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参考資料15 第4期がん対策推進基本計画策定に向けた小児がん患者・家族からの要望 (7 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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ンなどの電子端末を用いたツールの開発を通じて、患者(家族)自身で情報を管理できる仕
組みが必要です。後者の電子端末を用いたツールは日々の健康状態や症状などを記録し医
師らと共有する仕組みであり、PHR(personal health record)、ePRO(electronic patientreported outcome)と呼ばれ、利用することで症状の改善が見られ、QOL や生存率が 20%
以上向上すると報告されています(4)。これらを実現するため、国が先頭に立って取りまと
めを行って一つの力とし、治療/症状経過を記録するツールの開発及び患者・医療機関に普
及・定着させるような施策を速やかに実行してください。
【社会状況に左右されない小児がんの医療体制の継続】
新型コロナウイルス感染症の蔓延による医療リソースの欠如が生じた際、AYA 世代の病棟
が閉鎖される事態や小児科医の他科への対応が発生するなど、新型コロナウイルス感染症
の入院患者が主に成人患者の増加であるにも関わらず、小児の医療リソースが割かれる事
態が起きています。小児がんの治療を担う医療機関は少数であり、それらを削ることは小児
がんの治療機会を奪うことに繋がります。今後は社会状況に大きく左右されないようにし
てください。

要望3)長期フォローアップ体制の整備と小児から成人への移行医療の充足を図ってください。
【長期フォローアップ体制の整備】
2007 年以降、がん対策推進基本計画において小児がん治療の環境整備と合併症に対応でき
る長期フォローアップ体制の整備が進み、結果として小児がん中央機関と小児がん拠点病
院が整備され、診療だけでなく長期フォローアップ体制も進められることとなりました。し
かし、未だに長期フォローアップの認知度が低いことが報告されており、約4割が晩期合併
症や必要なフォローアップについて説明を受けられていないと報告されています(3)。また、
小児がん経験者の 82.6%が長期フォローアップで困り課題があると指摘しており、アンケ
ート回答者の 6.6%が晩期合併症の理解がないために診療拒否された経験を持っており、望
んだ通りの長期フォローアップを受けられていないと答えた患者・家族が 21.7%もいるこ
とがわかっています(1)。さらに、小児がん経験者の長期フォローアップ支援ツール(JCCG
長期フォローアップ手帳など)の認知度は低く、周知が不十分であり十分に活用されており
ません。とりわけ年少期発症の場合は、患者に対する周知において本人への精神的影響を考
慮するなどの配慮(妊孕性の低下や晩期合併症への罹患リスクの伝え方など)が必要である
と言われています。また、長期フォローアップは、小児がん経験者が自身のリスクを知り、
積極的に合併症を予防、合併症を早期発見するための健康保健教育の場として重要な意義
をもつことが指摘されています。一方で、小児がん経験者は、青年後期から前成人期にかけ
て健康な自分が受診することに対する煩わしさを感じることで受診を中断しており、その
理由として、医師から説明を受けていないことによる将来的な晩期合併症のリスクやその
深刻さについての知識が乏しいことと、継続する意味が分からない受診への戸惑いであっ
たと指摘されています。そのため、治療を終えた小児がん経験者に対して、小児がん登録を

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