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資料5-1 高齢者施設の服薬簡素化提言 (13 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40741.html
出典情報 高齢者医薬品適正使用検討会(第18回 6/21)《厚生労働省》
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5. 介入に際しての注意点
前項で示したステップ 1~7 を実施する際の注意点について解説する。

ステップ 1

服薬簡素化の対象となる薬剤を特定する際の注意点

表 1 に例示した服薬簡素化の対象となる薬剤を特定する際に注意すべき点を示す。
投与回数が変更可能な薬剤の例に挙げた「1 日 2~3 回投与から 1 日 1 回にまとめる」際の注意点と
して、まとめることが好ましくない薬剤がある点に留意する。例えば、抗パーキンソン病薬のように分割投与が
重要な薬剤もあり 35、安易な服薬簡素化は症状の悪化等のリスクが高まる可能性がある。
持続性製剤への変更を検討する際には、半減期が延長することにより副作用等が発現した場合、症状が
消失するまでの期間が延長することに注意する。また、錠剤を噛んでしまう入所者/入居者については徐放性
が消失し、急激な血中濃度上昇により予期せぬ副作用が出たり、逆に効果が減弱することもある。持続性の
貼付剤に変更する際は、発赤や炎症等の皮膚症状に注意が必要である。週1回製剤や月1回製剤等の投与
間隔が長い製剤を使用する場合は、服薬タイミングが不規則になることにより、逆に服薬忘れや与薬忘れが
生じる可能性があるため、施設ごとでわかりやすい服薬管理方法(服薬曜日の統一など)を検討しておく必
要がある。
服薬タイミングを統一(昼 1 回等)する対応について、薬剤の特性上、食前(一部の糖尿病治療薬等)や
食間(食事の影響を受ける薬剤等)が望ましい薬剤もあるため、可能な範囲での対応を検討する。また、朝
の服薬が望ましい薬剤(SGLT2 製剤等)や就寝前の服薬が望ましい薬剤(眠剤や一部の抗ヒスタミン薬
等催眠作用がある薬剤等)もあるため、服薬タイミングの統一については個別に検討する必要がある。
服薬簡素化する際に、安全管理及び業務負担軽減、服薬アドヒアランス向上の観点から一包化を検討す
ることは有効な手段の一つであるが、一包化に不向きな薬剤(吸湿性が高い薬剤や光に不安定な薬剤等)
や係る費用や労力を考慮する必要がある。

ステップ2

服薬簡素化の実施可能性を検討する際の注意点

表 2 に示した服薬簡素化の実施可能性を検討する際に注意すべき点について示す。
添付文書上、用法用量が規定されている薬剤(起床時服用の骨粗鬆症治療薬や食前服用の糖尿病治
療薬等)については、薬剤の特性により服薬タイミングを変更できないことに注意する。
服薬簡素化により、一度に服用する薬剤数が多くなることで、誤嚥や薬物相互作用のリスク 36、服薬時間
を変更することによる副作用のリスクが上昇する可能性もある。薬物相互作用及び副作用を考慮する際に
は、食事の影響や薬物間の相互作用(薬剤の吸収率低下による効果減弱等)のみではなく、高齢者の薬物
代謝能の低下についても考慮した対応が必要である 37。誤嚥対策としては嚥下機能を含めた身体機能評
価を行い、個々の状態に応じた薬剤の剤形や大きさを選択する必要がある 27、38、39。
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