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○医薬品の新規薬価収載について 総-5-1 (4 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00223.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 総会(第564回 11/15)《厚生労働省》
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2.本剤の特徴、作用機序
動脈硬化性疾患(特に、心筋梗塞を中心とした心疾患、脳梗塞・脳卒中を中心とした
脳血管疾患)は、本邦での主な死亡の要因である 1)。動脈硬化の発症・進展は多様な危
険因子の重なりによって引き起こされることが知られており、その主要な危険因子とし
て高コレステロール血症がある。また、多くの研究結果から、低比重リポ蛋白コレステ
ロール(LDL-C)値を低下させると心血管イベントリスクが低下することが明らかにな
っており、高コレステロール血症において、コレステロールの中でも、LDL-C 値を管理
することが最も重要であるとされ、動脈硬化性疾患の予防を目的とした管理基準として
採用されている 2)。
動脈硬化性疾患や冠動脈疾患に係る疾患ガイドラインにおいて、複数の動脈硬化危険
因子に基づいて層別した動脈硬化性疾患による死亡の絶対リスクに応じて LDL-C 値の
管理目標値が設定されている。既存の運動療法、食事療法及び薬物治療を最大限受けて
いるにも関わらず LDL-C 値の管理目標値を達成していない患者がおり、動脈硬化性疾
患の発症予防の観点では重要な課題である。
このような医療状況に鑑み、既存の治療で効果不十分な家族性高コレステロール血症
(FH)又は高コレステロール血症患者を対象に、レクビオ皮下注 300 mg シリンジ(一
般名:インクリシランナトリウム、以下「本剤」という。)の開発が行われた。本剤は、
HMG-CoA 還元酵素阻害剤(スタチン)に対する忍容性が低い等の理由からスタチンに
よる治療が適さない患者に投与する場合を除き、スタチンと併用する薬剤として開発が
行われた。
本剤は、プロ蛋白質転換酵素サブチリシン/ケキシン 9 型(PCSK9)蛋白質をコード
する mRNA を標的とした低分子干渉リボ核酸(siRNA)治療薬であり、RNA 干渉作用
により PCSK9 mRNA の分解を促進する新規作用機序の薬剤である。本剤の修飾部分で
ある GalNAc は肝細胞表面に高発現するアシアロ糖蛋白受容体(ASGPR)に結合するた
め、本剤はエンドサイトーシスにより肝臓に取り込まれるよう設計されている。この機
構によって本剤が肝細胞内に取り込まれたのち、RNA 干渉作用により PCSK9 mRNA の
分解が触媒され、PCSK9 蛋白質の発現は低下する。PCSK9 は LDL 受容体(LDLR)と
結合しリソソームによる LDLR の分解を促進する役割を有することから、
本剤の PCSK9
発現低下作用により肝細胞表面上の LDLR 量は増加し、LDLR による LDL-C の取り込
みが促進され、循環血中の LDL-C 低下作用をもたらすことが期待される。

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