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参考資料3 令和5年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(厚生労働科学特別研究事業)「日本専門医機構における医師専門研修シーリングによる医師偏在対策の効果検証」総括研究報告書 (12 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41573.html
出典情報 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会(令和6年度第1回 7/19)《厚生労働省》
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用者数が抑制されている。一方で、少数県の
採用者数の増加については、地域によってば
らつきがあり、特に東北・東海・甲信越地方
の医師少数県においては、シーリングによる
医師配分効果が十分に発揮されているとは
言えない。
診療科偏在については、アンケート調査に
よって、シーリングによる効果の可能性が示
唆されたものの、実際のシーリングによる効
果については、シーリング設定の対象となる
都道府県の数やその性質、採用上限数等、シ
ーリングの設定方法により大きく異なって
くると考えられる。また今回のアンケート調
査やデータ解析だけでは、その効果を十分に
解析することは困難であったため、その効果
測定は今後の課題と考えられる。
専攻医は、都道府県を変更してでも基本領
域を優先する意向が強いことがうかがえる
が、このことは、こうした専攻医の場合、専
門研修修了後には地域に定着せず希望して
いた都道府県に戻る場合もあると考えられ
る。シーリングの効果を専門研修期間での偏
在対策として考える場合は効果があったと
もいえるが、より長期にわたる偏在対策を検
討するのであれば、そういった専攻医が専門
研修修了後にその地域で定着するかどうか
についても、今後分析を行った上でどういっ
た取組が必要かを検討する必要がある。
地域定着や診療科偏在のための取組の一
つとして、子育て支援策やワークライフバラ
ンスの確保など勤務環境の改善等も必要と
考えられるが、特に子育て支援策の取組状況
は低く今後の課題といえる。

していたが他の都道府県に変更したという
専攻医が多く、一定の地域偏在効果が認めら
れた。また、プログラム責任者からはシーリ
ングについて地域偏在の改善という点を評
価する意見も挙げられた。
一方で、専攻医の中には医学部入学前から
専攻領域を決めている場合や、それぞれ理想
とする働き方があり、こうした専攻医の意向
等も踏まえた適切な医師偏在対策を行うこ
とが重要である。専攻医が専門研修プログラ
ムを選択する上で重要なこととして、「専門
研修プログラムの内容が充実していること」、
次いで「優れた指導者がいること」が多かっ
たことから、優れた研修プログラム・指導を
提供でき、それを伝えられることが、専攻医
を基本領域の専門研修に惹きつける重要な
魅力であると考えられる。
本研究ではシーリングが医師偏在対策に
効果があったかを中心に検証したが、地域に
よって人口減少等による医療需要も異なる
上、社会変化・技術変化が見込まれる中、そ
れに適したシーリングの 検討が求められる。

責任者調査では、シーリングが地域偏在対
策、診療科偏在対策上、効果があったかを尋
ねたが、シーリングによる募集定員数が制限
された都道府県・基本領域のプログラム責任
者とそれ以外のプログラム責任者とでは評
価が大きく分かれる可能性が示唆されてお
り、より慎重な分析・評価が必要と考える。

H.知的財産権の出願・登録状況
1. 特許取得
なし

F.健康危険情報
なし
G.研究発表
1. 論文発表
なし
2. 学会発表
なし

2. 実用新案登録
なし
3. その他
なし

E.結論
本研究の結果から、現行の研修プログラム
でのシーリングは、医師の地域偏在対策・診
療科偏在対策において、専攻医の選択行動に
一定の効果があると推察される。シーリング
を実施されている基本領域においては、東京
都、大阪府、兵庫県、京都府、福岡県を希望

文献
1)医療経済研究機構・ドイツ医療保障制度
に関する研究会編.ドイツ医療保障制度に
関する調査研究報告書 2022 年度版.2023
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