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参考資料1 一般用医薬品の適正使用の一層の推進に向けた依存性の実態把握と適切な販売のための研究 (18 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27051.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(令和4年度第7回 7/27)《厚生労働省》
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総合感冒薬についても、販売数量を制限するこ
E. 結論

とが必要かもしれない。
も、薬剤師さんには、ちゃんと売って欲しい(症

一般用医薬品症例の特徴として、次の 6 点が
明らかとなった。

例 4)
」という患者の証言に向き合いたい。薬物

1)

若年の男性が多い

依存を含む依存症患者には両価性(アンビバレ

2)

高学歴・非犯罪傾向

ンス)という特性がある。両価性とは、相反す

3)

精神科的な問題を有する

る感情が同時に存在することである。使いたい

4)

薬物依存が重症

気持ち(医薬品を乱用したい気持ち)と、やめ

5)

違法薬物の使用歴がある

たい気持ち(このままではいけないという気持

6)

再使用率が高い

最後に「私みたいな依存者を出さないために

また、一般用医薬品症例への追加調査により、

ち)が、同時に存在し、綱引きをしているよう
な状態である。自分は、医薬品の乱用を続けて

次の 2 点が明らかとなった

依存症になってしまったが、本当は誰か(医薬

1)

販売数量が制限されているエスエスブロ

品を販売する薬剤師)に止めてほしかったとい

ン®錠などの鎮咳去痰薬のみならず、販売

う気持ちがあるのかもしれない。これは、ある

数量が制限されていないパブロンゴール

意味で医薬品販売に携わる薬剤師への SOS で

ドA、エスタックのような総合感冒薬の依

あろう。一般用医薬品の販売に携わるすべての

存症例がいること。

薬剤師は、このメッセージを真摯に受け止め、

2)

大量・頻回購入に対する販売制限や、乱用

薬局やドラッグストアなど一般用医薬品を販

が疑われる者に対する「声かけ」をしてい

売する現場における予防啓発や、依存症患者の

る薬局・ドラッグストアが存在する一方で、

早期発見・早期介入を含めたサポート体制を考

乱用・依存を後押しするような大量販売・

える必要がある。

不適切販売を続けている薬局・ドラッグス
トアが存在すること。
「私みたいな依存者を出さないためにも、薬剤

4.本研究の限界
本研究は、当事者が主体となった回復支援活

師さんには、ちゃんと売って欲しい」という患

動を行っているダルク利用者を対象としたコ

者のメッセージを真摯に受け止め、薬局やドラ

ホート研究を情報源に一般用医薬品の依存症
例についての検討を行った。鎮咳薬などの一般

ッグストアなど一般用医薬品を販売する現場
における予防啓発や、依存症患者の早期発見・

用医薬品の乱用者には、機会的な乱用者から、

早期介入を含めたサポート体制を考える必要

薬物依存に基づく常習的な乱用者まで、様々な

がある。

病態が想定される。本研究の対象となったダル
クは、DAST-20 スコアでも示されているように、

【謝辞】本調査の実施にあたり、ご協力をい

比較的重症の薬物依存者が対象となっている。

ただきました全国のダルクの利用者および職

このため、本研究の結果は。必ずしも一般用医

員の皆様に、心から感謝申し上げます。

薬品の乱用者全体を代表するものとは言えな
いという限界がある。しかしながら、一般用医

F. 参考文献

薬品の依存症例の全体像を把握することが、困

1)

松本俊彦,ほか:全国の精神科医療施設に

難な状況の中、ダルクという特定集団の全数調

おける薬物関連精神疾患の実態調査.平成

査をもとに、一般用医薬品の依存症例の臨床像
を明らかにすることができたのは、今後の対策

30 年度厚生労働科学研究費補助金医薬品・
医療機器等レギュラトリーサイエンス政

を立てる上で、意義のある知見が得られたと言

策研究事業「薬物乱用・依存状態等のモニ

える。

タリング調査と薬物依存者・家族に対する
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