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参考資料3 令和5年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(厚生労働科学特別研究事業)「日本専門医機構における医師専門研修シーリングによる医師偏在対策の効果検証」総括研究報告書 (11 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41573.html |
出典情報 | 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会(令和6年度第1回 7/19)《厚生労働省》 |
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かというとそう思わない」
「そう思わない」を
合わせた割合が 57.0%であり、効果に否定的
な回答のほうが多かった。これは、東京都を
はじめ、シーリングにより他地域への移転元
となる大都市圏の回答者数を反映してしま
うことによるものと推察される。実際、都道
府県によって回答傾向 は大きく異なる。「そ
う思う」
「どちらかというとそう思う」を合わ
せた割合が全体(27.2%)と比較して特に高
か っ た の は 、 鹿 児 島 県 ( 45.5 % )、 静 岡 県
(44.9%)、福島県(44.4%)、宮崎県(42.1%)、
茨城県(41.7%)、宮城県(40.5%)であった。
専攻医募集のシーリングは「医師の診療科
偏在」対策に貢献していると思うか尋ねたと
ころ、「そう思う」「どちらかというとそう思
う」を合わせた割合は 18.9%であった。「ど
ちらかというとそう思わない」「そう思わな
い」を合わせた割合が 62.9%であり、効果に
否定的な回答のほうが多かった。
基本領域別にみると、「そう思う」「どちら
かというとそう思う」を合わせた割合が全体
(18.9%)と比較して相対的に高かったのは、
臨床検査(30.0%)、眼科(29.3%)、皮膚科
(27.3%)であった。一方、
「どちらかという
とそう思わない」
「そう思わない」を合わせた
割合が高かったのは、放射線科(76.1%)、脳
神経外科(75.7%)、小児科(74.2%)であっ
た。
専攻医が専門医取得後も地域に定着する
上で重要なことについては、「全国の学会や
国際学会などに参加しやすい環境が確保さ
れている」ことが 54.1%で最も多く、次いで
「医師少数地域で一定期間勤務すると、地域
医療支援病院の管理者となる国の資格が得
られるなどキャリア上のインセンティブが
ある」こと(53.1%)、「休診時の代替医を派
遣・調整してくれる体制がある」こと
( 46.6% )、「 診 療 上 の サ ポ ー ト 体 制 が あ る
(専門医への遠隔相談など)」こと(43.8%)、
「勤務地や待遇、住まいの調整、子供の就学
案内、配偶者の就業支援など希望に添った対
応を行ってくれるドクターバンク(公的な無
料マッチング事業)がある」こと(43.0%)
と続いた。
プログラム責任者が勤務している医療機関
で取り組んでいる子育て支援策としては、
「院内保育」が 71.8%で最も多く、次いで「病
児保育」
(33.7%)、
「子育て支援に対する意識
改革の実践」
(25.7%)、
「支援策を男女ともに
利用しやすい状況」(22.3%)であった。「院
- 11 -
内保育」の実施割合は高いものの、他の取組
の実施割合は低かった。なお、
「子育て支援に
関する取組は行っていない」が 4.6%あった。
3
海外調査の結果
ドイツとフランスにおける専門研修にお
ける医師偏在対策を調査した。ドイツでは、
専門研修過程ではなく、専門医の開業許可
時に制約を設けるといった対応で医師偏在
対策を行っている。その際、政府ではなく、
当事者である州医師会・保険者団体等が需
要計画をもとに過剰地域での開業を認めな
いといった対応を行っている。一方、フラ
ンスでは、専門研修の養成講座で地方・診
療科の募集数を設定している。開業につい
てドイツのような許可制ではなく自由開業
が認められている。同じ地方でも都市部に
医師が集中するなど医師偏在問題が認識さ
れている。
D.考察
本研究では、専攻医及び専門研修プログラ
ム統括責任者を対象に、初めての大規模アン
ケート調査を行った。回答義務を負わない個
人を対象とした調査にもかかわらず有効回
答率が専攻医調査 46.3%、責任者調査 60.5%
と高かった背景としては、WEB 調査により回
答者の負担軽減を図ったこと、回答期間を延
長し専攻医調査は 3 回、責任者調査は 1 回と
督促を行ったこと等が考えられるが、当事者
における本テーマに対する関心の高さ、問題
意識との適合も寄与したものと推察される。
2020 年度~2023 年度の 4 年間に専門研修
プログラムに登録した専攻医(修了者含む)
15,876 人の回答から得られた結果によると、
制約がない場合、専攻医の 7.1%が異なる基
本領域を選ぶと回答したのに対して、16.4%
(2,606 名/15,876 名)が専門研修プログラ
ムにおいて、別の都道府県・基本領域を希望
したと回答している。これは必ずしもシーリ
ングによる直接的な影響に限ったものでは
ないことに留意する必要はあるものの、この
ことから、シーリングは医師偏在対策として、
専攻医の都道府県・基本領域の選択行動に一
定の効果があったと評価することが可能と
考える。
実際、各都道府県における採用者数の変化
をみると、シーリングのある領域では、シー
リングのない領域と比較して、多数県での採
「そう思わない」を
合わせた割合が 57.0%であり、効果に否定的
な回答のほうが多かった。これは、東京都を
はじめ、シーリングにより他地域への移転元
となる大都市圏の回答者数を反映してしま
うことによるものと推察される。実際、都道
府県によって回答傾向 は大きく異なる。「そ
う思う」
「どちらかというとそう思う」を合わ
せた割合が全体(27.2%)と比較して特に高
か っ た の は 、 鹿 児 島 県 ( 45.5 % )、 静 岡 県
(44.9%)、福島県(44.4%)、宮崎県(42.1%)、
茨城県(41.7%)、宮城県(40.5%)であった。
専攻医募集のシーリングは「医師の診療科
偏在」対策に貢献していると思うか尋ねたと
ころ、「そう思う」「どちらかというとそう思
う」を合わせた割合は 18.9%であった。「ど
ちらかというとそう思わない」「そう思わな
い」を合わせた割合が 62.9%であり、効果に
否定的な回答のほうが多かった。
基本領域別にみると、「そう思う」「どちら
かというとそう思う」を合わせた割合が全体
(18.9%)と比較して相対的に高かったのは、
臨床検査(30.0%)、眼科(29.3%)、皮膚科
(27.3%)であった。一方、
「どちらかという
とそう思わない」
「そう思わない」を合わせた
割合が高かったのは、放射線科(76.1%)、脳
神経外科(75.7%)、小児科(74.2%)であっ
た。
専攻医が専門医取得後も地域に定着する
上で重要なことについては、「全国の学会や
国際学会などに参加しやすい環境が確保さ
れている」ことが 54.1%で最も多く、次いで
「医師少数地域で一定期間勤務すると、地域
医療支援病院の管理者となる国の資格が得
られるなどキャリア上のインセンティブが
ある」こと(53.1%)、「休診時の代替医を派
遣・調整してくれる体制がある」こと
( 46.6% )、「 診 療 上 の サ ポ ー ト 体 制 が あ る
(専門医への遠隔相談など)」こと(43.8%)、
「勤務地や待遇、住まいの調整、子供の就学
案内、配偶者の就業支援など希望に添った対
応を行ってくれるドクターバンク(公的な無
料マッチング事業)がある」こと(43.0%)
と続いた。
プログラム責任者が勤務している医療機関
で取り組んでいる子育て支援策としては、
「院内保育」が 71.8%で最も多く、次いで「病
児保育」
(33.7%)、
「子育て支援に対する意識
改革の実践」
(25.7%)、
「支援策を男女ともに
利用しやすい状況」(22.3%)であった。「院
- 11 -
内保育」の実施割合は高いものの、他の取組
の実施割合は低かった。なお、
「子育て支援に
関する取組は行っていない」が 4.6%あった。
3
海外調査の結果
ドイツとフランスにおける専門研修にお
ける医師偏在対策を調査した。ドイツでは、
専門研修過程ではなく、専門医の開業許可
時に制約を設けるといった対応で医師偏在
対策を行っている。その際、政府ではなく、
当事者である州医師会・保険者団体等が需
要計画をもとに過剰地域での開業を認めな
いといった対応を行っている。一方、フラ
ンスでは、専門研修の養成講座で地方・診
療科の募集数を設定している。開業につい
てドイツのような許可制ではなく自由開業
が認められている。同じ地方でも都市部に
医師が集中するなど医師偏在問題が認識さ
れている。
D.考察
本研究では、専攻医及び専門研修プログラ
ム統括責任者を対象に、初めての大規模アン
ケート調査を行った。回答義務を負わない個
人を対象とした調査にもかかわらず有効回
答率が専攻医調査 46.3%、責任者調査 60.5%
と高かった背景としては、WEB 調査により回
答者の負担軽減を図ったこと、回答期間を延
長し専攻医調査は 3 回、責任者調査は 1 回と
督促を行ったこと等が考えられるが、当事者
における本テーマに対する関心の高さ、問題
意識との適合も寄与したものと推察される。
2020 年度~2023 年度の 4 年間に専門研修
プログラムに登録した専攻医(修了者含む)
15,876 人の回答から得られた結果によると、
制約がない場合、専攻医の 7.1%が異なる基
本領域を選ぶと回答したのに対して、16.4%
(2,606 名/15,876 名)が専門研修プログラ
ムにおいて、別の都道府県・基本領域を希望
したと回答している。これは必ずしもシーリ
ングによる直接的な影響に限ったものでは
ないことに留意する必要はあるものの、この
ことから、シーリングは医師偏在対策として、
専攻医の都道府県・基本領域の選択行動に一
定の効果があったと評価することが可能と
考える。
実際、各都道府県における採用者数の変化
をみると、シーリングのある領域では、シー
リングのない領域と比較して、多数県での採