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参考資料7 全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団と大臣の定期協議 (14 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44257.html
出典情報 肝炎対策推進協議会(第33回 10/11)《厚生労働省》
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がなくなってしまいました。生きてはいる。けど、もう自分は死んだ、と思いました。
その2年後、自分のB型肝炎は、国のずさんな集団予防接種が原因だと知りました。私は夢を
諦めたことも、母との時間を失ったことも、自分には何の落ち度もなかった、全部国のせいだと思い
ました。その悔しい気持ちをぶつけようと、患者講義に参加しました。
しかし、学生の真剣なまなざしを前に話をし、他の原告や弁護士と準備を重ねる中で、様々なこ
とに気がつきました。母を拒絶したのは自分であったこと。その原因は、自分の中にある、母たるも
のという理想像や性感染症に対する偏見であったこと。そのために、大事な家族を傷つけてしまっ
たこと。それでも家族は仕事を辞めた後も変わらずに支えてくれたことなど。私は、母を受け入れ、
祖母と孫の時間を取り戻そうと決めました。
もちろん、被害がなければ違う人生を歩めていたのではないかという悔しさはあります。でも、被
害がなければ、なかった出会いも、感 じ取れなかった気持ちもあります。患者 講義を通じて、今の
自分を受け入れることができました。生きている。それが大事、と今は思えています。
今では、自分の過ちも、被害を乗り越えたいともがく姿も全て学生に伝えることが大事ではない
かと思い、患者講義に取り組んでいます。
B型肝炎を全く知らない人でも、体験を聞くことで心に何かが芽生えます。話す側も、若い世代
の将来に役立てているという実感から、感染被害というマイナスの出来事にプラスの一面を加える
ことのできる機会になっています。患者講義は双方にとって貴重な体験の場なのです。
未来の世代のために、日本全国に患者講義を根づかせたい。また、1人でも多くの原告の体験
を生かしていきたい。これが私の新しい夢になりました。患者講義を広げることは、今しかできない
と思いました。そこで、時間の融通が利く派遣社員の仕事をしながら頑張ることにしました。
多くの原告が同じ思いを持って10年間患者講義に取り組んできました。その実績は、10年間で
770回 、患者 講 義 を聞 いてくれた方は7万 3000人 を超 えました。講 師を経 験 した原 告は、もうすぐ
200名です。
B型肝炎は、今はまだ差別を受ける病気です。人前で話すにはとても大きな勇気が要ります。ま
た、原 告一 人一 人事 情が異なります。怒り、悔しさ、苦 しみをぶつけるほかない方もいます。御 遺
族は大切な方が返ってくることはありません。
しかし、全ての原告に共通していることは、自分たちと同じような苦しみをする人が二度と出ない
ように、私たちの被害を生かしてほしいという願いです。その願いは、学生や生徒にも伝わっている
と感じています。
そこで大臣にお願いです。まず、この患 者講義の活動についてどう思われますか。大臣の考え
をお聞かせください。
次に、これからも患者講義を広げていきたいです。中学生や医療従事者にも聞いてほしいです。
皆さんも一緒に取り組んでいただけますか。
最後に、ぜひ大臣も患者講義を見に来てください。患者や家族が苦しみながらも前を向いて話
をし、それを学生、生徒が真剣に受け止める患者 講義を体験してほしいです。よろしくお願いします。

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