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参考資料4 がん検診Shared Decision Making(SDM)運用マニュアル2022年度版 (31 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34640.html |
出典情報 | がん検診のあり方に関する検討会(第39回 8/9)《厚生労働省》 |
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Ⅶ. SDM の実践:がん検診で SDM をどのように行うか
地域・職域のがん検診において、受診対象者とコミュケーションを取り支援する立場としては、医
師よりも身近な保健師・看護師がより現実的と考えられる 1)。保健師はすでに地域・職域における
健康教育や支援を行っており、その一環としてがん検診の SDM を位置づけていくのが理想的で
あろう。がん検診の未受診者は必ずしも強い意志を持って検診を受けていないのではなく、不正確
な知識による誤解や制度に関する情報不足なども障壁となっている。未受診者にがん検診の気づ
きの機会を提供し、受診支援を併せて行うがん検診型 SDM が現実的であろう。がん検診へのアク
セスを高めるためには、SDM の概念を浸透させるとともに、受診への支援対策も併せて検討すべ
きである。がん検診における SDM の推進に向けて、実現性のあるプランを提案する。
文献
1)
Ankolekar A, Steffensen KD, Olling K, Dekker A, Wee L, Roumen C, Hasannejadasl H, Fijten
R. Practitioners' views on shared decision-making implementation: A qualitative study. PLoS
One.2021 Nov;16(11):e0259844.
1. DA に含まれる情報
集団・個別にかかわらず、がん検診の情報として、利益・不利益と選択肢を伝えることが重要で
ある。これまで作成されてきたがん検診のリーフレットに含まれる情報は包括的ではあったが、受診
自体の案内や誘導に力点があり、検診自体の課題についての説明は必ずしも十分とは言えなか
った。しかし、SDM に発展させるための機会を提供するという観点からは、従来に比べて対象とな
る方法の利益・不利益を定量的な情報として把握できること、また受診しないという選択も含めた代
替案の提示、方法の比較を明示する必要がある。
推奨される方法については、検診の利益・不利益バランスを定量的に評価できるファクトシート
が 広 く 作 成 さ れ て お り 、 英 国 NHS1) 、 The Canadian Task Force on Preventive Health Care
(CTFPHC)2)、フィンランドがん協会 3)、ドイツ Institute for Quality and Efficiency in Health Care
(IQWiG)4)が後援する InformedHealth.org などでも患者(受診者)向けの情報提供ツールを公開し
ている。ただし、近年の患者(受診者)向け情報提供ツールの内容は利益・不利益バランスを科学
的根拠に基づき正確性を期すというよりも、がん発見数や要精密検査数、検診の流れを定量的に
示し、患者(受診者)にとって直感的に理解しやすい簡便な表示に変化している。
本研究班では「子宮頸がん検診(HPV 検査・細胞診)」(補足資料 1)
、「大腸がん検診便潜
血検査」(補足資料 2)
、「大腸がん検診精密検査」
(補足資料 3)の 3 件の DA を作成した。
子宮頸がん検診における細胞診、HPV 検査、大腸がん検診における便潜血検査(免疫法)はい
ずれも対策型検診として推奨されている方法である。従って、ここでは「検診を受診しない」という選
択肢は示していない。各々の検査においても、検査の概要、利益・不利益を比較可能な形で示す
オプショングリッドを用いた。さらに、一次検診については、がん検診の効果を把握できるように具
27
地域・職域のがん検診において、受診対象者とコミュケーションを取り支援する立場としては、医
師よりも身近な保健師・看護師がより現実的と考えられる 1)。保健師はすでに地域・職域における
健康教育や支援を行っており、その一環としてがん検診の SDM を位置づけていくのが理想的で
あろう。がん検診の未受診者は必ずしも強い意志を持って検診を受けていないのではなく、不正確
な知識による誤解や制度に関する情報不足なども障壁となっている。未受診者にがん検診の気づ
きの機会を提供し、受診支援を併せて行うがん検診型 SDM が現実的であろう。がん検診へのアク
セスを高めるためには、SDM の概念を浸透させるとともに、受診への支援対策も併せて検討すべ
きである。がん検診における SDM の推進に向けて、実現性のあるプランを提案する。
文献
1)
Ankolekar A, Steffensen KD, Olling K, Dekker A, Wee L, Roumen C, Hasannejadasl H, Fijten
R. Practitioners' views on shared decision-making implementation: A qualitative study. PLoS
One.2021 Nov;16(11):e0259844.
1. DA に含まれる情報
集団・個別にかかわらず、がん検診の情報として、利益・不利益と選択肢を伝えることが重要で
ある。これまで作成されてきたがん検診のリーフレットに含まれる情報は包括的ではあったが、受診
自体の案内や誘導に力点があり、検診自体の課題についての説明は必ずしも十分とは言えなか
った。しかし、SDM に発展させるための機会を提供するという観点からは、従来に比べて対象とな
る方法の利益・不利益を定量的な情報として把握できること、また受診しないという選択も含めた代
替案の提示、方法の比較を明示する必要がある。
推奨される方法については、検診の利益・不利益バランスを定量的に評価できるファクトシート
が 広 く 作 成 さ れ て お り 、 英 国 NHS1) 、 The Canadian Task Force on Preventive Health Care
(CTFPHC)2)、フィンランドがん協会 3)、ドイツ Institute for Quality and Efficiency in Health Care
(IQWiG)4)が後援する InformedHealth.org などでも患者(受診者)向けの情報提供ツールを公開し
ている。ただし、近年の患者(受診者)向け情報提供ツールの内容は利益・不利益バランスを科学
的根拠に基づき正確性を期すというよりも、がん発見数や要精密検査数、検診の流れを定量的に
示し、患者(受診者)にとって直感的に理解しやすい簡便な表示に変化している。
本研究班では「子宮頸がん検診(HPV 検査・細胞診)」(補足資料 1)
、「大腸がん検診便潜
血検査」(補足資料 2)
、「大腸がん検診精密検査」
(補足資料 3)の 3 件の DA を作成した。
子宮頸がん検診における細胞診、HPV 検査、大腸がん検診における便潜血検査(免疫法)はい
ずれも対策型検診として推奨されている方法である。従って、ここでは「検診を受診しない」という選
択肢は示していない。各々の検査においても、検査の概要、利益・不利益を比較可能な形で示す
オプショングリッドを用いた。さらに、一次検診については、がん検診の効果を把握できるように具
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