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参考資料6 全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団と大臣の定期協議に係る議事録(令和5年度) (15 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35798.html
出典情報 肝炎対策推進協議会(第31回 10/18)《厚生労働省》
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って悔しいよね」と言うと、「それは言わないで。誰を恨んでも、文句を言っても、元の普通の体に
は戻らないから。戻れるなら、今までも幾らでも文句を言っているさ」と言いました。
いつも明るく、つらい顔を見せなかった夫ですが、心の中はこの病気への悔しさと命が消えるか
もしれない恐怖の両方でいっぱいなのだと思いました。私はどうしてあげることもできず、夫の前
で泣くこともできませんでした。
そして、最後の入院。1月 31 日の午後、夫の意識がなくなりかけたその時、私は、今、伝えてお
かなければと思い、「私も子供も幸せだった。ありがとう」と言うと、「うん、俺も」と、やっと出るよう
な小さな声で答えてくれました。成立した最後の会話でした。夕方から完全に意識がなくなり、そし
て、夫はヒマラヤよりも高く遠いところに行ってしまいました。
葬儀を済ませて、独りになりました。先日まで隣にいた夫がいない。どの部屋を探してもいない。
消えたのです。消えました。「ねえ」と呼びかけたら、「うん、何」と答えてくれた人が消えました。心
も周りも暗闇状態。テレビの天気予報が本日は快晴ですと言っているのに、私の周りには色がな
い。夜はいつまでも寝つかれない。食事をしても味がない。楽しかった思い出も1人で思い出すの
は悲しくて、涙が出ます。寂しい。声だけでも聞きたい。月1回、いいえ、年1回でいいから、天国に
電話をさせて。そんな日々がずっと続きました。
けれども、「君が幸せでいることが俺の幸せ、君が楽しそうに笑っているのを見るのが嬉しいん
だよ」と夫がいつも言っていたことを思い出しました。「そうだ。明るく生きなければ」と考えを変えま
した。
何かしたいと、原告団の活動にも参加しました。人前で話をするのも苦手ですが、体験を伝える
患者講義もやってみました。体験談を映像に残す撮影にもチャレンジしました。今の私の姿を夫も
喜んでくれているはず。
人は誰でも、その存在が誰かの支えや励みや喜びになっています。誰の命も大切にしてほしい
です。そのような私たちの心の中を医療に関わる皆様に聞いてもらいたいです。
大臣、お願いです。
まず、医療の安全を徹底するためには、現役の医療従事者も私たちの被害を知ることは重要
だと思いませんか。また、被害者が体験談を語る患者講義やそれを撮影した動画はその役に立
てると思いますが、いかがでしょうか。ぜひ、医療従事者向けの医療安全の研修において患者講
義や動画が活用されるように効果的な取組をしてください。よろしくお願いいたします。
○奥泉氏
小川さん、お疲れさまでした。
では、大臣、よろしくお願いいたします。
○厚生労働大臣
小川さん、ありがとうございます。大変優しい御主人で、本当に最後はヒマラヤ遊覧、ネパール
へ行けなくて本当に残念なことだったと思います。改めてお悔やみを申し上げたいと思いますし、
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