦型で約 90%とされている。
(予防接種の導⼊により期待される効果)
HPV ワクチン導⼊の⽬的は、⼦宮頸がん及びその前がん病変の罹患率を減少させ、⼦宮
頸がんの死亡率を減少させることである。⼦宮頸がん検診による⼦宮頸部病変の早期発⾒
に加えて、HPV ワクチン接種により HPV 感染⾃体を予防することで、⼦宮頸がん罹患率
のさらなる減少が期待される。
2021 年 1 ⽉の時点で国内で製造販売承認されている HPV ワクチンには 2 価、4 価、9 価
HPV ワクチンがあり、いずれも組換え DNA 技術を⽤いて産⽣した HPV L1 キャプシド蛋
⽩質を、ウイルス様粒⼦に再構成したものを抗原としている。2 価 HPV ワクチンは
HPV16,18 、 4 価 HPV ワ ク チ ン は HPV6,11,16,18 、 9 価 HPV ワ ク チ ン は
HPV6,11,16,18,31,33,45,52,58 を標的としている。
9 価 HPV ワクチンの効果については、4 価 HPV ワクチンとの⽐較による無作為化⼆重
盲検試験が実施されている。初回接種から4年後の時点で、追加 HPV 型( HPV31, 33, 45,
52, 58 )に関連する⾼度⼦宮頸部疾患( CIN2/3、AIS、浸潤性⼦宮頸がん )
、⾼度外陰部
疾患( VAIN2/3、外陰がん )、及び⾼度腟疾患( VIN2/3、腟がん )の発⽣に対して、9
価 HPV ワクチン接種群では 4 価 HPV ワクチン接種群と⽐べて 97.4 %の有効性( 95 %
信頼区間 85.0-99.9 )が⽰された。また共通 HPV 型( HPV6, 11, 16, 18 )に対する効果
は、初回接種後 7-42 か⽉までの期間、9 価 HPV ワクチン接種群での共通 HPV 型に対する
⾎清抗体価が 4 価 HPV ワクチン接種群に⽐べ同等かそれ以上であり、共通 HPV 型に対す
る免疫原性に関して 9 価 HPV ワクチンの⾮劣性が⽰された。さらに共通 HPV 型に関連す
る疾患発⽣率についても、有意な差は認められなかった。効果の持続性については、9 価
HPV ワクチンの 9-15 歳での3回接種者の⾎清抗体価は、初回接種から 7 か⽉後にピーク
を⽰し、90 か⽉後までに徐々に減少したが、その時点でも 90%以上の被接種者が、9 種類
の HPV 型に対して抗体陽性を⽰した。
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(医療経済学的評価)
国内・海外の先⾏研究などを参考にして HPV 感染から⼦宮頸がん発症に⾄る⾃然史モデ
ルを改めて構築し、ジェノタイプ分布・QOL データについても国内データを組み込んだ上
で、ワクチン接種の費⽤対効果を⾮接種を⽐較対照として分析した。具体的には、未接種・
4 価 HPV ワクチン接種・9 価 HPV ワクチン接種の 3 つの戦略について、⽣涯の医療費と
アウトカム ( 質調整⽣存年 QALY, ⼦宮頸がんの発症数、⼦宮頸がんの死亡数 )を推計し
た。結果は、戦略ごとの費⽤の差を、獲得 QALY の差で除した、1QALY 獲得あたりの増分
費⽤効果⽐ ICER で提⽰した。ICER の値は⼩さいほど「費⽤対効果に優れる」とされ、絶
対的基準としては 1QALY あたり 500-600 万円以下であれば費⽤対効果が良好と判断でき
る。
ICER の結果は、効果持続期間を 10 年とすると 4 価 HPV ワクチン vs 未接種で 712 万
円・9 価 HPV ワクチン vs 未接種で 420 万円となった。100 万⼈あたりでみると、ワクチン
導⼊による⼦宮頸がんの死亡数と罹患数減少は 4 価 HPV ワクチンで 40 ⼈・522 ⼈、9 価
HPV ワクチンで 104 ⼈・1,098 ⼈となった。効果持続期間として 15 年以上を仮定すると、
いずれのワクチンも費⽤対効果は良好となった。検診の受診率引き上げ ( 80 % )の ICER は
175 万円/QALY と、ワクチン接種よりも費⽤対効果に優れる結果になった。現時点では、
他のがん種への予防効果( ワクチンの費⽤対効果を相対的に改善する )や副反応のデータ
( 相対的に悪化する )は組み込んでおらず、より精緻な分析が必要である。
(諸外国の導⼊状況)
2020 年 10 ⽉ 27 ⽇現在、WHO 全加盟国( 194 か国・地域 )のうち、110 か国( 57 % )、
および WHO ⾮加盟国の 21 の国と地域(2019 年 12 ⽉現在)で HPV ワクチンが国の予防
接種スケジュール( the National Immunization Program; NIP )に導⼊されていた。WHO
の提⾔に基づき、2 回接種スケジュールを導⼊している国が多い。WHO, UNICEF による
調査では、各国の HPV ワクチンの推定接種率( 2018 年 )は国によって⼤きく異なって
おり、10 %未満の国から 90 %以上の国まで様々である。また、近年、男児も NIP の対象
とする国が増えつつある。
2019 年における世界の HPV ワクチンのシェアは 4 価 HPV ワクチン 60 %、9 価 HPV
ワクチン 30 %、2 価 HPV ワクチン 10 %となっており、また、約 18 %は男児の接種と推
定されている。
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(予防接種の安全性)
9価 HPV ワクチンの臨床試験において報告された接種部位の症状のうち、報告頻度が
⾼かったのは痛み、腫れ、紅斑であった。これらの症状発現は、9価 HPV ワクチン被接
種者において4価 HPV ワクチン被接種者より多かった。全⾝症状は頭痛、発熱、嘔気等
が報告され、報告頻度は9価 HPV ワクチンと4価 HPV ワクチンで同等であった。
2価および4価 HPV ワクチンに関する疫学研究において、HPV ワクチン既接種者と未
接種者で死亡、その他重篤な有害事象、⾃⼰免疫疾患の発症は同等であった。
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