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資料3 (2 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30366.html
出典情報 厚生科学審議会 会感染症部会(第69回 1/23)《厚生労働省》
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1.はじめに
感染症疫学・医療の専門家有志による「新型コロナウイルス感染症対策に関する見解と感
染症法上の位置付けに関する影響の考察(令和 5 年 1 月 11 日)」
(以下、
「見解と考察」)で
は、病原性が低下した SARS-CoV-2 オミクロン株の出現やワクチン接種の進展により、感染
者が重症化あるいは死亡する割合は徐々に低下してきているものの、オミクロン株になっ
てウイルスの伝播力はむしろ強くなり、感染者数が増えたため、死亡者数も極めて多くなっ
ていること、本疾患が季節性インフルエンザ等のような流行性疾患と同様な対応が可能な
疾患になるには時間がかかるため、適切な医療の提供を継続できないほどの感染者数の急
増や高いピークを避ける必要性があることが述べられている。
本稿の目的は、
「見解と考察」が出されたことを踏まえ、SARS-CoV-2 オミクロン株のよう
に重症化率が低く伝播性の高いウイルスの流行を前提として、倫理的法的社会的課題(ELSI)
の専門家有志より提言することである。
2.他者に感染させないための措置の対象から COVID-19 を外す必要
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、依然として感染症法に基づく強制力を伴った
措置の対象とされている。
都道府県知事は、感染症法第 19 条の規定に基づいて感染した患者に入院の勧告および措
置ができることとなっており、患者が従わない場合には、法第 80 条の規定により過料が科
されうる。
重症化リスクの低い陽性者などの場合は、
法第 44 条の 3 第 2 項の規定に基づき、
都道府県知事は自宅や宿泊施設からの外出自粛などの協力を要請することができる。
また、都道府県知事は、感染症法第 15 条に基づいて積極的疫学調査を行うこととされ
ている。その目的は、個々の患者発生をもとにクラスターが発生していることを把握し、原
則的には後方視的にその感染源を推定するととともに、前方視的に濃厚接触者の行動制限
等により封じ込めを図ることである1。調査への協力を命じられてもなお拒否する患者には
法第 81 条の規定により過料が科されうる。
公衆衛生倫理の主要な原則のひとつに、
「侵害の最小化(least infringement)」あるいは
「強制的な手段の最小化(least restrictive or coercive means)
」がある。この原則は、
新型インフルエンザ特別措置法第 5 条や感染症法第 22 条の 2 においても尊重され、国民の
自由や権利を制限する措置は必要最小限のものでなければならないとされている。
「見解と考察」では、他者に感染させないことを主目的とした入院や宿泊療養について、
「事実上そのような目的での入院はすでに行われておらず、影響は軽微であると考えられ
る」

「1 年間に 2,000 万人以上の感染が確認されている現在、キャパシティの限られるホテ
ル療養は、社会の感染拡大の抑制という観点からは、隔離療養の寄与度は低くなっている」
と述べられている。また、濃厚接触者の把握と保健行政による行動制限について、「事実上

1

国立感染症研究所.新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2021 年 1 月 8 日
版)[https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/corona/COVID19-02-210108.pdf]

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