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参考資料4 がん検診Shared Decision Making(SDM)運用マニュアル2022年度版 (21 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34640.html
出典情報 がん検診のあり方に関する検討会(第39回 8/9)《厚生労働省》
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Ⅳ. 我が国おける受診率対策
がん検診が十分な効果を示すためには、多くの人にがん検診を受診してもらうことが必要である。
諸外国では受診率対策としてがん検診受診者に受診案内を送付するコール、未受診者へのリコ
ールが標準的に実施されている。米国 The Community Preventive Services Task Force(CPSTF)1)
のレビューでは乳がん検診・子宮頸がん検診・大腸がん検診において手紙や電話によるコール・リ
コールが推奨されている。
我が国でもがん対策推進基本計画においてがん検診受診率の目標が掲げられ、市区町村はそ
の対策に励んできた。市区町村のがん検診受診率対策はがん検診実施状況調査から把握するこ
とができる。市区町村のがん検診受診率対策の効果指標はがん検診受診率である。2016-2019 年
度における全国 1,739 市区町村の肺がんと乳がん検診受診率中央値はそれぞれ 10.2-11.7%、
21.3-21.9%でほぼ横ばいであった(厚生労働省、地域保健・健康増進事業報告)。個別受診勧奨
を行った市区町村は肺がん検診では 63.6%から 82.0%に増加した一方、乳がん検診は 82.6%から
86.6%とわずかな増加にとどまっていた。肺がん検診の場合、「個別受診勧奨あり」の受診率中央
値 11.6%、「個別受診勧奨なし」の受診率中央値 8.8%であった。乳がん検診の場合、「個別受診
勧奨あり」の受診率中央値 22%、「個別受診勧奨なし」の受診率中央値 18.4%であった。
肺がん検診と乳がん検診の受診勧奨方法は類似しており、「個別に郵送で通知」が最多で約
70-80%の市区町村が実施していた。次いで「世帯主宛に通知」が約 20-25%、「個別訪問 (非自治
体職員)」が約 10-15%実施されていた。「個別に電話で通知」が約 5-7%、「個別訪問 (自治体職
員)」は約 2-4%であった。受診勧奨法別の肺がん/乳がん検診受診率中央値は、「個別に郵送で
通知」10%/20.8%、「個別に電話で通知」9.1%/20.1%、「個別訪問 (自治体職員)」11.4/20.4%、「個
別訪問 (非自治体職員)」16.8%/27.9%、「世帯主宛に通知」15.5%/27.2%であった。「個別訪問
(非自治体職員)」と「世帯主宛に通知」を両方実施している市区町村は約 200 であり、肺がん/乳
がん検診受診率中央値はそれぞれ 16.5%/28.8%であった。
対象者全員に個別受診勧奨を実施した市区町村の割合は肺がん検診では 49.7%から 53.9%、
乳がん検診では 35.9%から 48.3%へと増加している。節目年齢の者や特定の年齢幅の者への勧
奨は乳がん検診でやや多く実施されており、市区町村国保加入者への勧奨は肺がん検診でやや
多く実施されていた。
個別受診勧奨の実施は受診率向上の重要な要因であるが、検診対象者全員に実施できている
自治体は約半数にとどまっており、国内においては「個別訪問 (非自治体職員)」と「世帯主宛に
通知」の方が受診率は高い。ただし、両者を組み合わせても受診率向上は見られない。これは受
診勧奨方法自体が優れているのではなく、両者に共通する別の要因があるとも推察される。核家
族化、共働き世帯の増加、個人情報保護への意識の高まりなどの社会環境下では世帯主への郵
送や個別訪問は手間のかかる勧奨法であるが、あえてこういった手法を選択できる自治体は地域
や家庭の関係性が良いと考えられる。そういった地域の住民は適切な支援を受ければ、良い健康
行動をおこしやすいのかもしれない。
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