参考資料1-2 浜口班の議論における参考資料(令和3年10月25日開催) (185 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24719.html |
出典情報 | 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会血液事業部会安全技術調査会(令和3年度第6回 3/29)《厚生労働省》 |
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から[20]、例え陽性であってもそれだけでは診断の確定には至らないことに留意する必要がある。
ELISA 法で検出された抗血小板第 4 因子抗体により血小板凝集が誘導されるか否かについては機能
的測定法で確認する必要があるが、機能的測定法は高度の精度管理が求められ、実施可能な施設は
限られている。
3)診断手順
a. ワクチン接種後に血小板数低下と血栓症を認めれば TTS の可能性を考える。D-ダイマーが著増(基
準値上限の 4 倍以上)していれば TTS の可能性は高いが、D-ダイマーが軽度上昇(基準値上限の 12 倍程度)の TTS 症例も報告されているため、D-ダイマー著増は診断に必須ではない[1]。TTS を疑
えば、抗血小板第 4 因子抗体(ELISA)の結果を待たずに TTS として治療(後述)を開始することを
推奨する。
b. 画像検査で血栓症を認めない、あるいは血小板数の低下がない場合は、TTS は否定的であるが偽陰
性の可能性も否定できない。また、初診時に血小板減少を認めないが経時的に TTS に進行する場合
もあるため、上記検査を適宜再検し、推移をみることを推奨する。
4)鑑別すべき疾患と見分けるポイント
鑑別すべき疾患として、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)、血栓性微小血管症(TMA, 血
栓性血小板減少性紫斑病や溶血性尿毒症症候群など)、免疫性血小板減少症(ITP)、DIC、抗リン脂
質抗体症候群(APS)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、悪性腫瘍、血液がんなどがある。しか
し、治療の遅れは転帰を悪化させる恐れがあるため、鑑別診断を進めつつ速やかに TTS の治療を開始
する。本手引き作成時点で国内には TTS の確定診断を行う方法はなく、また、海外でもゴールドスタ
ンダードとなる診断方法はまだ確立していない。そのため、TTS 以外の疾患を除外することが重要であ
り、確実な鑑別のためには血栓止血の専門家に相談する。以下は主な鑑別点である。
HIT: ヘパリン投与歴の聴取が重要となる。
TMA (TTP): 末梢血塗抹標本で破砕赤血球の確認、網状赤血球増多、間接ビリルビン増加、高 LD 血
症、ハプトグロビン低下、特に TTP では ADAMTS13 活性が著減する。
ITP: 鑑別が困難なことが多い。血小板減少のみがみられる場合や出血を伴う症例では ITP の可能性
も考慮する。
DIC: TTS において DIC 様所見(フィブリノゲン著減、D-ダイマー著増など)をきたすことがあるた
め、鑑別が困難なことが多い。基礎疾患の有無や血栓の存在部位、DIC 診断基準を参考にして
推定する。
APS: 抗リン脂質抗体(ループスアンチコアグラント、抗カルジオリピン抗体、抗 β2GPI 抗体)の
存在証明が必要である。
PNH: 顕著な溶血所見(正球性貧血、網状赤血球増多、間接ビリルビン増加、高 LD 血症、ハプトグ
ロビン低下)が TTS との鑑別点だが、PNH 血球(抗 CD55/CD59 抗体)の証明で確定させる。
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