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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第7.2版 (23 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00332.html
出典情報 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第7.1版」の周知について(5/9付 事務連絡)《厚生労働省》
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 7.2 版 ●2 臨床像

似した症例のあることが報告された.
典型的な経過は,無症状・軽症の COVID-19 罹患から 2 ~6週後に,高熱と下痢,嘔吐,
腹痛などの消化器症状と,前後して血圧低下,ショック,心不全を呈し,しばしば発疹や眼球
結膜充血,口唇・口腔粘膜の発赤やいちご舌,指趾の発赤など,川崎病に類似した症状群を伴う.
36 %では川崎病の診断基準を満たし,30 %では不全型とも診断しうる.一部には川崎病と同
様に冠動脈の拡張や瘤形成が報告され,痙攣,意識障害などの神経症状や,腎障害などを併発
する例もある.多くの炎症性マーカーが上昇する.
日本小児科学会・日本集中治療医学会による小児重症 COVID-19 registry によれば,2021
年 7 月~ 2022 年 1 月までに 11 例(うち死亡 0 例)の MIS-C が報告されている.その合併率
は米国に比べはるかに少なく,川崎病の人種差とは対照的に東アジア人種には発症しにくい要
因のあることが示唆される.症例報告された4例は,年齢9~ 16 歳 ( 平均 11 歳 ),男児3例で,
COVID-19 罹患から平均 28 日で高熱と強い消化器症状で発症した.川崎病主要6症状を3例
に認めた.発症から数日以内にショックとなり,急性心筋炎の診断例もあった.入院時検査値
(平均)は,CRP 22.1 mg/dL,好中球比率 92 %,リンパ球比率 3.1 %,血小板数 16.9 万
/ μ L,血清ナトリウム 130 mEq/L,フェリチン,D ダイマー,IL-6 や BNP または NT-pro
BNP の上昇など,欧米の報告と特徴が一致している.発症時には抗原や PCR はすでに陰性化
している例があるので,血清診断が必要である.補液と同時にカテコラミンや利尿薬を併用し
た慎重な循環管理が必要であり,川崎病と同様に免疫グロブリン大量静注と,症例によっては,
ステロイド
(プレドニゾロン 2 mg/kg あるいはメチルプレドニゾロン 30 mg/kg のパルス療法)
投与が行われた.入院期間は 14 ~ 21 日で死亡例はない.冠動脈拡張は1例(最大時の Z スコ
ア 3.9)のみで回復期には正常化した.
オミクロン株による小児感染者の増加に伴い,MIS-C の症例が今後増加する可能性があり,
注意が必要と考えられる.
〈参考〉

・厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の国内発生動向 ( 速報値 ):令和 4 年 3 月 15 日 24 時時点」
・Shoji K, et al. Clinical characteristics of hospitalized COVID-19 in children: report from the COVID-19 registry in
Japan. J Pediatric Infect Dis Soc 2021.
・日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会「データベースを用いた国内発症小児 Coronavirus Disease 2019(COVID-19)
症例の臨床経過に関する検討」の中間報告:第3報.
・Tsankov BK, et al. Severe COVID-19 infection and pediatric comorbidities: A systematic review and meta-analysis.
Int J Infect Dis 2021.
・Woodruff RC, et al. Risk factors for severe COVID-19 in children. Pediatrics 2021.
・日本小児科学会「データベースを用いた国内発症小児 Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) 症例の臨床経過に関する検討」
の中間報告:第 3 報 オミクロン株流行に伴う小児 COVID-19 症例の臨床症状・重症度の変化(2022 年 3 月 7 日)
・日本小児科学会「データベースを用いた国内発症小児 Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) 症例の臨床経過に関する検討」
・UK Health Security Agency. SARS-CoV-2 variants of concern and variants under investigation in England: Technical
briefing 32.
・CDC. SARS-CoV-2 B.1.1.529 (Omicron) Variant Transmission Within Households — Four U.S. Jurisdictions,
November 2021–February 2022 . MMWR 71(9), 341-346, 2022

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