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資料3 (5 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30366.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 会感染症部会(第69回 1/23)《厚生労働省》 |
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うか。国や都道府県において、実態を把握しながら、とりやめるべき事項を明確に宣言する
必要がある。
こうしたプロセスへの移行においては、継続的なリスクコミュニケーション4を行うこと
が望ましい。すなわち、国や都道府県、事業者団体等において人々の慣行の実態を把握しな
がら、時宜に応じた戦略的なリスク情報の発信と人々の受け止め方や要望の確認を継続し、
必要に応じてリスク管理のあり方を調整する手続きの整備が不可欠である。
6.新たな健康習慣に取り組みやすい環境整備
感染症対策には人々の協力によって支えられる面があるが、上記「5」の努力義務の規定
をめぐる検討にもあるように、新たな健康習慣を人々に啓発するにあたり、対策の実施を個
人の責任のみに帰す事態に陥らないように留意すべきである。
そのため、国や都道府県においては、社会的経済的に脆弱な立場に置かれた人々に最大限
の配慮をしたうえで(このためには、脆弱な立場に置かれた人々とのリスクコミュニケーシ
ョンなども有効であろう)
、人々が健康習慣に取り組みやすい環境整備(ワクチン接種や廉
価な検査キットの入手など)
、体調不良の際に休みやすく復帰しやすい環境整備(病気休暇
制度導入の普及啓発など)に尽力すべきである。
7. パンデミックにおける公衆衛生倫理の観点からの助言
武藤が参加していた WHO Working Group on Ethics and COVID-19 では、どの国において
も政策立案過程において適時的確な倫理的な助言をするアプローチが機能しなかったこと
が度々議論されてきた。我が国においても例外ではなく、様々な場面で順位付けをめぐる議
論の必要性が表面化したが5、倫理的ジレンマを公の場で集中的に議論する機会は乏しく、
政策決定過程において可視化されずに雲散霧消していった。
WHO で倫理面の議論を主導してきた、公衆衛生倫理の専門家である Upshur や Emanuel ら
は、政策立案者は複数の倫理学者からなるチームにも、首尾一貫した倫理的対応について支
援を求めるべきであり、アウトブレークから一連のプロセスにおいて生じうる倫理的課題
を予期し、政策立案者が緊急事態への対応に関連する倫理的配慮を確実に行うためのチェ
ックリストが用意されるべきだと指摘している。
これを実現するために、国や都道府県の対策部門において、公衆衛生倫理の訓練を受けた
4
リスクコミュニケーションの定義としては、リスクのより適切なマネジメントのために、社会の各層が
対話・共考・協働を通じて、多様な情報及び見方の共有を図る活動のこと(文部科学省安全・安心科学技
術及び社会連携委員会(2014)
『リスクコミュニケーションの推進方策』
)
、リアルタイムでの情報や助
言、意見の交換を専門家や行政と様々なリスク(ハザード)の脅威に直面する人々の間で行うこと((WHO
(2018). Communicating risk in public health emergencies: A WHO guideline for emergency risk
communication (ERC) )等が挙げられる。
5
例えば、即応病床不足時における入院調整の優先順位決定、集中治療提供の制限が発生した場合の優先
順位決定、一般医療の制限の正当化など、採用すべき倫理的原則や価値判断が困難な局面において、国と
して考え方や検討すべきプロセスを示さず、倫理的ジレンマの解消を地方公共団体や医療機関の判断に委
ねたことが挙げられる。
5
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必要がある。
こうしたプロセスへの移行においては、継続的なリスクコミュニケーション4を行うこと
が望ましい。すなわち、国や都道府県、事業者団体等において人々の慣行の実態を把握しな
がら、時宜に応じた戦略的なリスク情報の発信と人々の受け止め方や要望の確認を継続し、
必要に応じてリスク管理のあり方を調整する手続きの整備が不可欠である。
6.新たな健康習慣に取り組みやすい環境整備
感染症対策には人々の協力によって支えられる面があるが、上記「5」の努力義務の規定
をめぐる検討にもあるように、新たな健康習慣を人々に啓発するにあたり、対策の実施を個
人の責任のみに帰す事態に陥らないように留意すべきである。
そのため、国や都道府県においては、社会的経済的に脆弱な立場に置かれた人々に最大限
の配慮をしたうえで(このためには、脆弱な立場に置かれた人々とのリスクコミュニケーシ
ョンなども有効であろう)
、人々が健康習慣に取り組みやすい環境整備(ワクチン接種や廉
価な検査キットの入手など)
、体調不良の際に休みやすく復帰しやすい環境整備(病気休暇
制度導入の普及啓発など)に尽力すべきである。
7. パンデミックにおける公衆衛生倫理の観点からの助言
武藤が参加していた WHO Working Group on Ethics and COVID-19 では、どの国において
も政策立案過程において適時的確な倫理的な助言をするアプローチが機能しなかったこと
が度々議論されてきた。我が国においても例外ではなく、様々な場面で順位付けをめぐる議
論の必要性が表面化したが5、倫理的ジレンマを公の場で集中的に議論する機会は乏しく、
政策決定過程において可視化されずに雲散霧消していった。
WHO で倫理面の議論を主導してきた、公衆衛生倫理の専門家である Upshur や Emanuel ら
は、政策立案者は複数の倫理学者からなるチームにも、首尾一貫した倫理的対応について支
援を求めるべきであり、アウトブレークから一連のプロセスにおいて生じうる倫理的課題
を予期し、政策立案者が緊急事態への対応に関連する倫理的配慮を確実に行うためのチェ
ックリストが用意されるべきだと指摘している。
これを実現するために、国や都道府県の対策部門において、公衆衛生倫理の訓練を受けた
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リスクコミュニケーションの定義としては、リスクのより適切なマネジメントのために、社会の各層が
対話・共考・協働を通じて、多様な情報及び見方の共有を図る活動のこと(文部科学省安全・安心科学技
術及び社会連携委員会(2014)
『リスクコミュニケーションの推進方策』
)
、リアルタイムでの情報や助
言、意見の交換を専門家や行政と様々なリスク(ハザード)の脅威に直面する人々の間で行うこと((WHO
(2018). Communicating risk in public health emergencies: A WHO guideline for emergency risk
communication (ERC) )等が挙げられる。
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例えば、即応病床不足時における入院調整の優先順位決定、集中治療提供の制限が発生した場合の優先
順位決定、一般医療の制限の正当化など、採用すべき倫理的原則や価値判断が困難な局面において、国と
して考え方や検討すべきプロセスを示さず、倫理的ジレンマの解消を地方公共団体や医療機関の判断に委
ねたことが挙げられる。
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