よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


参考資料3:厚生労働科学研究 特別研究(野出班)の報告書 (5 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23962.html
出典情報 循環器病対策推進協議会 循環器病総合支援委員会(第1回 2/17)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

別添資料
循環器病総合支援センターと「リハビリテーション等の取組」
循環器病患者においては、社会復帰という観点も踏まえつつ、日常生活動作の向上等の生活の質の維
持向上を図るため、急性期から回復期、維持期(生活期)に至るまで状態に応じた切れ間のない提供体制
の提供が求められる。状態が安定した回復期以降には、リハビリテーションを外来や在宅で実施するこ
とも見据えつつ、地域の医療資源を含めた社会資源を効率的に用いて多職種が連携する体制について、
その有効性も含めて検討する必要がある。
特に脳卒中後のリハビリテーション治療においては、2000 年に回復期リハビリテーション病棟が新
設されたことにより回復期のリハビリテーション治療は量的には大きく進展したが、回復期における専
門的治療やリスク管理等については対象となる疾患が幅広いために十分に対応しきれていない点や包
括払い制度に起因する薬剤変更による問題も指摘されている。一方で急性期病院には公的病院が多いこ
ともあり、リハビリテーションスタッフが十分に配置されていないことが多く、十分な急性期リハビリ
テーション治療が行えていないという実情もある。さらに同時に始まった介護保険制度により、維持期
(生活期)における医療リハビリテーションの介入が希薄となり、リハビリテーション医療の本来の目的
である社会生活の自立よりも自宅退院までがゴールとなっている感がある。
近年、日本での多施設共同の後ろ向きコホート研究において、多職種による外来心臓リハビリテーシ
ョンを行った心不全患者では、退院後の死亡と再入院のリスクが 23%低いことが報告されている[Circ
Heart Fail. 2020 Oct;13(10):e006798.]。現状では、心不全患者における入院中の心臓リハビリテーショ
ンへの患者参加率は 40%、さらに退院後の外来通院型心臓リハビリテーションへの患者参加率は 7%で
あり、必要な患者に心臓リハビリテーションが十分に実施されていない現状がうかがえる[Circ J 2019;
83: 1546-1552.]。心臓リハビリテーションへの参加を妨げる要因として、担当医が心臓リハビリテーシ
ョンへの参加を勧めない、患者説明の時間が入院中に十分とれない、リハビリテーション施設までのア
クセス不良、費用の問題、時間がとれない、女性、高齢、併存疾患がある患者、低収入・未婚・失業中
の患者、社会的支援を得られない患者など課題は多い。
広島大学病院は県内の 4 病院(地域心臓いきいきセンター)と連携し、心不全の地域サポート体制を
構築した結果、急性期病院の平均入院日数を減らすことなどに成功した。
一方、帝京大学医学部附属病院を中心として構築された Cardiac Rehabilitation Continuous Network
(CRCN)は,より応変的・弾力的な連携体制を構築することで,地域医療連携のネットワーク化(線
から面へ)に成功している。
また、日進月歩である現代医療の専門分化が進む中で、2006 年の診療報酬改定によりリハビリテーシ
ョン治療も「脳血管」

「運動器」

「呼吸器」

「心大血管」の 4 つの疾患別診療報酬体系となり、2010 年
には新たに「がん」が加わって細分化・専門化していく様相をみせている。しかしながら、高齢化が進
行する中で複数の疾患による多重障害患者は急増しており、診療体制の時期的・分野的な狭間で取り残
されている患者も見受けられる。医療の入り口である救急分野と出口であるリハビリテーション分野は、
本来その役割から総合的なものであったことも忘れてはならない。
したがって、リハビリテーション等の取組目標としては、まず急性期リハビリテーションの充実、次
に回復期リハビリテーションとの連携強化と抗凝固療法などの専門治療の継続とリスク管理の担保、維
持期(生活期)における必要な医療リハビリテーションサービスの提供などが挙げられる。さらに地域リ
5