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参考資料4 がん検診Shared Decision Making(SDM)運用マニュアル2022年度版 (13 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34640.html
出典情報 がん検診のあり方に関する検討会(第39回 8/9)《厚生労働省》
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専門知識をより分かりやすく伝える工夫が必要となる。しかし、最近のレビューでは、知識の改善の
みが SDM を推進するのではなく、患者(受診者)が SDM に参加する意欲、自分の知識への信頼、
SDM に参加することによる自己達成感等の活力の必要性が強調されている 4)。
2)医療者
プライマリケア医を主として対象とした SDM の調査では、臨床的な問題や意思決定に関する議
論は 71%で行われていたが、医療の利益・不利益、患者(受診者)の役割、不確実性については
ほとんど議論されておらず、患者(受診者)の理解度にはほとんど関心がなかった。こうした背景に
は、医療者にとって多忙な勤務で十分な時間のない中での SDM が負担となっていることも影響し
ている 4,5)。しかし、患者(受診者)とより身近で接触する機会の多い職種(具体的には看護師)がよ
り SDM の必要性を認識しているとする報告もある 6)。テーマ分析を主体とした本研究では、医療
者にとって SDM の意識を高めること、医療の新たな体制の整備、DA の活用、SDM を推進するリ
ーダーシップが重要であるとしている。英国 NHS の SDM ガイダンスで、医療者の教育とともに
SDM を牽引していく SDM Champions の存在の重要性が指摘されている 7)。
また、SDM の経済的インセンティブや優先順位による段階的実施などの検討も行われている。
しかし、これらの問題以外にも医療者自身が必ずしも SDM について理解していないことや教育機
会がなかったことなども障害となることが報告されている 8)。
3)体制
SDM はケアの一環として位置づけられ、医療者が SDM を適切に対応できるような体制を求め
ている。英国での SDM は法的な裏付けのもと、診断・治療の過程に組み込まれ、個人への対応、
SDM 支援体制、教育支援、公共的サービスによる包括的な支援が行われ推進されている 7)。多く
の医療者は必ずしもこうしたトレーニングの必要性を認識していないが、SDM のトレーニングを受
けた医療者が中心となり意識変革を進めることも重要であるとしている。
European Commission による精度管理ガイドラインでは、患者(受診者)とのコミュニケーションを
とり、正しい情報を伝え検診参加についての選択(Informed Choice)を推進することを提言している
9)

。2021 年の更新版においても、乳がん検診は患者(受診者)中心主義の方針のもとに、SDM を

推進することが推奨されている 10)(表 4)。さらに、コミュニケーションや患者(受診者)にとって必要
な情報や価値観に配慮しながら、情報提供を求めている。そのために、医療者へのコミュニケーシ
ョンスキル、SDM、正しい情報提供の方法などのトレーニング、さらには検診対象者のモニタリング
を行い、患者団体メンバーも含み、その結果を評価することを必要条件として提示している。

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