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【参考資料1】H27-29研究計画書(祖父江班) (5 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35321.html
出典情報 医薬品等行政評価・監視委員会(第13回 9/20)《厚生労働省》
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8.研究の目的、必要性及び特色・独創的な点
(1)研究の目的、必要性及び特色・独創的な点については、適宜文献を引用しつつ、1,000字
以内で具体的かつ明確に記入すること。
(2)当該研究計画に関して現在までに行った研究等、研究の最終的な目標を達成するのに必要な他
の研究計画と、当該研究計画の関係を明確にすること。
(3)研究期間内に何をどこまで明らかにするか、各年度の目標を明確にしたうえで記入すること。
(4)当該研究の特色・独創的な点については、国内・国外の他の研究でどこまで明らかになってお
り、どのような部分が残されているのかを踏まえて記入すること。
子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)については、平成21年から国内での販売が開始され、平
成22年11月から予算事業によるワクチン接種が行われており、平成25年4月には予防接種法に基
づく定期接種に位置づけられ広く接種が行われるようになった。しかし、HPVワクチン接種後に広範な
慢性の疼痛などの症状が特異的にみられたことから、平成25年6月以降、この症状の発生頻度等がよ
り明らかになり、国民に適切に情報提供できるまでの間、定期接種の積極的な勧奨を差し控えている。
一方で、HPVワクチンが予防するとされる子宮頸がんは、年間約1万人近くの女性が罹患し、約2千
7百人の死亡の死亡の原因となっている。また、子宮頸がんの約50~70%はHPVワクチンにより予防で
きることが期待されている。諸外国では、世界保健機関がHPVワクチンの接種を推奨しているほか、米
英などの先進国でも公的接種とされている。
係る状況の中で、日本において、副反応の問題を解決することが喫緊の課題となっている。
この問題の解決のためには、協力医療機関の整備、過去の副反応に関する追跡調査、救済制度の検討
等と並んで、HPVワクチン接種後に発生した様々な症状及びワクチンの因果関係を解明することが必要
不可欠である。このため、ワクチン接種者と非接種者に対する大規模疫学調査を行い、安全性・有効性
に関する科学的な評価のための疫学研究を行うことは重要である。
また、平成22年に導入されたら、5年経ち、初期の接種者ががん検診を受診する時期にさしかかっ
ており、その意味でも、疫学調査を開始する必要性は高いと考えられる。
○研究の概要
ワクチンの有効性評価
(1)子宮頸がん検診受診者における前がん病変の発見割合の年次推移と自己申告による接種歴別の前
がん病変の発見割合の比較
平成22年度から平成29年度の20歳代(20-29歳)の子宮頸がん検診受診者の年齢別の細胞診異常の発見
割合、および異形成の発見割合の推移を記述する。さらに、自己申告によるHPVワクチン接種歴別の前
がん病変の発見割合を比較する。(2)子宮頸がん検診事業内症例対照研究
自治体及び対がん協会の協力を得て、子宮がん検診と HPV ワクチン接種の記録照合による症例対照研
究を実施する。HPV ワクチン接種が開始された平成 22 年度から接種が多く行われていた 24 年度にか
けて主に接種対象者であった者のうち、 平成 26 年度から 29 年度に子宮がん検診を受診する者(平成 6
年度から 9 年度生まれ)についての細胞診の結果をもとに、異常ありを症例、なしを対照とし、それら
の検診受診時の自己申告に基づく HPV ワクチン接種歴、および、市町村が保有する HPV ワクチン接種
者リストとの照合に基づく HPV ワクチンの接種の有無を調べ、ワクチン接種と細胞診所見との関連を
検討する。さらに細胞診で異常のあった者については翌年以降に精密検査の結果を入手し、精密検査結
果に基づいた症例定義でも同様にワクチンワクチン接種と細胞診所見との関連を検討する。
2.ワクチンの安全性評価
HPVワクチン接種後の「広範な慢性の疼痛又は運動障害を中心とする多様な症状(以下、慢性疼痛等)」
について、発現頻度および関連因子を明らかにすることを目的に疫学研究を実施する。また、当該症状
の自然発生の側面(青年女子において、HPVワクチン接種にかかわらず症状が発現する可能性)を踏ま
えた実態調査も視野に入れる。疾患概念が極めて複雑であること、研究課題の重要性からも綿密な調査
計画が要求されることに鑑み、1年目は準備期間に充て、2年目に研究を実施する。
国外では、「HPVワクチン接種と当該症状発現の関連解明」を主たる目的に実施した疫学研究は報告
されていない。国内では、複数の自治体で接種後の症状発現頻度を調査しているものの、計画段階から
疫学者が参画しているとは必ずしもいえない。本研究では、疫学者(がん疫学、感染症疫学)と臨床医
(産婦人科学、疼痛医学、神経内科学、小児心理学)が連携をとり、それぞれの立場から妥当と考えら
れる堅固な疫学研究をデザインできることが特色である。

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