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参考資料2-1 一般用医薬品の適正使用の一層の推進に向けた依存性の実態把握と適切な販売のための研究 (13 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29460.html |
出典情報 | 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会医薬品等安全対策部会(令和4年度第3回 12/1)《厚生労働省》 |
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7.
「購入の際に、販売員より『1 人 1 本まで』と止められたことがあったが・・・」や「1 回だ
け、ドラッグストア(チェーン店)でナロンエース(80 錠)を 2 つ購入しようとした際に、販
売員より、
『肝臓が悪くなりますよ』と声掛けがあった」という証言からは、大量・頻回購入に
対する販売制限や、乱用が疑われる者に対する「声かけ」をしている薬局・ドラッグストアも
同時に存在していることが示された。
【結論】一般用医薬品症例の特徴として、次の 6 点が明らかとなった。
1.
若年の男性が多い
2.
高学歴・非犯罪傾向
3.
精神科的な問題を有する
4.
薬物依存が重症
5.
違法薬物の使用歴がある
6.
再使用率が高い
また、一般用医薬品症例への追加調査により、次の 2 点が明らかとなった
1.
販売数量が制限されているエスエスブロン®錠などの鎮咳去痰薬のみならず、販売数量が制限
されていないパブロンゴールドA、エスタックのような総合感冒薬の依存症例がいること。
2.
大量・頻回購入に対する販売制限や、乱用が疑われる者に対する「声かけ」をしている薬局・
ドラッグストアが存在する一方で、乱用・依存を後押しするような大量販売・不適切販売を続
けている薬局・ドラッグストアが存在すること。
「私みたいな依存者を出さないためにも、薬剤師さんには、ちゃんと売って欲しい」という患者
のメッセージを真摯に受け止め、薬局やドラッグストアなど一般用医薬品を販売する現場における
予防啓発や、依存症患者の早期発見・早期介入を含めたサポート体制を考える必要がある。
究を通じて、患者の臨床的特徴などが報告
A. 研究目的
2-4)
依存症臨床においては、大麻や覚せい剤など
されている一方で、鎮咳去痰薬など一般用医薬
の違法薬物のみならず、睡眠薬や抗不安薬(主
品症例の臨床的特徴については限られた報告
としてベンゾジアゼピン系薬剤)などの処方箋
しか存在しない 5,6)。
医薬品や、鎮咳去痰薬や総合感冒薬などの一般
そこで、本研究では薬物依存の民間支援団体
用医薬品(OTC 薬、市販薬)を乱用する症例が
であるダルク利用者を対象として、一般用医薬
散見される。2018 年度に実施された「全国の精
品症例の実態を把握することを目的とした。こ
神科医療施設における薬物関連精神疾患の実
こ で い う ダ ル ク と は 、 Drug Addiction
態調査」によれば、対象となった計 2609 症例の
うち、睡眠薬・抗不安薬を主たる薬物とする症
Rehabilitation Center の頭文字をとった DARC の
ことである。当事者が主体となった回復支援活
例は全体 17%を占め、一般用医薬品を主たる薬
動を 1985 年から開始し、その活動は全国に広
物とする症例は全体の 6%を占めている
がり、現在では約 60 団体が各地域で活動を続
1)。こ
こでいう「主たる薬物」とは、現在の精神科的
けている 7)。
症状に関して、臨床的に最も関連が深いと医師
が判断した薬物のことである。過去 1 年以内に
B. 研究方法
使用歴がある症例(1149 症例)に限ると、睡眠
1. 対象者
薬・抗不安薬症例(30%)
、一般用医薬品症例(9%)
となり、全症例に占める割合が増加する。
本研究は、ダルク利用者の予後を追跡してい
るコホート研究「ダルク追っかけ調査」8-11)のデ
睡眠薬・抗不安薬など処方箋医薬品の乱用・
ータベースから、必要な情報を抽出し、再分析
依存症例については、これまでにいくつかの研
を行った二次解析である。対象は、全国 46 団体
12
「購入の際に、販売員より『1 人 1 本まで』と止められたことがあったが・・・」や「1 回だ
け、ドラッグストア(チェーン店)でナロンエース(80 錠)を 2 つ購入しようとした際に、販
売員より、
『肝臓が悪くなりますよ』と声掛けがあった」という証言からは、大量・頻回購入に
対する販売制限や、乱用が疑われる者に対する「声かけ」をしている薬局・ドラッグストアも
同時に存在していることが示された。
【結論】一般用医薬品症例の特徴として、次の 6 点が明らかとなった。
1.
若年の男性が多い
2.
高学歴・非犯罪傾向
3.
精神科的な問題を有する
4.
薬物依存が重症
5.
違法薬物の使用歴がある
6.
再使用率が高い
また、一般用医薬品症例への追加調査により、次の 2 点が明らかとなった
1.
販売数量が制限されているエスエスブロン®錠などの鎮咳去痰薬のみならず、販売数量が制限
されていないパブロンゴールドA、エスタックのような総合感冒薬の依存症例がいること。
2.
大量・頻回購入に対する販売制限や、乱用が疑われる者に対する「声かけ」をしている薬局・
ドラッグストアが存在する一方で、乱用・依存を後押しするような大量販売・不適切販売を続
けている薬局・ドラッグストアが存在すること。
「私みたいな依存者を出さないためにも、薬剤師さんには、ちゃんと売って欲しい」という患者
のメッセージを真摯に受け止め、薬局やドラッグストアなど一般用医薬品を販売する現場における
予防啓発や、依存症患者の早期発見・早期介入を含めたサポート体制を考える必要がある。
究を通じて、患者の臨床的特徴などが報告
A. 研究目的
2-4)
依存症臨床においては、大麻や覚せい剤など
されている一方で、鎮咳去痰薬など一般用医薬
の違法薬物のみならず、睡眠薬や抗不安薬(主
品症例の臨床的特徴については限られた報告
としてベンゾジアゼピン系薬剤)などの処方箋
しか存在しない 5,6)。
医薬品や、鎮咳去痰薬や総合感冒薬などの一般
そこで、本研究では薬物依存の民間支援団体
用医薬品(OTC 薬、市販薬)を乱用する症例が
であるダルク利用者を対象として、一般用医薬
散見される。2018 年度に実施された「全国の精
品症例の実態を把握することを目的とした。こ
神科医療施設における薬物関連精神疾患の実
こ で い う ダ ル ク と は 、 Drug Addiction
態調査」によれば、対象となった計 2609 症例の
うち、睡眠薬・抗不安薬を主たる薬物とする症
Rehabilitation Center の頭文字をとった DARC の
ことである。当事者が主体となった回復支援活
例は全体 17%を占め、一般用医薬品を主たる薬
動を 1985 年から開始し、その活動は全国に広
物とする症例は全体の 6%を占めている
がり、現在では約 60 団体が各地域で活動を続
1)。こ
こでいう「主たる薬物」とは、現在の精神科的
けている 7)。
症状に関して、臨床的に最も関連が深いと医師
が判断した薬物のことである。過去 1 年以内に
B. 研究方法
使用歴がある症例(1149 症例)に限ると、睡眠
1. 対象者
薬・抗不安薬症例(30%)
、一般用医薬品症例(9%)
となり、全症例に占める割合が増加する。
本研究は、ダルク利用者の予後を追跡してい
るコホート研究「ダルク追っかけ調査」8-11)のデ
睡眠薬・抗不安薬など処方箋医薬品の乱用・
ータベースから、必要な情報を抽出し、再分析
依存症例については、これまでにいくつかの研
を行った二次解析である。対象は、全国 46 団体
12