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参考資料1 一般用医薬品の適正使用の一層の推進に向けた依存性の実態把握と適切な販売のための研究 (17 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27051.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(令和4年度第7回 7/27)《厚生労働省》
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ないから」という動機が、乱用開始の背景にあ

どの一般用医薬品に移行する症例が複数確認

ることも複数の症例から報告された共通点で

できた。

あった。
3.医薬品販売に関する情報

また、
「精神科的な問題を有する」という特徴
は、前述の全国調査においても、「気分障害」、

一般用医薬品症例の実態を把握することが

「神経症性障害、ストレス関連障害および身体

本研究の目的であったが、一般用医薬品の販売

表現性障害」

「成人の人格及び行動の障害」を

に関する情報を付随的に得ることができた。

併存する者が多いことが報告されている

5)。

例えば、「個人経営の薬局では店内に陳列せ
ず、店の奥に隠してあった。手で『5 本』などと
サインを送ると、何箱でも売ってくれる状態で

2.新たに明らかになった特徴
本研究により新たに明らかとなった知見も

あった(症例 11)
」や「某ドラッグストアでは、

ある。例えば「薬物依存が重症」という特徴で

製品を多く買うと安くしてくれるサービスが

ある。本研究では、DAST-20 と呼ばれる自記式

あった(症例 13)
」といった証言からは、乱用・

12)により、薬物依存症の重症度を測

依存に対する警戒心が低いだけではなく、乱

定し、一般的医薬品群のスコア平均値が最も高
かった。DAST-20 のスコアが高いということは、

用・依存を後押しするような大量販売・不適切
販売を続けている薬局・ドラッグストアも存在

それだけ薬物依存が重症であることを意味す

することが明らかになった。一方、
「購入の際に、

る。DAST-20 のガイドラインでは、一般的医薬

販売員より『1 人 1 本まで』と止められたこと

品群のスコア平均値である 14.7 点は、11~15 点

があったが・・・
(症例 6)
」や「1 回だけ、ドラ

の「相当程度」の重症度であり、集中治療を要

ッグストア(チェーン店)でナロンエース(80

すると評価される。したがって、一般用医薬品

錠)
を 2 つ購入しようとした際に、
販売員より、

群の重症度は、覚せい剤や大麻などの違法薬物

『肝臓が悪くなりますよ』と声掛けがあった

を主たる依存対象とするグループよりも高い

(症例 9)
」という証言からは、大量・頻回購入

と解釈することができる。

に対する販売制限や、乱用が疑われる者に対す

の評価尺度

る「声かけ」をしている薬局・ドラッグストア

2つ目の知見としては、一般用医薬品群の
「再使用率の高さ」である。ダルク利用者を前

も同時に存在していることが示された。

向きに追跡することで、再使用率などの予後を
明らかにすることができた。DAST-20 は、過去

今回、エスエスブロン®錠などの鎮咳去痰薬
のみならず、パブロンゴールドAやエスタック

12 ヶ月間に起きた薬物使用に伴う問題を取り

イブのような総合感冒薬の依存症例も確認さ

扱った評価尺度であることから、再使用率が高

れた。現在、厚生労働省では「濫用等のおそれ

ければ、結果として DAST-20 のスコアも高くな

のある医薬品の成分・品目及び数量について」

る。では、なぜ一般用医薬品群は再使用しやす

という通知により、濫用の恐れのある6つの成

いのであろうか。追加調査の結果を踏まえると、

分を含む医薬品について、販売個数を原則 1 包

「どこでも売っていること」

「違法ではないこ

装に制限している。しかし、ここで規制されて

と」が乱用の動機となっている。このことから、

いるのは、例えば、ジヒドロコデインについて

一般用医薬品の「入手しやすさ」や「合法性」

は鎮咳去痰薬、メチルエフェドリンについて鎮

が、高い再使率につながっていると考えられる。

咳去痰薬・液体に限定されている。したがって、

最後に、大麻などの「違法薬物の使用歴があ

現状では、ジヒドロコデインやメチルエフェド

る」ことも本研究で明らかとなった特徴の一つ
である。10 代において大麻などの違法薬物の乱

リンを含有する総合感冒薬に対する販売数量
は特に制限されていないことになる。本研究で

用を開始したものの、違法薬物による逮捕を恐

得られた依存症例の実態を踏まえると、ジヒド

れて、合法的に使える物質として鎮咳去痰薬な

ロコデインやメチルエフェドリンを含有する
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