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資料1_「今後のがん研究のあり方について」報告書案 (8 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35452.html
出典情報 今後のがん研究のあり方に関する有識者会議(第15回 9/27)《厚生労働省》
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Ⅱ 日本において推進すべきがん研究の方向性
1.これまでの研究成果と残された課題
近年、世界のがん研究が大きな展開を遂げる中、平成 26(2014)年からの「が
ん研究 10 か年戦略」のもとで進められた日本のがん研究も大きく進展したとい
える。ゲノム・エピゲノム解析技術の急速な進歩は、がんのクローン進化と多様
性・複雑性・可塑性に関する理解を深めた。令和元(2019)年には次世代シーク
エンサーを用いたがんゲノムプロファイリング(CGP)検査が保険収載され、保
険診療下でのゲノム医療が実装されることとなった。一細胞レベルでの空間的
遺伝子発現解析が可能となり、腫瘍微小環境とがん細胞との相互作用が、がん細
胞の幹細胞性や浸潤・転移能、治療抵抗性等の獲得に寄与することが明らかにさ
れた。また、腫瘍微小環境における免疫細胞や免疫抑制細胞の性状や機能が次々
に明らかにされ、免疫チェックポイント阻害剤や CAR-T 細胞などの新たな免疫
学的治療法の開発が飛躍的に進んだ。具体例を以下に記載する。
【がんの本態解明、シーズ探索、がんゲノム医療】
 マルチ・オミックス解析やシングルセル解析などの最新の技術を活用して、
がんの本態に関する理解が急速に進み、個別最適化治療に向けた研究が本格
化していること
 PDX マウスモデルの確立が様々ながん種で進み、新たなシーズ探索に大きく
貢献するとともに、新しいゲノム解析技術と組み合わせることにより、生体
内におけるがんの時間的空間的変化のゲノムレベルの解析が進展したこと
 大規模なゲノム解析データの蓄積により、日本人のがんゲノムの特徴が明ら
かとなり、国際的にも、がん研究に大きく貢献したこと
【新規薬剤開発、新規医療技術開発、免疫療法、リキッドバイオプシー】
 希少がん、難治性がん4領域でアカデミアシーズと企業シーズにて効能追加の
薬事承認が取得されたことや、アカデミアシーズの企業導出と新規治療標的
の発見など多数の成果をあげていること
 新たな CAR-T 免疫細胞療法や非ウイルスベクター法での新たな CAR-T 細胞製
造法、免疫チェックポイント阻害剤の効果予測バイオマーカー開発など、多
数の免疫療法に係る研究が進められたこと
 異分野融合や医工連携による研究が着実に進み、企業導出に向けた医師主導
治験の完遂や導出先企業による製造販売承認申請を行うなどの成果が出てき
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本報告書における「難治性がん」とは、特定のがん種に限定されず、治療が奏効しない
抵抗性のがんをいう。
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