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資料2-1 重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬剤による接触皮膚炎(案) (27 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000209243_00004.html
出典情報 重篤副作用総合対策検討会(第14回 9/15)《厚生労働省》
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(7)発症機序
a. 刺激性接触皮膚炎
角層はバリアの役割を果たしており、正常な皮膚では分子量 1,000 以上の物質が角層を
通過することはないと考えられている。しかし、現在の生活環境においては角層の障害が
おこる機会が多くなっているため、皮膚に接触した刺激物質が障害部位より侵入して角化
細胞を刺激して誘発されたサイトカイン、ケモカインが産生され炎症細胞の局所への浸潤
を引き起こし炎症が起こると考えられている 33)。近年では表皮細胞の受動的な細胞死によ
り放出される自己由来の DNA や ATP、その他の Damage-associated molecular patterns が
炎症に関与する経路や有機溶剤や界面活性剤などによる接触皮膚炎では、バリア破壊自体
が炎症を惹起する可能性もあることが明らかにされている。
b. アレルギー性接触皮膚炎
アレルギー性接触皮膚炎は刺激性接触皮膚炎と異なり、微量のハプテンで皮膚炎を起こ
しえる。アレルギー性接触皮膚炎の発症には感作相(sensitization phase)と惹起相
(elicitation phase)の 2 つがあるとされている 37)。
1)感作相
接触アレルゲンはほとんどが分子量 1,000 以下の化学物質でハプテンと呼ばれる。ハプ
テンが皮膚表面から表皮内を通過して蛋白と結合しハプテン蛋白結合物を形成する。この
ハプテン蛋白結合物を抗原提示細胞である皮膚樹状細胞(Langerhans 細胞、真皮樹状細胞)
が捕獲して所属リンパ節に遊走し抗原情報を T リンパ球に伝え、感作リンパ球が誘導され
ることにより感作が成立すると考えられている。アレルギー性接触皮膚炎では主に Tc 細胞
である CD8 陽性細胞が重要な役割を果たすと考えられているが CD4 陽性細胞、CD17 陽性細
胞も関与する。ハプテンが自然免疫のメカニズムを介して早期の反応を誘導することが明
らかにされている 38)。
2)惹起相
惹起相はまだ明らかにされていないところが多い。感作が成立した個体に再び接触アレ
ルゲンが接触後、表皮細胞より種々の化学伝達物質、サイトカイン、ケモカインの産生が
見られる。さらには、肥満細胞の脱顆粒、血管の拡張と内皮細胞の活性化、好中球、好酸
球の浸潤である。これらの顆粒球の浸潤に続いて T リンパ球も浸潤してくる。T リンパ球
の活性化において皮膚樹状細胞などの抗原提示細胞が T リンパ球に情報を伝える。活性化
されたエフェクターT リンパ球が表皮に向かい遊走し再び皮膚、特に表皮内に集まり種々
のサイトカインを局所に放出し、活性化された T リンパ球が表皮細胞を障害、もしくは TNFαにより直接表皮細胞が障害され海綿状態を主とした湿疹性の組織反応が形成されアレル
ギー性接触皮膚炎が発症すると考えられている。
c. 光接触皮膚炎(光毒性接触皮膚炎、光アレルギー性接触皮膚炎)
通常の接触皮膚炎に、一次刺激性とアレルギー性のものがあるように、光接触皮膚炎に
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