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資料 3 - 2 疾病名及び疾病の対象範囲の変更について研究班から情報提供のあった疾病の診断基準等案 (44 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31470.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第50回 3/3)《厚生労働省》 |
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<成人期神経変性を伴う小児期非進行性脳症 static encephalopathy of childhood with neurodegeneration in
adulthood: SENDA/ベータプロペラタンパク質に関連した神経変性症 beta-propeller protein-associated
neurodegeneration: BPAN/NBIA5>
1. 病因遺伝子と概要
オートファジー関連脳内鉄沈着神経変性症で、比較的重度の知的障害と軽度の運動発達遅滞で小児期に
発症する。成人期以降に認知症やジストニア・パーキンソニズムが急速に進行し、数年の経過で臥床状態と
なる。
(1)遺伝様式:X 染色体顕性遺伝(優性遺伝)様式(遺伝子座;Xp11.23、病因遺伝子;WDR45、遺伝子産
物;WD repeat domain phosphoinositide interacting protein 4:WIPI4、原則 de novo 変異である。X 染色
体の不活性化により、正常異常アレルの発現の偏りが発症に関与する。男性は一般的には胎生致死と
なる。OMIM#300894)
(2)発症年齢:小児期~成人期
(3)頻度:不明
2. 臨床症状
小児期に知的障害運動発達遅滞で発症し、成人期以降に進行性の運動・認知機能低下、錐体路症状、睡
眠障害を示す。発語は数単語に留まる。聴覚認知機能の障害は言語に比較して軽度で、簡単な指示理解
は可能である。小児期に多彩なてんかん症状を示すことが少なくないが、成人期以降は発作頻度は軽減す
る。遺伝子が同定された際に static encephalopathy with neurodegeneration in childhood: SENDA と称され
た。軽症例では手指の常同運動が目立ち、当初、非典型 Rett 症候群とされた症例もある。成人期になると
ジストニア・パーキンソニズム、歩行障害(小股歩行や freezing)、認知症を示し、認知症は比較的急に悪化
する。パーキンソニズムは L-dopa に反応するが、短期間で症状の日内変動やジスキネジアなどを示す。症
状の強弱は X 染色体不活化の偏りの程度、遺伝子変異部位により異なる可能性などが想定されているが、
結論はでていない。 殆どの症例は女性であり、男性症例は致死的である。
3. 検査所見
(1)脳 MRI 画像:鉄沈着は淡蒼球と黒質にみられ、他の NBIA と異なり黒質>淡蒼球である。T1 で黒質~
大脳脚にかけて halo 状となる。脳梁は非薄化し、大脳と小脳は萎縮性である。
(2)神経病理像:淡蒼球と黒質に鉄沈着と神経細胞脱落を認める。synucleinopathy 像はなく、進行すると
大脳にびまん性に tauopathy 像が見られる。軸索スフェロイドを黒質、淡蒼球、延髄、橋、視床に認め
る。
一般検査所見に特異的所見はない。
4. 遺伝子診断
WDR45 遺伝子の病的変異を認める。
5. 鑑別疾患
ウィルソン Wilson 病、Menkes 病、αfucosidosis、Glutaric aciduria I、Leigh 脳症、神経セロイドリポフスチン
症(Neuronal ceroid lipofuscinosis)、ハンチントン Huntington 病、神経有棘赤血球症、β-hexosaminidase A
欠損症、GM1-galactosidase 欠損症、ニーマン・ピック Niemann-Pick 病、小児期発症の遺伝性小脳性運動
失調、歯状核赤核・淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)、家族性痙性対麻痺 30 型、遺伝性感覚性ニューロパチ
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adulthood: SENDA/ベータプロペラタンパク質に関連した神経変性症 beta-propeller protein-associated
neurodegeneration: BPAN/NBIA5>
1. 病因遺伝子と概要
オートファジー関連脳内鉄沈着神経変性症で、比較的重度の知的障害と軽度の運動発達遅滞で小児期に
発症する。成人期以降に認知症やジストニア・パーキンソニズムが急速に進行し、数年の経過で臥床状態と
なる。
(1)遺伝様式:X 染色体顕性遺伝(優性遺伝)様式(遺伝子座;Xp11.23、病因遺伝子;WDR45、遺伝子産
物;WD repeat domain phosphoinositide interacting protein 4:WIPI4、原則 de novo 変異である。X 染色
体の不活性化により、正常異常アレルの発現の偏りが発症に関与する。男性は一般的には胎生致死と
なる。OMIM#300894)
(2)発症年齢:小児期~成人期
(3)頻度:不明
2. 臨床症状
小児期に知的障害運動発達遅滞で発症し、成人期以降に進行性の運動・認知機能低下、錐体路症状、睡
眠障害を示す。発語は数単語に留まる。聴覚認知機能の障害は言語に比較して軽度で、簡単な指示理解
は可能である。小児期に多彩なてんかん症状を示すことが少なくないが、成人期以降は発作頻度は軽減す
る。遺伝子が同定された際に static encephalopathy with neurodegeneration in childhood: SENDA と称され
た。軽症例では手指の常同運動が目立ち、当初、非典型 Rett 症候群とされた症例もある。成人期になると
ジストニア・パーキンソニズム、歩行障害(小股歩行や freezing)、認知症を示し、認知症は比較的急に悪化
する。パーキンソニズムは L-dopa に反応するが、短期間で症状の日内変動やジスキネジアなどを示す。症
状の強弱は X 染色体不活化の偏りの程度、遺伝子変異部位により異なる可能性などが想定されているが、
結論はでていない。 殆どの症例は女性であり、男性症例は致死的である。
3. 検査所見
(1)脳 MRI 画像:鉄沈着は淡蒼球と黒質にみられ、他の NBIA と異なり黒質>淡蒼球である。T1 で黒質~
大脳脚にかけて halo 状となる。脳梁は非薄化し、大脳と小脳は萎縮性である。
(2)神経病理像:淡蒼球と黒質に鉄沈着と神経細胞脱落を認める。synucleinopathy 像はなく、進行すると
大脳にびまん性に tauopathy 像が見られる。軸索スフェロイドを黒質、淡蒼球、延髄、橋、視床に認め
る。
一般検査所見に特異的所見はない。
4. 遺伝子診断
WDR45 遺伝子の病的変異を認める。
5. 鑑別疾患
ウィルソン Wilson 病、Menkes 病、αfucosidosis、Glutaric aciduria I、Leigh 脳症、神経セロイドリポフスチン
症(Neuronal ceroid lipofuscinosis)、ハンチントン Huntington 病、神経有棘赤血球症、β-hexosaminidase A
欠損症、GM1-galactosidase 欠損症、ニーマン・ピック Niemann-Pick 病、小児期発症の遺伝性小脳性運動
失調、歯状核赤核・淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)、家族性痙性対麻痺 30 型、遺伝性感覚性ニューロパチ
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