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08 参考資料1-2 沈降ヘモフィルスb型ワクチンファクトシート[2.4MB] (5 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34803.html
出典情報 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第20回 8/29)《厚生労働省》
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1.小児侵襲性インフルエンザ菌感染症に対するワクチン導入の経緯
インフルエンザ菌莢膜b型(Haemophilus influenzae type b:略称Hib)は、乳幼児
を含む小児の侵襲性インフルエンザ菌感染症の主な起因菌である。Hibによる感染症を
予防するため、Hibワクチンが開発されている。HibワクチンはHib莢膜多糖をキャリア
タンパク質に結合させた多糖−タンパク結合体ワクチンであり、キャリアタンパク質の
働きによって、免疫系が未発達な乳幼児でも、Hib莢膜多糖に対する抗体産生が効率よ
く起こり、Hib感染に対する防御効果が得られるようになっている。キャリアタンパク
質には破傷風トキソイド、無毒性変異ジフテリア毒素(CRM197)、髄膜炎菌外膜タンパク質
などが使用されている。
国内で最初に承認された乾燥ヘモフィルス b 型ワクチン(破傷風トキソイド結合体)
(商品名 ActHib)はキャリアタンパク質に破傷風トキソイドを使用している。2007 年
1 月に製造販売承認され、2008 年 12 月 19 日以降に任意接種として接種が可能になった。
公費助成は、当初、自治体ごとに独自に実施されていたが、2010 年 11 月 26 日以降は
「子宮頸等ワクチン接種緊急促進事業」が実施され、全国的に公費助成が受けられるよ
うになった。2013 年 4 月 1 日からは A 類疾病として定期接種対象疾病に導入されてい
る。
国内 2 番目の Hib ワクチンとして 2016 年 1 月に沈降ヘモフィルス b 型ワクチン(無
毒性変異ジフテリア毒素結合体)(商品名 VaxemHib)が製造販売承認された。VaxemHib
はキャリアタンパク質として CRM197 を使用している。
2.ワクチン対象疾患の基本的知見
① インフルエンザ菌について
インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)はグラム陰性桿菌であり、ヒト以外の
自然宿主は知られていない。本菌は主にヒトの上気道から分離され、飛沫や分泌物の直
接接触などにより感染が伝播する。生後 2 年間のうちに、様々な経路で乳幼児の鼻咽頭
に保菌されることが知られている。保菌には、単一の菌による短期間あるいは長期間の
保菌、異なる菌による繰り返しの保菌などがある(1)。
本 菌 の 増 殖 に は 、 発 育 因 子 の X 因 子 ( ヘ ム ) と V 因 子 (nicotinamide adenine
dinucleotide:NAD)の両方を必要とする(2)。莢膜の有無により莢膜株と無莢膜株
(Non-typable H. influenzae: NTHi)に分類される。莢膜株は抗原性の違いから a, b, c,
d, e, f の 6 つの血清型に分類されている。莢膜株のほうが侵襲性感染症を引き起こし
やすい特徴があり、特に b 型によるものが多い。日本国内でもかつては b 型が侵襲性
インフルエンザ菌感染症の原因の殆どを占めていた(3, 4)。
インフルエンザ菌における薬剤耐性は、1970 年代にβ-ラクタマーゼ (BL)産生によ
るアンピシリン耐性(BL producing ampicillin resistant:BLPAR)株が出現したのに

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