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医薬品・医療機器等安全性情報397号 (11 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000083859.html
出典情報 医薬品・医療機器等安全性情報397号(12/14)《厚生労働省》
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〔症例概要〕
患者
No.

性・
年齢



男 高血圧
50代 (不明)

使用理由
(合併症)

副作用

1日投与量
投与期間
不明
不明

経過及び処置
急性呼吸窮迫症候群
4年前

高血圧に対し,ヒドロクロロチアジドを追加投与。
同日,吐き気と息切れを発現。他院に入院し,挿管した。胸
部X線撮影で両肺野に白濁を認め,急性呼吸窮迫症候群と診
断。5日間,挿管したまま,肺炎連鎖球菌の治療を行う。
その後,退院。
2年前
高血圧治療薬(配合薬:薬剤不明)を投与。
その後,悪寒とチアノーゼを発症し,他院の集中治療室に入
院。胸部X線撮影で両側にびまん性の浸潤を認め,広域スペ
クトルの抗生物質を投与。3日後に退院。
投与開始日 血圧管理のため,ヒドロクロロチアジドを投与。
投与約30分後 気分不良となり,進行性の息切れが発現。他院へ救急搬送。
進行性の呼吸困難,低酸素血症,低血圧を認め,口腔気管挿管。
FiO2100%,PEEP高値にもかかわらず,パルスオキシメトリー
は60-70%の範囲であった。肺水腫を疑い,フロセミド静注,
ノルエピネフリンの投与開始。
当院救急へ航空救命搬送。
搬送中,心停止となるも,蘇生。
搬送直後の心拍数は136拍/分,血圧125/90mmHg,パルスオ
キシメトリーは79%。非特異的なSTセグメントおよびT波の
逆転を伴う洞性頻脈を認めた。動脈血ガスはpH7.04,pCO2
82mmHg,pO265mmHg。
ノルエピネフリン,バソプレシン,エピネフリン,塩化カル
シウムを投与するも,進行性および難治性の低血圧が発症。
FiO2100%,PEEP高値にもかかわらず,パルスオキシメト
リーは45-82%の範囲であった。動脈血ガスはpH 7.05,pCO2
47mmHg,pO249mmHgであり,代謝性アシドーシスを示し
た。
ECMO開始後,15分以内にパルスオキシメトリーは88%を超
えた。動脈血ガスがpH7.29,pCO248mmHg,pO2110mmHg
となり,アシドーシスと酸素化の改善を認めた。
集中治療室へ移送。高用量ステロイド,広域スペクトルの抗
生物質を投与。胸部X線撮影で,両側性の間質浸潤を認め,
肺水腫と診断。ECMOを5日間継続。
投与12日後 退院。
退院1ヶ月後 外来受診。ベースラインへ回復。
過去の経過と現在の症状から,ヒドロクロロチアジド誘発性
の肺水腫が,重度の急性呼吸窮迫症候群の病因である可能性
が高いと考えた。

併用薬:不明
備考:Jansson PS, et al. J Emerg Med. 2018; 55: 836-40.

医薬品・医療機器等安全性情報

No.397

-11-

2022年12月