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参考資料3:厚生労働科学研究 特別研究(野出班)の報告書 (14 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23962.html
出典情報 循環器病対策推進協議会 循環器病総合支援委員会(第1回 2/17)《厚生労働省》
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別添資料
循環器病総合支援センターと「循環器病の後遺症を有する者に対する支援」
循環器病は様々な後遺症を残すことが多いことを踏まえ、必要な治療・介護・福祉を適切に享受でき
る支援体制を構築することが必要である。一般的に後遺症とは急性期症状が治癒した後も機能障害など
の症状や傷痕が残ることを指し、顔面や手足の麻痺など一見してわかりやすいものと、感覚障害や疼痛、
失語症や構音障害、失認や失行などの高次脳機能障害といった一見してわかりにくいものがある。さら
に、心臓機能の障害により安静時又は自己身辺の日常生活活動でも心不全症状、狭心症症状又は繰り返
しアダムスストークス発作などの症状が出現する場合、ペースメーカの植え込み又は人工弁移植、弁置
換などの治療が必要な場合、自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されることやうつ症状などのメン
タルヘルスの問題を生じることがある。さらにてんかんといった負荷がかかった時や発作という形で見
られるものもある。
これらの後遺症に対しては、一定以上の障害があると認められた場合に申請することで身体障害手帳
や精神障害者保健福祉手帳などが交付され、障害者総合支援法の対象となり、様々な支援策が講じられ
る。障害者手帳を保持するということに対して患者本人の受入れがある場合には、適切な時期に申請し
積極的な社会参加を促すべきであるが、失語症などの高次脳機能障害に関しては社会生活の制限が大き
い割に等級が低いという意見も多い。後遺症や障害に対する治療や介助については、機能訓練や補装具
だけでなく、近年では痙縮に対するボツリヌス治療やてんかんや振戦や疼痛に対する刺激療法なども行
われており、必要な情報を備えておく必要があろう。
障害者総合支援や介護保険および福祉サービスの利用に関しては、行政の担当課も異なり分かりにく
いという指摘も多く、社会福祉士などの医療ソーシャルワーカーと連携して過不足なく適切なサービス
が受けられるように配慮すべきである。社会参加における制限に対する支援としては、自動車運転の再
開、公共交通機関の利用、就労・就学支援なども挙げられるが、障害者手帳が有用な場合もある。
また、罹患後に高頻度に見られる「うつ」や「不安」などのメンタルヘルス不調も大きな課題である。
患者本人だけでなく家族への支援が重要であり、ピアサポートや患者会などとの連携も必要である。
したがって、循環器病の後遺症を有する者に対する支援としては、まず急性期から多職種による評価
と治療計画を立て、考えられる後遺症について患者・家族に説明し、今後の対策をチームで考えること
が必要である。その上で必要な時期に必要な制度やサービスの利用について紹介し支援することが求め
られる。
表 1 脳卒中の高次脳機能障害
① 言語障害:失語、失読、失書
② 行為障害:失行、運動無視、運動開始困難など
③ 認知障害:半側空間無視、身体失認、視覚性失認、聴覚失認など
④ 記憶障害:健忘、見当識障害など
⑤ 注意障害:
⑥ 前頭葉障害:遂行機能障害、社会的行動障害(うつ、意欲低下、病識低下、易怒性など)

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