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報告書 本編 (27 ページ)
出典
公開元URL | https://www.npa.go.jp/bureau/cyber/what-we-do/csmeeting.html |
出典情報 | サイバー事案の被害の潜在化防止に向けた検討会 報告書2023(4/6)《警察庁》 |
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おわりに
本検討会では、サイバー事案の被害者による警察への通報・相談が躊躇される課題を整理
した上で、被害の潜在化の防止に向けた効果的な方策に関する議論を行った。被害の潜在化
については、被害発生時にどのような主体に対してどのような対応を行うべきか、被害者の
視点に立った対応が明確に示されていないという課題等があると考えられ、「関係省庁等と
連携した通報・相談の促進」、
「被害者が自発的に通報・相談しやすい環境の整備」の2つの
観点から、警察において推進すべき取組を洗い出した。
デジタル化の進展に伴いサイバー事案による被害の影響が甚大化・広範化・複雑化し、自
助的な取組のみでは対応することが困難な状況において、サイバー空間における安全・安心
という公益を確保するためには、警察をはじめとした関係機関等、企業等、そして国民一人
一人がそれぞれの立場で適切な対策を講じつつも、各主体の緊密な連携が必要となることに
は異論が少ないであろう。
本検討会では、被害者が通報・相談を行う際の様々な課題を解消するために、被害の拡大・
未然防止に係る取組等を行う主体が連動して対処に当たる枠組みの整備、国民や企業等に呼
びかける事項の明確化・情報発信強化等を具体的な方策として示したが、その中でも重要な
ことは、「通報したら被害回復の支援をしてもらえた」、「警察に相談したら、どういった対
策が必要になるか教えてもらえた」というように、警察から目に見える結果を示し、被害者
からの信頼を得ることである。
その点、警察においては個別事案の事件化を第一に対応してきた側面や、事務運営の効率
を優先して、消極的と取られかねない対応をしてきたことも否定できない。犯人検挙は治安
の維持に必要不可欠であり、引き続き強力に推進する必要があるが、一方で、被害者からの
信頼を得るためには、被害者の視点に立ち、その負担の軽減に配意するとともに、事件化の
みを指向した対応に終始することなく、事業復旧への支援、情報発信、窓口対応等の取組を
充実させるべきである。また、これらの取組の進捗を適時に把握し、情勢等を踏まえ見直し
ていくことが求められる。さらに、取組の結果として警察に寄せられることとなる情報を集
約して総合的な分析や検討を進めるためのリソースを確保し、これらの情報の適正かつ効果
的な活用を図っていくことも必要となる。
本報告書で述べた提案は警察のみで実行できるものではなく、関係機関や企業等と協力し
て乗り越えなければならない課題も存在するが、我が国のサイバーセキュリティに係る対処
能力を高める上で避けては通ることのできないものである。提案した取組を実施する過程に
おいて新たな課題が生じることも考えられるが、被害者や被害企業等の声を丁寧に拾いつつ、
関係機関等が一丸となり、安全・安心なサイバー空間の確保のために柔軟かつ的確に対応し
てもらいたい。我々としても、こうした取組を引き続き後押ししていく所存である。提案し
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本検討会では、サイバー事案の被害者による警察への通報・相談が躊躇される課題を整理
した上で、被害の潜在化の防止に向けた効果的な方策に関する議論を行った。被害の潜在化
については、被害発生時にどのような主体に対してどのような対応を行うべきか、被害者の
視点に立った対応が明確に示されていないという課題等があると考えられ、「関係省庁等と
連携した通報・相談の促進」、
「被害者が自発的に通報・相談しやすい環境の整備」の2つの
観点から、警察において推進すべき取組を洗い出した。
デジタル化の進展に伴いサイバー事案による被害の影響が甚大化・広範化・複雑化し、自
助的な取組のみでは対応することが困難な状況において、サイバー空間における安全・安心
という公益を確保するためには、警察をはじめとした関係機関等、企業等、そして国民一人
一人がそれぞれの立場で適切な対策を講じつつも、各主体の緊密な連携が必要となることに
は異論が少ないであろう。
本検討会では、被害者が通報・相談を行う際の様々な課題を解消するために、被害の拡大・
未然防止に係る取組等を行う主体が連動して対処に当たる枠組みの整備、国民や企業等に呼
びかける事項の明確化・情報発信強化等を具体的な方策として示したが、その中でも重要な
ことは、「通報したら被害回復の支援をしてもらえた」、「警察に相談したら、どういった対
策が必要になるか教えてもらえた」というように、警察から目に見える結果を示し、被害者
からの信頼を得ることである。
その点、警察においては個別事案の事件化を第一に対応してきた側面や、事務運営の効率
を優先して、消極的と取られかねない対応をしてきたことも否定できない。犯人検挙は治安
の維持に必要不可欠であり、引き続き強力に推進する必要があるが、一方で、被害者からの
信頼を得るためには、被害者の視点に立ち、その負担の軽減に配意するとともに、事件化の
みを指向した対応に終始することなく、事業復旧への支援、情報発信、窓口対応等の取組を
充実させるべきである。また、これらの取組の進捗を適時に把握し、情勢等を踏まえ見直し
ていくことが求められる。さらに、取組の結果として警察に寄せられることとなる情報を集
約して総合的な分析や検討を進めるためのリソースを確保し、これらの情報の適正かつ効果
的な活用を図っていくことも必要となる。
本報告書で述べた提案は警察のみで実行できるものではなく、関係機関や企業等と協力し
て乗り越えなければならない課題も存在するが、我が国のサイバーセキュリティに係る対処
能力を高める上で避けては通ることのできないものである。提案した取組を実施する過程に
おいて新たな課題が生じることも考えられるが、被害者や被害企業等の声を丁寧に拾いつつ、
関係機関等が一丸となり、安全・安心なサイバー空間の確保のために柔軟かつ的確に対応し
てもらいたい。我々としても、こうした取組を引き続き後押ししていく所存である。提案し
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