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資料2-4 重篤副作用疾患別対応マニュアル 血管炎による腎障害(ANCA関連含む)(案)[1.2MB] (14 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000209243_00011.html
出典情報 重篤副作用総合対策検討会(第16回 10/17)《厚生労働省》
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である。すなわち遺伝的背景を基盤に、感染症などで産生された TNF-αや
IL-8 などのサイトカインにより好中球が過剰に活性化され、ANCA の対応抗
原が細胞表面に表出される。この表出された抗原に ANCA が結合し、さらに
好中球が活性化される。活性化された好中球は糸球体局所に浸潤し、好中球
か ら DNA と ヒスト ン 、 さら に MPO など を 含む 好中 球 細 胞外 ト ラッ プ
(neutorophil extracellular traps : NETs)というクロマチンファイバー
を放出し、糸球体内皮細胞障害と壊死性糸球体腎炎を生じる機序が注目され
ている 7)。
薬剤誘発性 ANCA 関連血管炎の機序は未だ不明な点が多い。ほとんどの薬
剤性血管炎における ANCA の対応抗原は MPO であり、 血管炎の疾患活動性
は、ANCA 抗体価ではなく ANCA に対する親和性と相関する 8)。
① 薬剤による NETs 分解阻害説
通常 NETs は DNase で分解され直ちに血中から消失する。抗甲状腺薬であ
る PTU の添加で誘導される NETs は形態異常を呈し、DNaseⅠ抵抗性である
ことが示されている 9)。この分解されにくい NETs に含まれる MPO が自己
抗原となり MPO-ANCA が産生され、さらなる好中球活性化を誘導し、血管
炎を発症させると推測されている。
② アポトーシス説
スルファサラジンなどのいくつかの薬剤は、好中球のアポトーシスを誘
導し、細胞表面に細胞質内の標的抗原(MPO など)を表出させ ANCA と結合
し、好中球を活性化させ血管炎を惹起させる 10)。
③ その他
薬剤による免疫寛容と誘導とそれに続く抗体産生促進説 11)、Toll-like
receptor 9 と NALP inflammasome を介した自然免疫が関与する説 12)、遺
伝子背景の関与 13)なども注目されている。
(7)医薬品ごとの特徴(代表的な薬剤)
① PTU
抗甲状腺薬のなかでも PTU の報告が最も多い。検出される MPO-ANCA は高
力価の場合が多いが、親和性は低い。投与期間が長期になるとともに MPOANCA の陽性率が上昇する理由としては、PTU 誘導性 ANCA の炎症惹起性が
弱く、病原性が低いことからただちに血管炎発症につながることは少ない
が、繰り返す PTU 刺激が ANCA 力価とその親和性を増強させること、抗血
管内皮細胞抗体を誘導することが明らかにされている。また、本邦からの
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