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資料2-4 重篤副作用疾患別対応マニュアル 血管炎による腎障害(ANCA関連含む)(案)[1.2MB] (18 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000209243_00011.html
出典情報 重篤副作用総合対策検討会(第16回 10/17)《厚生労働省》
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6.典型的症例
症例
36 歳 女性、主婦
主訴
血痰、全身倦怠感
現病歴
30 歳時にバセドウ病と診断され、33 歳時より PTU150 ㎎/日の投与を受け
ていた。PTU 内服を開始してから 2 年後より膝関節痛・足関節痛を自覚
し、全身倦怠感、発熱、咳嗽、鼻水などの感冒症状、上強膜炎を繰り返す
ようになった。その半年後、少量の血痰と労作時息切れを自覚するように
なり入院した。
入院時現症
体重は平常時より 1 ㎏減少、体温 35.2℃、血圧 120/70mmHg、脈拍 84/
分整。両眼瞼結膜は貧血様で両眼瞼結膜は上強膜炎による充血を認めてい
た。両眼の突出なし。頸部には圧痛のない弾性軟の腫大した甲状腺を触知
した。両下腿には結節性紅斑様皮疹を認めた。胸部では両下肺野に湿性ラ
音を聴取。心聴診は異常なく、腹部は平坦軟で脾は触知しなかった。
入院時検査所見
白血球数、血小板数は基準値内であったが、Hb 6.6g/dl, Ht 24.2%と著
明な貧血を認め、CRP は 3.7mg/dl と増加していた。クレアチニン
1.3mg/dl, 尿蛋白 0.8g/dl, 尿潜血 3+, 沈査 RBC 多数、顆粒円柱+と腎炎
様尿を伴う腎障害を認めた。血清免疫検査では、蛍光抗体法で
perinuclear pattern ANCA (P-ANCA)が陽性で、酵素抗体法で MPO-ANCA が
239 EU/ml と高値を示していた。PR3-ANCA, 抗核抗体は陰性で、補体も正
常であった。喀痰は血性で、喀痰培養では結核菌を含む菌検出はみられな
かった。胸部レントゲン写真、胸部 CT 写真にて両下肺野に著明な浸潤影が
みられ、気管支鏡検査を施行したところ肺末梢より著明な出血を認めた。
入院後経過
薬剤誘発 ANCA 関連血管炎と診断し PTU を中止。しかし中止 10 日後も血
管炎症状が改善せず、ステロイドパルス療法と後療法 PSL30 ㎎/日を施行
した。2 週間後には MPO-ANCA 128 EU/ml と低下し、血痰、胸部レントゲ
ン写真の浸潤影は一旦消失したが、その 1 か月後、再び血痰を繰り返し、
MPO-ANCA 163 EU/ml と再上昇したため、シクロフォスファミド 50 ㎎/日
を追加した。これにより 1 か月後に MPO-ANCA は正常化し血痰消失。腎機
能も正常化し血尿蛋白尿も消失した。シクロフォスファミドは 10 か月使
用し中止したが、血管炎の寛解を維持した。また甲状腺機能も正常で順調
に経過した。
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