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資料2_中間とりまとめ(案) (17 ページ)

公開元URL https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/mext_00586.html
出典情報 今後の医学教育の在り方に関する検討会(第5回 9/11)《文部科学省》
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れてきた。その中で、大学病院に対する社会的期待は大きく、大学病院は医療の最後
の砦として、日本の医療を支えてきた。しかし、我が国の医療保険制度は、国民がい
つでも、誰でも、必要な医療サービスを少ない費用負担で受けることができる世界
に誇れるものである一方、地域の医療資源が広くかつ薄く分散した体制となってい
る。このため大学病院といえども、諸外国に比べると人員や規模などが小さく、そこ
に勤務する医師の労働は、勤務医の中でも過酷な状況に置かれている。
○ 2004(平成 16)年の国立大学法人化以降に導入された附属病院運営費交付金は、一
般診療経費と債務償還経費を附属病院収入でカバーできない場合に措置され、当該
交付金を受ける大学病院には、経営改善のため毎年度の附属病院収入を 2004(平成
16)年度の附属病院収入額の2%分増額することが求められた。自主的・自律的な経
営が求められる中で、DPC 制度(DPC/PDPS)を活用した診療の拡大による収入増加を
目指した取組が進められてきた結果、大学病院は診療にこれまで以上に注力するこ
ととなり、本来果たすべき教育・研究活動に十分なエフォートを割けなくなった。
○ また、国立大学は、法人化に伴いいわゆる国家公務員総定員法による職員の定員規
制等の対象から除外され、国立大学病院では、医療需要の増大にあわせて医師につ
いては 1.6 倍、看護師も 1.8 倍の人員を雇用するまでに組織規模が拡大し、結果と
して、手術件数、新規入院患者も共に2倍近くに増加するなど、診療においては、も
はや地域による差はあれ、どの都道府県にとってもなくてはならない存在となった。
○ 一方、国からの経常的な財政支援の状況を見ると、国立大学法人では、教育・研究に
係る経費に対応して運営費交付金全体のうち 1,100 億円程度が毎年度各法人から病
院に措置されており、これは診療に係る経費に対応した診療報酬を含めた業務収益
全体の1割に満たない額となっている。私立大学では、教育条件と研究条件の維持・
向上等に寄与するために交付される私立大学等経常費補助金の1校当たりの交付額
は年々減少傾向にある。
○ 研究においては、世界における日本の地位が年々低下しているところ、我が国にお
ける科学論文のほとんどが大学から出ていることに鑑みれば、大学の研究力そのも
のの低下によることが示唆され、基礎生命科学分野の論文数についても横ばいから
減少に向かう傾向が見受けられる。他方、臨床医学分野については、診療の活発化に
伴って、米国や中国ほどではないものの、我が国の他の研究分野に比べて高い増加
率を誇っており、その質も向上しているとの指摘もある。このことは、大学病院に勤
務する医師が、診療に多くの時間を割かれながらも、限られた時間の中で積極的に
研究に取り組んでいる何よりの証しである。
○ 教育においては、医学教育モデル・コア・カリキュラムに基づく教育内容が広く浸透

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