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○先進医療技術の科学的評価等について資料 先-3-2 (44 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205617_00016.html
出典情報 先進医療会議(第81回 7/7)《厚生労働省》
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先進医療の名称

<先進医療告示18>
MEN1遺伝子診断

適応症
多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)が疑われるもの(原発性副甲状腺機能亢進症(pHPT)(多腺症でないものにあ
っては、四十歳以下の患者に係るものに限る。)又は多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)に係る内分泌腫瘍症(当該
患者の家族に多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)に係る内分泌腫瘍を発症したものがある場合又は多発性内分泌
腫瘍症1型(MEN1)に係る内分泌腫瘍を複数発症している場合に限る。))
内容
(先進性)
多発性内分泌腫瘍症 1 型(Multiple endocrine neoplasia type 1:MEN1)は常染色体優性遺伝形式を示す遺伝性
疾患である。MEN1 症例の約 90%以上は原発性副甲状腺機能亢進症(pHPT)を発症し、さらに約 40~60%に膵十
二指腸腫瘍、約 30~50%に下垂体腫瘍、約 20~40%に副腎皮質腫瘍、約 5%に胸腺気管支カルチノイドを発症す
る。
原因遺伝子は MEN1 遺伝子であり、臨床的に MEN1 と診断された家系の約 80~90%に MEN1 遺伝子の生殖細
胞系列変異が証明される。MEN1 遺伝子変異のホットスポットは認められず、MEN1 遺伝子の全コード領域およびエ
クソン・イントロン境界部に変異は広く存在する。本遺伝子に変異を認めた場合は MEN1 であることが確定する。
pHPT に対する外科的治療では、散発性(非遺伝性)であれば腫大した 1 腺のみの摘出でよいが、MEN1 であれば
副甲状腺を 4 線あるいは過剰腺も含めて全摘し、前腕への副甲状腺を一部自家腺移植する術式をとらねばならな
い。MEN1 の膵十二指腸内分泌腫瘍では、術前検査の範囲や切除範囲の部位が異なってくる。つまり臨床的に
MEN1 の疑われる患者に対して遺伝性の有無を本検査法で確定診断をつけることにより、各症例に適した治療と検
査を可能にする。本診断は上記腫瘍の術式選択や他の内分泌腫瘍の早期発見のために臨床的に必須な検査であ
る。
本遺伝子診断ではシーケンシング法を用いる。シーケンシングに関わる試薬には薬事法で認可された診断薬は
ないが、既に先進医療技術として実施されている遺伝子診断や保険収載されている遺伝子診断においてもまったく
同様の手法が用いられている。
(概要)
1)発端者診断
MEN1 の疑われる患者(発端者)が対象となる。遺伝カウンセリングを施行し患者の同意を得た上で採血を行
い、末梢血白血球より DNA を抽出する。次に、MEN1 遺伝子のエクソン 2~10 のすべてを PCR 法を用いて一度
に増幅し、塩基配列を DNA シーケンサーにより解析する。変異が認められた場合、MEN1 であることが確定する。
2)保因者診断
MEN1 遺伝子変異が判明している家系の血縁者が対象となる。上記 1)と同様の手順で遺伝子診断を行うが、
既知の変異部位のみのシーケンスを行う。変異を認めた場合は、MEN1 に関する各種検査を行い、治療適応のあ
るものに関しては早期治療が可能になる。一方、MEN1 遺伝子の変異が認められない血縁者に対しては、遺伝し
ていないことが判明し、以後の臨床検査は不要となり、医療費の節約が可能となる。
(効果)
本遺伝子診断により、個々の症例に応じた検査および治療法選択が可能となる。遺伝性の場合、例えば副甲状
腺手術では、副甲状腺全摘術・前腕自家移植を施行することにより再発にリスクを著しく低減することができ、また、
複数回に渡って副甲状腺手術を実施する可能性はほぼなくなるため、患者の肉体的・経済的負担を大幅に軽減で
きる。また、保因者診断を実施した場合、遺伝性と判明した血縁者に対する早期診断・早期治療が可能となり、治癒
率の飛躍的向上が期待できる。遺伝していないと判明した場合は、以後の臨床検査が不要となり、医療費の節約と
なる。
(先進医療に係る費用)
発端者診断:122,800 円、保因者診断:80,000 円

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