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参考資料4 がん検診Shared Decision Making(SDM)運用マニュアル2022年度版 (16 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34640.html |
出典情報 | がん検診のあり方に関する検討会(第39回 8/9)《厚生労働省》 |
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Ⅲ. SDM:がん検診への応用
近年では、診療だけではなく、がん検診においても SDM の推進が求められている。がん検診の
提供は国や地域の体制により異なり、集団を対象として広く情報を伝えることを目的として、リーフ
レット、ホームページ、DVD などの伝達手段が作成されてきた。こうした一方向性の伝達手段だけ
でなく、SDM は受診の意思決定に伴うコミュケーションである。従って、SDM は従来の情報伝達や
受診率対策だけでなく、対象者への公平な受診機会を提供するための新たなコミュケーション方
法として期待されつつある。
1. がん検診における SDM の考え方
臨床現場での SDM とは異なり、地域や集団を対象とした介入という点から、Informed Decision
Making、Informed Choice といった表現が用いられる場合もある。米国 Centers for Disease Control
and Prevention(CDC)ガイドラインでは、Informed Decision Making は集団を対象とした介入とし、
臨床現場で用いられる SDM を包括する概念としている 1)。近年では、患者(受診者)・医療者間の
コミュケーションの用語として Informed Decision Making よりも SDM が広く用いられている。
USPSTF は、医療者と患者(受診者)との予防や検診・健診にかかわる意思決定プロセスにお
いて、以下の 4 つの要因が必要であるとしている 1)。①対象となる疾患のリスクや重症度の理解、
②利益・不利益、選択肢、不確実性についての理解、③利益・不利益に対する価値づけ、④患者
(受診者)にとって満足のいくレベルで意思決定が行われること。これらを達成することが、医療者と
患者(受診者)の両者が参加する、SDM の目指す方向である。また、USPSTF では検診や予防の
ための SDM の目的として、自律性の確保、患者(受診者)・医療者間の信頼関係構築、知識の改
善、嗜好・価値観の尊重、健康アウトカムの改善、選択した方法の遵守率改善をあげている 2)。し
かしながら、SDM の遵守率に関する研究は少なく、健康アウトカムへの寄与は十分な検証がされ
ていない。
文献
1)
Briss P, Rimer B, Reilley B, Coates RC, Lee NC, Mullen P, Corso P, Hutchinson AB, Hiatt R,
Kerner J, George P, White C, Gandhi N, Saraiya M, Breslow R, Isham G, Teutsch SM, Hinman
AR, Lawrence R; Task Force on Community Preventive Services. Promoting informed
decisions about cancer screening in communities and healthcare systems. Am J Prev Med.
2004;26(1):67-80.
2)
Sheridan SL, Harris RP, Woolf SH; Shared Decision-Making Workgroup of the U.S. Preventive
Services Task Force. Shared decision making about screening and chemoprevention. a
suggested approach from the U.S. Preventive Services Task Force. Am J Prev Med.
2004;26(1):56-66.
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近年では、診療だけではなく、がん検診においても SDM の推進が求められている。がん検診の
提供は国や地域の体制により異なり、集団を対象として広く情報を伝えることを目的として、リーフ
レット、ホームページ、DVD などの伝達手段が作成されてきた。こうした一方向性の伝達手段だけ
でなく、SDM は受診の意思決定に伴うコミュケーションである。従って、SDM は従来の情報伝達や
受診率対策だけでなく、対象者への公平な受診機会を提供するための新たなコミュケーション方
法として期待されつつある。
1. がん検診における SDM の考え方
臨床現場での SDM とは異なり、地域や集団を対象とした介入という点から、Informed Decision
Making、Informed Choice といった表現が用いられる場合もある。米国 Centers for Disease Control
and Prevention(CDC)ガイドラインでは、Informed Decision Making は集団を対象とした介入とし、
臨床現場で用いられる SDM を包括する概念としている 1)。近年では、患者(受診者)・医療者間の
コミュケーションの用語として Informed Decision Making よりも SDM が広く用いられている。
USPSTF は、医療者と患者(受診者)との予防や検診・健診にかかわる意思決定プロセスにお
いて、以下の 4 つの要因が必要であるとしている 1)。①対象となる疾患のリスクや重症度の理解、
②利益・不利益、選択肢、不確実性についての理解、③利益・不利益に対する価値づけ、④患者
(受診者)にとって満足のいくレベルで意思決定が行われること。これらを達成することが、医療者と
患者(受診者)の両者が参加する、SDM の目指す方向である。また、USPSTF では検診や予防の
ための SDM の目的として、自律性の確保、患者(受診者)・医療者間の信頼関係構築、知識の改
善、嗜好・価値観の尊重、健康アウトカムの改善、選択した方法の遵守率改善をあげている 2)。し
かしながら、SDM の遵守率に関する研究は少なく、健康アウトカムへの寄与は十分な検証がされ
ていない。
文献
1)
Briss P, Rimer B, Reilley B, Coates RC, Lee NC, Mullen P, Corso P, Hutchinson AB, Hiatt R,
Kerner J, George P, White C, Gandhi N, Saraiya M, Breslow R, Isham G, Teutsch SM, Hinman
AR, Lawrence R; Task Force on Community Preventive Services. Promoting informed
decisions about cancer screening in communities and healthcare systems. Am J Prev Med.
2004;26(1):67-80.
2)
Sheridan SL, Harris RP, Woolf SH; Shared Decision-Making Workgroup of the U.S. Preventive
Services Task Force. Shared decision making about screening and chemoprevention. a
suggested approach from the U.S. Preventive Services Task Force. Am J Prev Med.
2004;26(1):56-66.
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