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参考資料3:厚生労働科学研究 特別研究(野出班)の報告書 (20 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23962.html
出典情報 循環器病対策推進協議会 循環器病総合支援委員会(第1回 2/17)《厚生労働省》
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別添資料
循環器病総合支援センターと「小児期・若年期から配慮が必要な循環器病の対策」
国においては、移行医療センターを設置するなど移行期医療に対する取り組みが行われている。今後、
先天性の心臓病を持つ患者に対する医療体制をよりよくするためには、各種専門家とのスムーズな連携
が求められる。実際に小児および循環器両方の専門認定施設においては、それ以外の施設と比較して、
先天性の循環器病の 30 日死亡率がよかったという報告もある(J Cardiol. 2020 Jan;75(1):105-109)。
また、小児循環器学会および小児心臓外科学会、小児子供病院でのアンケート調査では、年間 200 例
以上の成人先天性心疾患患者を診療しているのは 23%にすぎず、ほとんどの施設は 50 人以下であった
(Circ J. 2016 Apr 25;80(5):1242-50.)。海外の Moons らの基準(表1)を日本の現状に合わせて考慮し
た Minimal requirements(表2)を満たす日本の施設は約 9 施設しかない現状がある。先天性心疾患患
者に対する診療の向上のため、成人先天性心疾患学会および小児循環器学会などが、総合修練施設およ
び連携修練施設などを設置するなどして取り組んでいる(表3

http://www.jsachd.org/specialist/list-

facility.html)

脳卒中領域においては、小児脳血管障害は脳神経外科において診療を受けることが多く、成人におい
てもそのまま脳神経外科で診療されているため、こども病院において治療された一部の患者を除いては、
どの診療科を受診するかといういわゆる移行期医療の問題は少ない。しかしながら、多くのもやもや病
お症例は小児期に治療を終えて日常生活レベルが良好であるがゆえに、成長後受療中止となっている場
合が少なくない。それは見かけ上の改善に過ぎず、一部は成人後に病変再発や脳卒中をきたすことがあ
るため、継続的な経過観察が重要である(Acta Neurochir 156:551-559,2014)。また、一部の症例は高次
脳機能障害による就学就職困難となるため、福祉についての情報提供や相談支援が必要となる( J
Neurosurg Pediatrics12:626-632,2013)。もやもや病などの小児脳血管障害は専門性がたかく、都道府県
ごとというよりは、複数の特定の医療機関に全国から患者が集中する傾向があるため、治療経験のすく
ない医療機関で治療された患者には十分な情報提供が行われていないという現実がある。循環器病総合
支援センターの脳卒中領域における要件としては、もやもや病など小児脳血管障害の治療について十分
な経験を有し、かつ厚労省の当該難病研究班と連携し、診療研究に関する最先端について情報提供を行
い、後遺症対策について相談支援できることが求められる。

(Moons らの基準. (Circ J 2016; 80: 1242–1250)より抜粋)

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