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参考資料4 がん検診Shared Decision Making(SDM)運用マニュアル2022年度版 (24 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34640.html |
出典情報 | がん検診のあり方に関する検討会(第39回 8/9)《厚生労働省》 |
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Ⅴ. 新たな支援対策:ナースナビゲーション
1. ナースナビゲーションとは
患者ナビゲーション(Patient Navigation)は 1990 年代にニューヨークの病院でマンモグラフィに
異常所見のあった社会的弱者を支援するために開発された方法である。支援を担当するのが主と
して看護師であることからナースナビゲーションといわれることが多いが、医療の資格がない人でも
一定のトレーニングを受けて担当することもありうる。米国では National Cancer Institute(NCI)と
American Chemical Society(ACS)が共同で患者ナビゲーションの研究を行い、2008 年には法制
化され、さらに 2011 年には Affordable Care Act に引き継がれている。
患者ナビゲーションの定義は様々であるが、基本的にはバリアに焦点をあてた介入方法である
1)
。Wells らは、患者ナビゲーションの特徴として、以下の 5 項目をあげている。
特定の問題に対して個々の患者に対応する
提供されるサービスが完遂できるエンドポイントが設定できる
がん関連ヘルスケアの問題に対応するヘルスサービスが特定できる
がんのケアにアクセスするための患者レベルのバリアが特定できる
一連のがんのケアへのアクセス遅延を減少させる
CDC の The Community Guide によると、大腸がん検診受診率対策として多角的な介入を推奨
している 2)。個別の対策よりも、複数の戦略(利便性、教育、個別支援など)を組み合わせた一連の
プログラムの効果が認められている。
ナースナビゲーションは開発当初から乳がん検診や大腸がん検診に利用され、近年では肺が
ん検診にも応用されている。便潜血検査陽性後の精密検査受診勧奨の効果に関するシステマティ
ックレビューでは、効果があるのはナースナビゲーションと提供者へのリマインダーであった 3)。が
ん検診の精密検査受診勧奨におけるナースナビゲーションは研究だけではなく、プログラムにも応
用されている 4)。プログラムにおいても、便潜血検査陽性後の精密検査受診勧奨で効果が認めら
れたのはナースナビゲーションと提供者へのリマインダーであり、精密検査受診率は 10%強増加し
た。CDC の支援を受けたオハイオ州やニューハンプシャー州ではナースナビゲーションにより、全
大腸内視鏡による検診受診率が増加したばかりでなく、検査のキャンセルの減少や前処置の改善
も報告されている 5, 6)。
文献
1)
Wells KJ, Battaglia TA, Dudley DJ, Garcia R, Greene A, Calhoun E, Mandelblatt JS, Paskett
ED, Raich PC; Patient Navigation Research Program. Patient navigation: state of the art or is it
science? Cancer. 2008;113(8):1999-2010.
2)
The Community Guide. Cancer Screening: Multicomponent Interventions Colorectal Cancer.
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1. ナースナビゲーションとは
患者ナビゲーション(Patient Navigation)は 1990 年代にニューヨークの病院でマンモグラフィに
異常所見のあった社会的弱者を支援するために開発された方法である。支援を担当するのが主と
して看護師であることからナースナビゲーションといわれることが多いが、医療の資格がない人でも
一定のトレーニングを受けて担当することもありうる。米国では National Cancer Institute(NCI)と
American Chemical Society(ACS)が共同で患者ナビゲーションの研究を行い、2008 年には法制
化され、さらに 2011 年には Affordable Care Act に引き継がれている。
患者ナビゲーションの定義は様々であるが、基本的にはバリアに焦点をあてた介入方法である
1)
。Wells らは、患者ナビゲーションの特徴として、以下の 5 項目をあげている。
特定の問題に対して個々の患者に対応する
提供されるサービスが完遂できるエンドポイントが設定できる
がん関連ヘルスケアの問題に対応するヘルスサービスが特定できる
がんのケアにアクセスするための患者レベルのバリアが特定できる
一連のがんのケアへのアクセス遅延を減少させる
CDC の The Community Guide によると、大腸がん検診受診率対策として多角的な介入を推奨
している 2)。個別の対策よりも、複数の戦略(利便性、教育、個別支援など)を組み合わせた一連の
プログラムの効果が認められている。
ナースナビゲーションは開発当初から乳がん検診や大腸がん検診に利用され、近年では肺が
ん検診にも応用されている。便潜血検査陽性後の精密検査受診勧奨の効果に関するシステマティ
ックレビューでは、効果があるのはナースナビゲーションと提供者へのリマインダーであった 3)。が
ん検診の精密検査受診勧奨におけるナースナビゲーションは研究だけではなく、プログラムにも応
用されている 4)。プログラムにおいても、便潜血検査陽性後の精密検査受診勧奨で効果が認めら
れたのはナースナビゲーションと提供者へのリマインダーであり、精密検査受診率は 10%強増加し
た。CDC の支援を受けたオハイオ州やニューハンプシャー州ではナースナビゲーションにより、全
大腸内視鏡による検診受診率が増加したばかりでなく、検査のキャンセルの減少や前処置の改善
も報告されている 5, 6)。
文献
1)
Wells KJ, Battaglia TA, Dudley DJ, Garcia R, Greene A, Calhoun E, Mandelblatt JS, Paskett
ED, Raich PC; Patient Navigation Research Program. Patient navigation: state of the art or is it
science? Cancer. 2008;113(8):1999-2010.
2)
The Community Guide. Cancer Screening: Multicomponent Interventions Colorectal Cancer.
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