よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


資料3-9 吉田先生提出資料 (3 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00395.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード (第114回 1/17)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

1.はじめに
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックから約 3 年が経過し、2022 年 12 ⽉に全世界の感
染者数は 6 億 3 千万⼈を超え、死者は約 650 万⼈を超えています。国内では累計の感染者数は 2,500 万⼈を
超え、死者は 5 万⼈を超えました。すでに WHO(世界保健機関)のテドロス事務局⻑は、
「世界⼈⼝の約 9
割は、感染やワクチンによってある程度の免疫を獲得していると推定される」と発⾔し、当所の頃と⽐べる
と世界の感染状況は⼤きく変わりました。
すでに新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の抗原定性検査キットを⼀般の⽅も⼊⼿可能となり、医療機関
を受診せずとも診断が可能な状況になりました。さらにさまざまな治療薬も開発され、重症化予防が期待さ
れる経⼝薬の利⽤もできるようになりました。ただし、オミクロン株の感染⼒の強さを反映して第 7 波はこ
れまでで最⼤の流⾏となり、死者数も最も多くなりました。医療機関においてもクラスターが多く発⽣し、
医療従事者も感染したり、濃厚接触者となるなど、⼀般診療への影響もかなり深刻でした。現在起こってい
る第 8 波はさらに今後の感染拡⼤が予想され、インフルエンザとの同時流⾏の可能性もあるため、医療機関
における感染対策は引き続き気を緩めることはできない状況かと思われます。
感染対策⾯においても、さまざまなエビデンスが得られるようになってきており、従来よりも徹底すべきこ
と、緩和しても良いことなどもわかってきました。しかし、医療機関においては院内での感染者の発⽣が及
ぼす影響の⼤きさを考えると、⼀般社会より厳密に対応せざるを得ないと思います。ただし、どこまで厳密
に対応する必要があるのかについては、各医療機関の体制や感染症の流⾏状況などによっても異なるため、
どの施設にもどの感染状況においても当てはまるような標準的な対応を提⽰することが難しくなっている
のも事実です。そのため、本ガイドで⽰した内容を参考にして、各医療機関で流⾏状況に合わせて柔軟に対
応を決めていただくようお願いします。

2.

新型コロナウイルスの感染経路と基本的対策

1) 主要な感染経路

新型コロナウイルスの主要な感染経路としては、①⾶沫感染、②エアロゾル感染、③接触感染が考えられ
ます。新型コロナウイルスを含んだ感染者の気道分泌物が⾶沫やエアロゾルになって排出され、⾶沫は⼝、
⿐、⽬の粘膜に直接届きます。エアロゾルは空気中を浮遊し、吸い込んだりすることで粘膜に付着します。
感染者の体や⾐服、汚染した環境に触れるとウイルスが⽪膚に付着しますが、⽪膚表⾯でこのウイルスが
増殖することはありませんので、それだけでは感染は成⽴しません。ウイルスが付着した⼿指で⼝、⿐、
⽬の粘膜を触ることで粘膜に付着したウイルスが増殖して感染を起こします。
⾶沫は粒⼦が⼤きく落下しやすいので、2mより遠くにいる⼈に感染させる可能性は低くなります。その
⼀⽅で、エアロゾルは粒⼦が⼩さく、数時間程度空気中を漂い、空気の流れに乗ればより遠くまで広がる
ことが可能です(表1)。⾶沫に含まれる⽔分が蒸発したあとに残る⾶沫核に病原体が付着し、空間中を浮
遊することで起こる空気感染では、空間を共有している⼈全員が感染するリスクを有しています。新型コ
ロナウイルスが空気感染を起こすかどうかについて、議論がなされていますが、これまでの COVID-19
の発⽣状況を考慮すると、空気感染として広がったと考えられるケースはまれであり、⼀般的な条件では
起こりにくいと考えます。
2