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資料2_中間とりまとめ(案) (4 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/mext_00586.html |
出典情報 | 今後の医学教育の在り方に関する検討会(第5回 9/11)《文部科学省》 |
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るため地域の医療機関では対応が難しい高額薬剤の投与が必要な患者に対する医療、
さらに地域医療を支えるための医師派遣など、多種多様な機能が求められている。
しかし現状の診療報酬制度下において、こうした機能を考慮した評価がなされてお
らず、このままでは大学病院が収益を改善させることは難しいという指摘がある。
○ さらに、大学病院は、医療の最後の砦としての役割を担っているが、コロナ禍にあっ
た 2020(令和2)年度及び 2021(令和3)年度を除いて増収減益傾向の中で、施設・
設備に対する十分な投資ができず、老朽化や機能の陳腐化等が懸念される状況6にあ
り、現状の診療規模を前提とする施設・設備の維持は限界を迎えつつある。このた
め、各大学病院においては、今後の医療需要に応じて、必要な施設・設備の規模の適
正化について検討を行う必要がある。
(2) 教育・研究時間の減少
○ 大学病院は、教育機関としての役割を担い、卒前卒後の実習等を通じて、基本的診療
能力を有し、各専門領域において標準的で適切な診断・治療を提供できる医師の育
成に重要な役割を果たしている。しかしながら、大学病院における臨床研修医の受
入数は、近年減少しており7、臨床研修の場としての大学病院の魅力が低下している
との指摘がある。他方、医学部の教員を兼ねる大学病院の医師の視点からは、診療重
視の病院運営の下で診療業務が増えることにより、講義の準備や OSCE の指導・評価
等をはじめ、教育に割く時間が減少するなど、教育の質の低下につながりかねない
状況にあるとの指摘もある。
○ また、研究の側面において、大学病院は、前述のような役割を担っているが、大学病
院で勤務する医師の研究時間は、経年的に減少している8。例えば、助教の業務時間
に占める教育・研究時間の割合は2割程度に留まる一方、診療時間の割合は7割を
占めている。実労働時間で見ても、助教の 15%は全く研究を行っておらず、50%は
週当たりの研究時間が5時間以下に留まるなど、深刻な状況にある。
○ こうした状況は臨床医学分野に限るわけではなく、諸外国に比して我が国の研究力
は相対的に低下を続けている。その中で、我が国の臨床医学分野の論文数は増加を
続けているものの、世界の臨床医学分野の研究は質・量ともに急速に進化しており、
日本の国際的な地位は低下し続けている。
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2013(平成 25)年度から 2021(令和3)年度における価値残存率の推移は、建物が約 65%から
約 49%へ、医療機器等の設備が約 35%から約 25%へと低下している。なお、価値残存率は、
(取
得原価-減価償却累計額)÷取得原価により算出している。
7 一般社団法人国立大学病院長会議の調査によれば、国立大学病院における臨床研修医採用人数
は、2011(平成 23)年の 1,524 人から 2021(令和3)年には 1,303 人に減少している。
8 2002(平成 14)年から 2018(平成 30)年にかけて、保健分野における大学等教員の職務活動時
間に占める研究時間の割合は、約 50%から約 34%まで減少し、診療時間の割合は、約 14%から
約 26%まで増加。
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さらに地域医療を支えるための医師派遣など、多種多様な機能が求められている。
しかし現状の診療報酬制度下において、こうした機能を考慮した評価がなされてお
らず、このままでは大学病院が収益を改善させることは難しいという指摘がある。
○ さらに、大学病院は、医療の最後の砦としての役割を担っているが、コロナ禍にあっ
た 2020(令和2)年度及び 2021(令和3)年度を除いて増収減益傾向の中で、施設・
設備に対する十分な投資ができず、老朽化や機能の陳腐化等が懸念される状況6にあ
り、現状の診療規模を前提とする施設・設備の維持は限界を迎えつつある。このた
め、各大学病院においては、今後の医療需要に応じて、必要な施設・設備の規模の適
正化について検討を行う必要がある。
(2) 教育・研究時間の減少
○ 大学病院は、教育機関としての役割を担い、卒前卒後の実習等を通じて、基本的診療
能力を有し、各専門領域において標準的で適切な診断・治療を提供できる医師の育
成に重要な役割を果たしている。しかしながら、大学病院における臨床研修医の受
入数は、近年減少しており7、臨床研修の場としての大学病院の魅力が低下している
との指摘がある。他方、医学部の教員を兼ねる大学病院の医師の視点からは、診療重
視の病院運営の下で診療業務が増えることにより、講義の準備や OSCE の指導・評価
等をはじめ、教育に割く時間が減少するなど、教育の質の低下につながりかねない
状況にあるとの指摘もある。
○ また、研究の側面において、大学病院は、前述のような役割を担っているが、大学病
院で勤務する医師の研究時間は、経年的に減少している8。例えば、助教の業務時間
に占める教育・研究時間の割合は2割程度に留まる一方、診療時間の割合は7割を
占めている。実労働時間で見ても、助教の 15%は全く研究を行っておらず、50%は
週当たりの研究時間が5時間以下に留まるなど、深刻な状況にある。
○ こうした状況は臨床医学分野に限るわけではなく、諸外国に比して我が国の研究力
は相対的に低下を続けている。その中で、我が国の臨床医学分野の論文数は増加を
続けているものの、世界の臨床医学分野の研究は質・量ともに急速に進化しており、
日本の国際的な地位は低下し続けている。
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2013(平成 25)年度から 2021(令和3)年度における価値残存率の推移は、建物が約 65%から
約 49%へ、医療機器等の設備が約 35%から約 25%へと低下している。なお、価値残存率は、
(取
得原価-減価償却累計額)÷取得原価により算出している。
7 一般社団法人国立大学病院長会議の調査によれば、国立大学病院における臨床研修医採用人数
は、2011(平成 23)年の 1,524 人から 2021(令和3)年には 1,303 人に減少している。
8 2002(平成 14)年から 2018(平成 30)年にかけて、保健分野における大学等教員の職務活動時
間に占める研究時間の割合は、約 50%から約 34%まで減少し、診療時間の割合は、約 14%から
約 26%まで増加。
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