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【資料2】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状について (23 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41827.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会(第88回 8/8)《厚生労働省》 |
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新型コロナ罹患後症状とME/CFSに類似する症候の関連性(住民調査)
研究分担者:国立国際医療研究センター国際医療協力局グローバルヘルス政策研究センター・センター長
磯博康
本研究の主な結果と考察
➢ 感染者と非感染者の比較では、ME/CFSに類似する症候を有する者の割合は同程度(0.47~0.74%)であった。
➢ 症候を有し労作後の消耗が14時間以上続く者の割合は、感染者では0.31~0.43%、非感染者の0.08~0.15%であった。
➢ 一方、感染者の内、感染3ヶ月時点で罹患後症状がある者は、罹患後症状がない者よりも、ME/CFSに類似する症候を有すると回答した割合は高く、
ME/CFSに類似する症候を有し、かつ労作後の消耗が14時間以上続く者の割合も高かった。
⇒ 住民調査においては、ME/CFSに類似する症候を有する者の割合は、感染者と非感染者では差がみられなかった。罹患後症状がある者ではない者と比べて、
ME/CFSに類似する症候を有する者の割合が高かった。
対象
【今回用いたIOM基準等に関する質問項目】
八尾市:2022年度の調査に回答した、2021年3月~2022年4月(第4~6波)のCOVID-19感染者と非感染者
札幌市:2021年度の調査および2022年度の調査に回答した、2020年1月~2022年9月(第1~7波)の
・過去4週間の身体機能の低下による仕事や日常生活への支障
COVID-19感染者と非感染者
・活力(元気/疲労)の頻度
罹患後症状の定義
・最小限の身体的あるいは精神的努力をした後の疲労感、倦怠感、その他症状の悪化の有無。悪化がある人に
罹患後症状:感染者において2か月以上持続し、かつ初回感染から3か月時点で有した症状
遷延症状:非感染者において2022年12月から回答時点までの間で2か月以上続いた症状
・過去6か月間の7症状の頻度と程度:①疲労/極度の疲れ ②激しくない日常の労作をしただけで、翌日、
・過去4週間の身体的・情緒的問題による社会活動への制限の頻度
おいては、その持続時間
痛みや疲労がある ③最小限の労作でも身体的に疲れてしまう ④朝目覚めたときに爽快感がない ⑤記憶障害
ME/CFSに類似する症候の調査方法
⑥長時間集中することが難しい ⑦足元がふらつき、倒れる感じがする
下記についてアンケート調査を行った。
・DSQ-SF*のうち、 IOM基準*に当てはまる項目
・ME/CFSの中核症状である労作後の消耗(PEM:Post-Exertional Malaise)の持続時間(カットオフ値:
ME/CFS患者の約9割が該当する「14時間以上」)
IOM基準に合致する回答者を「ME/CFSに類似する症候あり」として定義し、PEMの持続時間とあわせて感染
者・非感染者、罹患後症状のある者とない者で比較した。
*DSQ-SF:DePaul Symptom Questionnaire-Short Form ME/CFS等の症状評価に使われる質問紙。
*IOM基準:The Institute of Medicine 2015 diagnostic criteria for ME/CFS。米国医学研究所(IOM)が
提唱したME/CFSの診断基準。
結果
解析対象者数
平均年齢, 歳 (SD)
性別、人 (%)
男性
女性
その他
平均追跡期間、月 (SD)
COVID-19の重症度、人 (%)
無症状
軽症
中等症Ⅰ・Ⅱ
重症
欠損
八尾市 (成人)
感染者
非感染者
3,019
1,314
42.3 (12.2)
43.8 (13.1)
札幌市 (成人)
感染者
非感染者
1,967
764
42.1 (13.5)
45.4 (14.3)
1,090 (36.1)
1,927 (63.8)
2 (0.1)
21.4 (6.4)
739 (37.6)
1,225 (62.3)
3 (0.2)
26.6 (10.2)
144 (4.8)
2,549 (84.4)
57 (1.9)
12 (0.4)
257 (8.5)
482 (36.7)
831 (63.2)
1 (0.1)
-
39 (2.0)
1762 (89.6)
47 (2.4)
31 (1.6)
88 (4.5)
310 (40.6)
452 (59.2)
2 (0.3)
-
3項目すべてを満たす場合にIOM基準に合致と判断した。
•
身体機能の低下による仕事や日常生活への支障
•
身体的・情緒的問題による社会活動への制限
•
活力(元気/疲れやすさ)の低下
上記の2つ以上を満たす
•
疲労
•
労作後倦怠感
•
睡眠をとっても回復しない
上記のすべてを満たす
•
•
認知機能の障害
起立不耐症
上記のいずれかを満たす
全体
感染者
八尾市(成人)
感染者
(n=2,919) a)
札幌市(成人)
非感染者
(n=1,283) a)
感染者
(n=1,628) a)
非感染者
(n=654) a)
八尾市(成人)
札幌市(成人)
罹患後症状
罹患後症状
あり(n=382) a) なし(n=2,537) a)
罹患後症状
罹患後症状
あり(n=338) a) なし(n=1290) a)
n
(%)
n
(%)
n
(%)
n
(%)
n
(%)
n
(%)
n
(%)
n
(%)
IOM基準値合致、人(%)
14
(0.48)
6
(0.47)
12
(0.74)
4
(0.61)
8
(2.09)
6
(0.24)
8
(2.37)
4
(0.31)
IOM基準合致、かつPEMの持続
時間が14時間以上、人(%)
9
(0.31)
1
(0.08)
7
(0.43)
1
(0.15)
5
(1.31)
4
(0.16)
6
(1.78)
1
(0.08)
a)
IOM基準の質問項目への無回答者を除いた人数
【研究の留意事項】
・一般的に回答率は症状のある人で高くなる傾向(回答バイアス)があることから、罹患後症状を有した者の割合や、ME/CFSに類似する症候を有した者の割合の解釈には留意が必要である
・感染者、非感染者ともに想起バイアスの影響は否定できない
・アンケート調査であるため医師による鑑別診断(詳細な問診や身体診察および検査による他疾患の除外等)を行っておらず、他疾患による症状が含まれている可能性は否定できない
・今回はIOM基準を用いたが、ME/CFSの診断基準自体がまだ定まっていない点は留意が必要である
研究分担者:国立国際医療研究センター国際医療協力局グローバルヘルス政策研究センター・センター長
磯博康
本研究の主な結果と考察
➢ 感染者と非感染者の比較では、ME/CFSに類似する症候を有する者の割合は同程度(0.47~0.74%)であった。
➢ 症候を有し労作後の消耗が14時間以上続く者の割合は、感染者では0.31~0.43%、非感染者の0.08~0.15%であった。
➢ 一方、感染者の内、感染3ヶ月時点で罹患後症状がある者は、罹患後症状がない者よりも、ME/CFSに類似する症候を有すると回答した割合は高く、
ME/CFSに類似する症候を有し、かつ労作後の消耗が14時間以上続く者の割合も高かった。
⇒ 住民調査においては、ME/CFSに類似する症候を有する者の割合は、感染者と非感染者では差がみられなかった。罹患後症状がある者ではない者と比べて、
ME/CFSに類似する症候を有する者の割合が高かった。
対象
【今回用いたIOM基準等に関する質問項目】
八尾市:2022年度の調査に回答した、2021年3月~2022年4月(第4~6波)のCOVID-19感染者と非感染者
札幌市:2021年度の調査および2022年度の調査に回答した、2020年1月~2022年9月(第1~7波)の
・過去4週間の身体機能の低下による仕事や日常生活への支障
COVID-19感染者と非感染者
・活力(元気/疲労)の頻度
罹患後症状の定義
・最小限の身体的あるいは精神的努力をした後の疲労感、倦怠感、その他症状の悪化の有無。悪化がある人に
罹患後症状:感染者において2か月以上持続し、かつ初回感染から3か月時点で有した症状
遷延症状:非感染者において2022年12月から回答時点までの間で2か月以上続いた症状
・過去6か月間の7症状の頻度と程度:①疲労/極度の疲れ ②激しくない日常の労作をしただけで、翌日、
・過去4週間の身体的・情緒的問題による社会活動への制限の頻度
おいては、その持続時間
痛みや疲労がある ③最小限の労作でも身体的に疲れてしまう ④朝目覚めたときに爽快感がない ⑤記憶障害
ME/CFSに類似する症候の調査方法
⑥長時間集中することが難しい ⑦足元がふらつき、倒れる感じがする
下記についてアンケート調査を行った。
・DSQ-SF*のうち、 IOM基準*に当てはまる項目
・ME/CFSの中核症状である労作後の消耗(PEM:Post-Exertional Malaise)の持続時間(カットオフ値:
ME/CFS患者の約9割が該当する「14時間以上」)
IOM基準に合致する回答者を「ME/CFSに類似する症候あり」として定義し、PEMの持続時間とあわせて感染
者・非感染者、罹患後症状のある者とない者で比較した。
*DSQ-SF:DePaul Symptom Questionnaire-Short Form ME/CFS等の症状評価に使われる質問紙。
*IOM基準:The Institute of Medicine 2015 diagnostic criteria for ME/CFS。米国医学研究所(IOM)が
提唱したME/CFSの診断基準。
結果
解析対象者数
平均年齢, 歳 (SD)
性別、人 (%)
男性
女性
その他
平均追跡期間、月 (SD)
COVID-19の重症度、人 (%)
無症状
軽症
中等症Ⅰ・Ⅱ
重症
欠損
八尾市 (成人)
感染者
非感染者
3,019
1,314
42.3 (12.2)
43.8 (13.1)
札幌市 (成人)
感染者
非感染者
1,967
764
42.1 (13.5)
45.4 (14.3)
1,090 (36.1)
1,927 (63.8)
2 (0.1)
21.4 (6.4)
739 (37.6)
1,225 (62.3)
3 (0.2)
26.6 (10.2)
144 (4.8)
2,549 (84.4)
57 (1.9)
12 (0.4)
257 (8.5)
482 (36.7)
831 (63.2)
1 (0.1)
-
39 (2.0)
1762 (89.6)
47 (2.4)
31 (1.6)
88 (4.5)
310 (40.6)
452 (59.2)
2 (0.3)
-
3項目すべてを満たす場合にIOM基準に合致と判断した。
•
身体機能の低下による仕事や日常生活への支障
•
身体的・情緒的問題による社会活動への制限
•
活力(元気/疲れやすさ)の低下
上記の2つ以上を満たす
•
疲労
•
労作後倦怠感
•
睡眠をとっても回復しない
上記のすべてを満たす
•
•
認知機能の障害
起立不耐症
上記のいずれかを満たす
全体
感染者
八尾市(成人)
感染者
(n=2,919) a)
札幌市(成人)
非感染者
(n=1,283) a)
感染者
(n=1,628) a)
非感染者
(n=654) a)
八尾市(成人)
札幌市(成人)
罹患後症状
罹患後症状
あり(n=382) a) なし(n=2,537) a)
罹患後症状
罹患後症状
あり(n=338) a) なし(n=1290) a)
n
(%)
n
(%)
n
(%)
n
(%)
n
(%)
n
(%)
n
(%)
n
(%)
IOM基準値合致、人(%)
14
(0.48)
6
(0.47)
12
(0.74)
4
(0.61)
8
(2.09)
6
(0.24)
8
(2.37)
4
(0.31)
IOM基準合致、かつPEMの持続
時間が14時間以上、人(%)
9
(0.31)
1
(0.08)
7
(0.43)
1
(0.15)
5
(1.31)
4
(0.16)
6
(1.78)
1
(0.08)
a)
IOM基準の質問項目への無回答者を除いた人数
【研究の留意事項】
・一般的に回答率は症状のある人で高くなる傾向(回答バイアス)があることから、罹患後症状を有した者の割合や、ME/CFSに類似する症候を有した者の割合の解釈には留意が必要である
・感染者、非感染者ともに想起バイアスの影響は否定できない
・アンケート調査であるため医師による鑑別診断(詳細な問診や身体診察および検査による他疾患の除外等)を行っておらず、他疾患による症状が含まれている可能性は否定できない
・今回はIOM基準を用いたが、ME/CFSの診断基準自体がまだ定まっていない点は留意が必要である