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資料3-9 吉田先生提出資料 (18 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00395.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード (第114回 1/17)《厚生労働省》
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4) クラスター発⽣後の対応

COVID-19の院内におけるクラスター発⽣の要因として、患者からの伝播は①個⼈防護具の不適切な使⽤、
②PCR偽陰性者や無症状者による伝播、③吸引⼿技・リハビリ・⾷事介助などの近接した接触、④患者の
転室・転棟・転院に伴う広がり、などが考えられます。また、職員同⼠の伝播については、ロッカー内や
休憩時、昼⾷時などにおける会話、が主な要因として挙がっています。院内でクラスターを発⽣させない
ためには、上記の要因を理解しながら、感染リスクを軽減させ、院内伝播を予防する⽇ごろからの対策が
重要になり、①個⼈防護具の選択や着脱のトレーニング、②適切な検査体制の整備、③接触頻度の削減や
時間の短縮、④院内の転室・転棟の制限や転院の際の情報共有、などが必要と考えられます。
院内でクラスターが発⽣した場合は、迅速にクラスター対策本部を設置します。医療機関のCOVID-19対
応について幹部や管理者を含めて協議する場が既に設けられている医療機関では、そこで対応について検
討するとよいでしょう。クラスター発⽣時も、⽇常と同様に、ある⼀定の部署のみが実働しているのでは
なく、役割分担、業務分担を⾏い、施設全体として取り組む体制があることが望ましいと考えられます。
職員や⼊院患者の罹患者や濃厚接触者の増加に伴い、院内の⼈的資源の余⼒が乏しい場合は、院外搬送も
検討します。また、院内の対応だけで収束に向かわせることは難しい場合も多いため、⽇頃から保健所や
都道府県の相談窓⼝や、平時に連携している医療機関との相談体制を構築しておくことも重要です。国や
地域ではクラスター発⽣時の⽀援を⾏っており、本学会でも専⾨家派遣に協力していますので、必要に応
じてご相談いただければと思います。
参考資料
1. Yu Wu, et al. Incubation Period of COVID-19 Caused by Unique SARS-CoV-2 Strains A Systematic
Review and Meta-analysis. JAMA Netw Open. 2022;5(8):e2228008. doi:10.1001/jamanetworkopen.2022.
28008
2. 国⽴感染症研究所: SARS-CoV-2 の変異株 B.1.1.529 系統(オミクロン株)の潜伏期間の推定:暫定報告.
2022 年 1 ⽉ 13 ⽇ https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2551-cepr/10903-b11529-period.html
3. 新 型 コ ロ ナ ウ イ ル ス 感 染 症 ( COVID-19 ) 病 原 体 検 査 の 指 針 第 6 版
https://www.mhlw.go.jp/content/001029252.pdf
4. 国⽴感染症研究所:SARS-CoV-2 の変異株 B.1.1.529 系統(オミクロン株)の発症間隔の推定:暫定報告.
https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2551-cepr/10952-b11529-si.html

8.ワクチンの接種と医療現場での対応
1) ワクチン接種の推奨

新型コロナウイルスのワクチンは当初の臨床治験による報告では感染予防、発症予防、重症化予防のそれ
ぞれの点において有効性が⽰されていました。ただし、ワクチンの 4 回接種後でも感染するなど、いわゆ
るブレイクスルー感染が少なからず起こっており、感染防⽌や発症防⽌としての効果はそれほど⾼いとは
⾔えない状況になっています。
ただし、ワクチン接種によって免疫を有する⼈の体内ではウイルス量がより早く減少することは証明され
ており、これにより重症化予防においては現時点でも⼗分に期待できるものと考えます。
また、医療従事者においても感染後の罹患後症状は重視すべき問題ですが、ワクチンを接種した医療従事
者は⾮接種者に⽐べて罹患後症状の発症リスクが有意に減少したという報告もあることから、罹患後症状
予防の観点からもワクチンの積極的な接種を推奨します。
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