よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


資料2-4 重篤副作用疾患別対応マニュアル 血管炎による腎障害(ANCA関連含む)(案)[1.2MB] (10 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000209243_00011.html
出典情報 重篤副作用総合対策検討会(第16回 10/17)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

B.医療関係者の皆様へ
薬剤誘発性血管炎の血管炎全体に占める割合は 3%程度とされ、一次性血管
炎と比較して軽症であることが多い。多くは単一臓器(皮膚に好発)のみが罹
患し、薬剤中止によって軽快するが、多臓器が罹患した場合や原因薬の中止が
遅れた場合には重症化することがあり、臓器障害の程度に応じた免疫抑制療
法が必要となる。

1.早期発見と早期対応のポイント
(1)早期に認められる症状
薬剤誘発性 ANCA 関連血管炎の多くは、顕微鏡的多発血管炎に類似した血
管炎症候を呈する 1),2)。初発症状は全身倦怠感、発熱、感冒様症状、関節痛、
筋肉痛、体重減少などの非特異的な症状であるが、一部の症例は特徴的な皮
疹 、す なわ ち下肢 に硬 結を 伴う紫 斑や 、盛 り上が った 紫斑 (palpable
purpura)
、皮膚潰瘍、網状皮斑などを伴うことがあるので見逃さないように
する。食思不振などの消化器症状、神経症状なども同時にみられる。これら
の症状がみられた場合には薬剤誘発性 ANCA 関連血管炎も念頭にいれ、早い
段階で薬剤服用歴を聴取する。原因薬として抗甲状腺薬がよく知られている
が、一部の抗菌薬や向精神薬、生物学的製剤使用中の場合にも留意すべきで
ある。
一方、ANCA が関連しない薬剤誘発性血管炎は皮膚症状が中心で臓器病変
が少なく、ANCA 関連より比較的早く症状が出現する傾向がある。
(2)副作用の好発時期
被疑薬の投与開始から発症までに長期間経っていることが多く、数か月か
ら数年に及ぶ場合もある。平均 3 年程度だが、数日で発症した例や十数年経
た例もある 3)。ANCA と関連のない薬剤性血管炎の場合は比較的早く出現し、
おおむね 2 週間以内に発症する。
(3)患者側のリスク因子
実際に血管炎が発症する割合は 4~6.5%と低いが、特定薬剤を長期投与す
ることによって発症リスクがより高まる。抗甲状腺薬の PTU では、使用期間
が 9 か月以上になると ANCA が誘導されやすい 4)。遺伝的背景も影響する。
(4)推定原因医薬品(表)
薬剤誘発性 ANCA 関連血管炎は 2012 年に提唱された新しい疾患カテゴリ
ーであり、ほぼ全ての薬剤系統に及ぶ。抗甲状腺薬、抗菌薬、降圧薬、免疫
9