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参考資料 1 (29 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20221129/index.html
出典情報 財政制度等審議会 令和5年度予算の編成等に関する建議(11/29)《財務省》
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未来からの視点(フォーリン・アフェアーズ・レポート9⽉号巻頭論⽂から)資料Ⅰ-5-3
歴史の始まりーー壊滅的リスクの時代を⽣き抜くには(抜粋)
ウィリアム・マッカスキル オックスフォード⼤学准教授(哲学)
この1世紀におけるもっとも厄介な出来事は、⼈類が⾃らを滅亡させる⼒をもつようになったことだ。気候変動から核戦争、⼈為的に操作
された病原体によるパンデミック、制御不能な⼈⼯知能(AI)、まだ登場していない破壊的なテクノロジーにいたるまで、⼈類を破滅へと
向かわせかねない危険はいまや数多く存在する。つまり、現代に⽣きるわれわれは、⾃分たちや⼦どもたちの命だけでなく、これから⽣まれ
てくるすべての⼈の存在そのものを左右する無謀な賭けをしていることになる。賢明に判断して⾏動すれば、来るべき世紀は、「未来に向
けてわれわれがいかなる責務を負っているか」の認識によって形作られ、われわれの孫の孫たちは感謝と誇りをもって私たちの⾏動を振り
返ることになるだろう。だが私たちが判断を間違えれば、彼らが⽣まれてくることはないかもしれない。

・・・未来に向けた⼈類の潜在的⽣存のスケールを理解することは、計り知れない数字を操るという無為な⾏為ではない。
それは、何が問われているかを理解する上で不可⽋だ。実際、今⽇のわれわれの⾏動が、何兆⼈もの⼈類の⼦孫の⽣
き⽅に影響を与えるかもしれない。彼らが貧困や豊かさ、戦争や平和、奴隷制や⾃由に直⾯するかどうかは、現在の
私たちの⾏動に⼤きく左右される。
そうした視点の転換が重⼤な変化をもたらすことは、⽇本の(岩⼿県の)⼩さな町、⽮⼱町で⾏われた印象的な
実験からも明らかだろう。町の問題について話し合う前に、集会の参加者の半分に法被を着せ、「⾃分は(2050年
の)未来から来た」とイメージさせ、「「⾃分たちの孫の世代」の利益を代弁している」という設定にした。研究者たちは、
この実験の結果、考え⽅や優先順位について集団間で⼤きな⽴場の違いが⽣じることに気づいた。未来の世代を⼼
配する姿勢が⽀持を集め、合意がまとまった措置の半分以上は「孫の世代」からの提案だった。
つまり、⻑期的な視野で考えれば、社会はまだまだ多くのことを達成できる。500年前には、所得が数世代ごとに倍
増し、ほとんどの⼈が孫の成⻑をみるまで⻑⽣きし、世界の主要国が⾃由な選挙で指導者が選ばれる世俗的な社会に
なるとは想像さえできなかっただろう。(逆に⾔えば)現状では、⼈々に永続的と思われている国家という形態も今後数
世紀はもたないのかもしれない。世界のさまざまな社会組織の形態は、どれも完全に確⽴された形で歴史に登場したわけ
ではない。数⽇、数ヶ⽉、数年という短期的な視点は、根本的な⻑期的変化の可能性をみえなくしてしまう。・・・