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参考資料2-1 一般用医薬品の適正使用の一層の推進に向けた依存性の実態把握と適切な販売のための研究 (12 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29460.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会医薬品等安全対策部会(令和4年度第3回 12/1)《厚生労働省》
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令和元年度厚生労働行政推進調査事業費補助金
(厚生労働科学特別研究事業)
分担研究報告書

民間の依存症支援団体利用者を対象とする依存実態の再解析及び追加調査
分担研究者:嶋根卓也(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部)
研究協力者:猪浦智史(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部)
【研究要旨】
【目的】本研究では薬物依存の民間支援団体であるダルク利用者を対象として、一般用医薬品症例
の実態を把握することを目的とした。
【方法】ダルク利用者の追跡調査である「ダルク追っかけ調査」のデータをもとに、再分析を行い、
一般用医薬品症例の特徴を検討した。対象は全国 46 団体のダルク利用者 695 名から、主たる依存
対象が一般用医薬品群(21 名)を抽出し、覚せい剤群(301 名)
、アルコール群(170 名)
、危険ド
ラッグ群(65 名)
、処方薬群(29 名)
、大麻群(24 名)と基本属性、犯罪歴、薬物使用歴、薬物依
存の重症度、再使用率などを6群間で比較検討した。また、一般用医薬品群 21 名のうち、14 名に
対して追加調査を実施し、乱用対象となっていた具体的な製品名、入手方法、乱用に伴う精神的・
身体的な症状などの詳細を聞き取った。
【結果】
1.

一般用医薬品群は、
平均年齢 37.5 歳、
男性比率 95.2%、
高校卒業以上の学歴を有する割合 76.2%、
薬物犯罪での受刑歴を有する割合 9.5%、薬物依存以外の併存障害の診断歴を有する割合 33.3%
であった。DAST-20 スコアの平均値は 14.7 であり、6 群の中で最も高かった。

2.

一般用医薬品群は、大麻(61.9%)
、覚せい剤(52.4%)
、MDMA(33.3%)
、コカイン(28.6%)

などの規制薬物を併用していた。

3.

一般用医薬品群の各薬物の乱用開始年齢の平均値は、アルコール(15.8 歳)
、タバコ(15.9 歳)

大麻(17.6 歳)
、有機溶剤(17.9 歳)
、ガス(19.6 歳)
、一般用医薬品・鎮咳薬(20.2 歳)
、覚せ
い剤(21.2 歳)
、一般用医薬品・風邪薬(21.9 歳)と続いた。

4.

一般用医薬品群の累積再使用率(薬物)は、6ヶ月後 4.8%、12 ヶ月 14.3%、18 ヶ月 19.0%、24
ヶ月 28.6%であった。12 ヶ月、18 ヶ月、24 ヶ月における累積再使用率(薬物)は、一般用医
薬品群が最も高かった。

5.

一般用医薬品群の主たる依存対象は、エスエスブロン®錠(鎮咳去痰薬)
、エスエスブロン®「カ
リュー」
(鎮咳去痰薬)
、新ブロン®液エース(鎮咳去痰薬)
、新トニン®咳止め液(鎮咳去痰薬)

パブロンゴールドA(総合感冒薬)
、エスタックイブ(総合感冒薬)
、ナロンエース(総合感冒
薬)であった。

6.

「手で『5 本』などとサインを送ると、何箱でも売ってくれる状態であった」や「某ドラッグ
ストアでは、製品を多く買うと安くしてくれるサービスがあった」といった証言からは、乱用・
依存に対する警戒心が低いだけではなく、乱用・依存を後押しするような大量販売・不適切販
売を続けている薬局・ドラッグストアも存在することが明らかになった。
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