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資料2-33 ワクチン接種後のアナフィラキシー報告一覧[1.4MB] (7 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/newpage_00106.html |
出典情報 | 厚生科学審議会・薬事審議会(合同開催) 予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会(第102回 7/29)医薬品等安全対策部会安全対策調査会(令和6年度第4回 7/29)(合同開催)《厚生労働省》 |
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院した。退院前の血液検査で貧血を認めたため鉄剤内服を開始し、退院後の呼吸状態は安定していた。
月齢 2 の外来受診時に全身状態が問題ないことを確認し、2 回目のパリビズマブ筋肉内注射と 4 種類の初回
予防接種(ヒブワクチン、13 価肺炎球菌ワクチン、B 型肝炎ワクチン(メーカー名不明)、1 価ロタウイルスワクチ
ン)を実施した。パリビズマブ注射と予防接種の実施 7 分後に診察室内でチアノーゼを認め、意識消失し呼びか
けに反応しなくなった。分泌物による気道閉塞所見は認めなかった。自発呼吸は弱く、心拍数:60/分、血
圧:55/32mmHg、SpO2:68%であった。薬剤投与後の急速な血圧低下よりアナフィラキシー(アナフィラキシーガイ
ドライン 2022 に基づく呼吸器症状グレード 3、循環器症状グレード 3、神経症状グレード 3)と診断し、発症 3 分
後にフェイスマスクの酸素投与(10L/分)とアドレナリン 0.01mg/kg の筋肉内注射を実施した。発症 4 分後に心
拍数:150/分、SpO2:100%まで回復し、自発運動がみられたため酸素流量を 5L/分に減量した。発症 9 分後に再
び SpO2:60%台に低下し、心拍数:130/分となった。酸素流量を 7L/分に増量し、発症 14 分後に 2 回目のアドレ
ナリン 0.01mg/kg の筋肉内注射を行い、心拍数:180/分、SpO2:100%まで回復した。発症 15 分後に末梢静脈路
を確保し高張液の補液を開始した。以降は酸素流量を漸減中止することができ、経過観察目的で入院した。
入院時の Glasgow Coma Scale:15 点、体温:36.6℃、心拍数:143/分、血圧:81/30mmHg、呼吸数:50/分、
SpO2:95%であった。身体所見は下腿浮腫と貧血による収縮期心雑音を認めた。血液所見(表 1)は貧血と軽度
の混合性アシドーシスを認めた。胸腹部 X 線撮影では異常所見を認めなかった。二相性反応の予防目的でヒド
ロコルチゾン 5mg/kg の静脈内注射を行い、補液を継続した。入院後は呼吸障害や循環障害は認めず、二相性
反応を示すことなく退院した。
アナフィラキシーの原因薬剤を特定しなければ、今後のパリビ;ズマブ投与および予防接種を進めることができ
ないと考え、患者両親の同意を得て入院のうえで確認試験を実施する方針とした。日本アレルギー学会の推奨
方法に準じて、アナフィラキシー発症から 1 か月後に表 2 の方法に従って確認試験を実施した。入院 1 日目に
ヒブワクチン、入院 2 日目に 13 価肺炎球菌ワクチン、入院 3 日目に B 型肝炎ワクチン、入院 4 日目にパリビズ
マブ、入院 5 日目に 1 価ロタウイルスワクチンの確認試験を実施した。すべての検査で陽性所見は認めず、確
認試験を終えて退院した。今後は陽性反応を認めた場合に原因薬剤を同定できるように、複数同時接種を避け
て単剤接種およびパリビズマブ単剤投与を行う方針として、対象薬剤を継続することとした。
表 1 入院時の血液検査所見(発症時の静脈路確保時に採取した静脈血液)
白血球数:10790/μL Na:140mEq/L
Hb:8.9g/dL K:5.0mEq/L
血小板数:39.3×10^4/μL Cl:105mEq/L
TP:4.0g/dL アンモニア:52μg/dL
Alb:2.9g/dL 総 IgE:1IU/mL
T-bil:3.9mg/dL PT:14.6sec
D-bil:0.6mg/dL PT-INR:1.26
AST:33U/L APTT:42.9sec
ALT:18U/L Fib:l34mg/dL
LDH:203U/L FDP:<1.0μg/mL
CK:185U/L 静脈血 pH:7.159
BUN:2.2mg/dL PCO2:65.9mmHg
Cr:0.2mg/dL HCO3-:22.5mmol/L
2
月齢 2 の外来受診時に全身状態が問題ないことを確認し、2 回目のパリビズマブ筋肉内注射と 4 種類の初回
予防接種(ヒブワクチン、13 価肺炎球菌ワクチン、B 型肝炎ワクチン(メーカー名不明)、1 価ロタウイルスワクチ
ン)を実施した。パリビズマブ注射と予防接種の実施 7 分後に診察室内でチアノーゼを認め、意識消失し呼びか
けに反応しなくなった。分泌物による気道閉塞所見は認めなかった。自発呼吸は弱く、心拍数:60/分、血
圧:55/32mmHg、SpO2:68%であった。薬剤投与後の急速な血圧低下よりアナフィラキシー(アナフィラキシーガイ
ドライン 2022 に基づく呼吸器症状グレード 3、循環器症状グレード 3、神経症状グレード 3)と診断し、発症 3 分
後にフェイスマスクの酸素投与(10L/分)とアドレナリン 0.01mg/kg の筋肉内注射を実施した。発症 4 分後に心
拍数:150/分、SpO2:100%まで回復し、自発運動がみられたため酸素流量を 5L/分に減量した。発症 9 分後に再
び SpO2:60%台に低下し、心拍数:130/分となった。酸素流量を 7L/分に増量し、発症 14 分後に 2 回目のアドレ
ナリン 0.01mg/kg の筋肉内注射を行い、心拍数:180/分、SpO2:100%まで回復した。発症 15 分後に末梢静脈路
を確保し高張液の補液を開始した。以降は酸素流量を漸減中止することができ、経過観察目的で入院した。
入院時の Glasgow Coma Scale:15 点、体温:36.6℃、心拍数:143/分、血圧:81/30mmHg、呼吸数:50/分、
SpO2:95%であった。身体所見は下腿浮腫と貧血による収縮期心雑音を認めた。血液所見(表 1)は貧血と軽度
の混合性アシドーシスを認めた。胸腹部 X 線撮影では異常所見を認めなかった。二相性反応の予防目的でヒド
ロコルチゾン 5mg/kg の静脈内注射を行い、補液を継続した。入院後は呼吸障害や循環障害は認めず、二相性
反応を示すことなく退院した。
アナフィラキシーの原因薬剤を特定しなければ、今後のパリビ;ズマブ投与および予防接種を進めることができ
ないと考え、患者両親の同意を得て入院のうえで確認試験を実施する方針とした。日本アレルギー学会の推奨
方法に準じて、アナフィラキシー発症から 1 か月後に表 2 の方法に従って確認試験を実施した。入院 1 日目に
ヒブワクチン、入院 2 日目に 13 価肺炎球菌ワクチン、入院 3 日目に B 型肝炎ワクチン、入院 4 日目にパリビズ
マブ、入院 5 日目に 1 価ロタウイルスワクチンの確認試験を実施した。すべての検査で陽性所見は認めず、確
認試験を終えて退院した。今後は陽性反応を認めた場合に原因薬剤を同定できるように、複数同時接種を避け
て単剤接種およびパリビズマブ単剤投与を行う方針として、対象薬剤を継続することとした。
表 1 入院時の血液検査所見(発症時の静脈路確保時に採取した静脈血液)
白血球数:10790/μL Na:140mEq/L
Hb:8.9g/dL K:5.0mEq/L
血小板数:39.3×10^4/μL Cl:105mEq/L
TP:4.0g/dL アンモニア:52μg/dL
Alb:2.9g/dL 総 IgE:1IU/mL
T-bil:3.9mg/dL PT:14.6sec
D-bil:0.6mg/dL PT-INR:1.26
AST:33U/L APTT:42.9sec
ALT:18U/L Fib:l34mg/dL
LDH:203U/L FDP:<1.0μg/mL
CK:185U/L 静脈血 pH:7.159
BUN:2.2mg/dL PCO2:65.9mmHg
Cr:0.2mg/dL HCO3-:22.5mmol/L
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