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参考資料4 がん検診Shared Decision Making(SDM)運用マニュアル2022年度版 (28 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34640.html
出典情報 がん検診のあり方に関する検討会(第39回 8/9)《厚生労働省》
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ない」「いつでも医療機関を受診できる」「がんが見つかるのがこわい」などの理由で受診率が低い
背景の分析がなされており、都道府県においてもきめ細かな受診率の分析や、年代・性別ごとの
意識調査等で課題の抽出を行い、勧奨に向けた課題を明確化し、住民(受診者)の立場に立った
分かりやすい情報提供や受診しやすい環境整備に活用することが望まれる。
2)普及啓発の取り組みについて、実施主体と対象を明示して立案実施する(普及人材、情報発信
など)
「推進サポーター制度(群馬県 がんに強い群馬づくり推進サポーター制度)」「情報ポータルサ
イトによる啓発(福井県 がん検診受診勧奨センター)」「医療従事者による啓発(がんよろず相談
医、がん検診サポート薬剤師など)」などの取り組みは実施主体を明示して立案実施している。都
道府県のこれまでの取り組みを踏まえ、住民へさまざまな機会にがん検診の受診、受診機会の正
しい活用について啓発を推進することが望まれる。
3)検診の利益・不利益に関する適切な情報提供を含む、効果的な発信を実施する(DA の活用、
個別勧奨における再勧奨や、精密検査受診の個別勧奨、企業や健康保険組合との協業など)
普及啓発に関する実施計画においては、特に注力すべき対象を明らかにし、評価指標を明らか
にした上で、多様なステークホルダー参画のもとでの取り組みが望まれる。その際に、利益・不利
益についての理解や DA の活用や普及にあたっては、標準的な資材を活用した啓発や、関係者
への説明会、職域や健康保険組合との連携などがなされることが望ましい。
3. 経済学的な視点からの情報提供や支援の 3 つの意義
がん検診の受診意思決定について経済学の最も古典的な見方は、合理的に判断している
というものである。図 3 を見てみよう、対象者は検診の便益と検診の費用の両者を考慮す
る。ここでは、便益として死亡率低下、偽陽性による不必要な精密検査、検診そのものの
侵襲の 3 つがあるとしよう。死亡率低下は正の便益をもたらすが、偽陽性による不必要な
精密検査と検診そのものの侵襲は負の便益をもたらす。
一方費用として、検診の自己負担金、検診場所への交通費、検診の時間費用の 3 つがあ
るとしよう。費用のため、これらはいずれも高ければ高いほど検診を受けない選択に促す
と経済学では想定する。自己負担と交通費は「お金」としてかかるものであるが、検診の
時間費用は「お金」で現れないものである。検診場所までの移動や待ち時間、検診そのも
のの時間について、その時間を他のことに使ったら得られた便益があるはずである。経済
学では、ある選択をしたことで諦めた選択肢の価値も「機会費用」という費用として捉え
る。

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